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人生初の胃カメラを飲んでハワイに行った話

皆さんは胃カメラ、経験したことありますか?

一生飲むことはないだろうなと思っていた胃カメラを何故飲むことになったのか。
※ちなみに私の言う「胃カメラを飲む」=「胃の内視鏡検査を受ける」ということです。


3年前、母に胃がんが見つかりました。今は再発もなく元気に過ごしているのですが、手術が終わった後に母から言われました。

「あんたらも(私と姉)胃が少しでもおかしいと思ったら、早めに検査してみるんで。遺伝もあるし」

実は私、数年前から会社の健康診断で毎年「胃」が引っかかっていました。でも毎回「要観察」だったので特に病院へかかることも必要ないかなと思っていたのです。

母の話を聞いて、やっと重い腰を上げました。


まずはかかりつけ医に相談。
するとやっぱり胃が気になると言う。

「病院に紹介状書くね。胃カメラだけど、鼻と口から選べるけどどっちがいい?」

鼻はとても痛いイメージがありました。
だって、インフルエンザの検査するときに綿棒突っ込まれるじゃないですか。あれ、めっちゃくちゃ痛くないですか!?
私いつも体のけぞってしまって怒られてます。右でのけぞり、じゃあ左でやってみよかとなってのけぞり、しまいには怒られます。大人なんだから我慢せんかい!

「口からやったら、もし何か見つかった時に小さいものならそのまま切除出来るからいいよ。鼻からだと一回管を抜いて、結局口から入れ直すことになるから」

先生、楽しそうに笑ってました。そこで笑うの怖いからやめて。

私は口から入れることに決めました。


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当日は胃をカラッポにして出陣。

名前を呼ばれるまでが長かったです。私と同じ胃カメラ組みが、平日というのに大勢いました。
大腸検査の人もいました。
何気なく、大腸検査の部屋の中がチラッと見たときめちゃくちゃ太い管がぶら下がってて戦慄が走りました。


ようやっと私の番がきて内視鏡室に入ると、おそらく検査をしてくれるであろう男性の医師(以後先生と呼ぶ)、そして女性の看護師さんが笑顔で出迎えてくれました。

「はい、じゃあまず喉のところに麻酔スプレーしますね。これで内視鏡が入っても痛みを感じにくくなりますから」

そう言って「のどぬ~るスプレー」のような物を手にした看護師さんが私の喉奥へプシュプシュまいてくれました。
味はしないが麻痺した感覚も全然ない。
こんな軽いやつで本当に私の喉は耐えられるのか!?!?


「じゃあ、そこのベッドに横になってくださいねー」


いよいよ胃カメラを飲むときがきた……!
私は思い切り目を閉じました。
と同時に管を躊躇なくぶっ刺されました。


オエェェェ! オエェェェェ!!!


なにこれムリムリムリ!!! まずこれ飲み込めない!
私がずっと吐きそうになりながら拒否し続けていると、看護師さんが優しくそっと私の手を握って言いました。

「大丈夫ですよー。今が一番辛いところです。ここを過ぎれば楽になりますよー」


ほんとに!? この先この管が入っているにも関わらず楽になったりすることあるんですか!?!?!?


私、この時点でもう涙と鼻水とよだれが垂れ流しでした。
看護師さんはずっと背中をさすってくれてました。恋に落ちちゃう。


なんとか喉奥を通過しグイグイ胃に向かって下りていく胃カメラ。どうやら先生が入れ込んでいるんだろうけど、私はなにせずっと目を閉じていたので誰が何をやっているかも全くわかりませんでした。
もしかしたら看護師さんが内視鏡を入れてて、先生が私の背中をさすってくれてたかもしれません。
いや、あの優しい手つきは看護師さんだと思いたい。


そうしてとうとう、胃に到達。
先生が言います。

「はい、見ていきますね~。あぁ、これかな? なちこさん、画面見ていいですよ。これ、見えますか? ここに小さな突起物がありますね。見えますか?」

とにかく画面を見て欲しい先生。
頑なに目を開けない私。
激しい攻防戦が始まった!!!


私が何故ここまで目を開けることを断固拒否していたかというと、目視で「今、私の体の中に長い管(カメラ付き)が入ってる!」と認識してしまうとまた吐き気が襲ってくるからでした。

なので胃カメラが喉元を過ぎた辺りから、私は妄想の世界に逃げることにしたのです。

胃の中には空気も送りこまれていました。胃を膨らませて中が見えやすくするためにです。音がゴーゴー鳴ってます。


私の妄想は、ハワイでした。
この空気が送り込まれているゴーゴー音は波の音。
目を閉じているのは日差しが眩しいから。
あぁ、私、今ハワイにいるんだわ……

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「はい、なちこさーん。ここにもありますよー。見てくださーい」
(必死で現実に引き戻そうとする先生)


なんだか時々声が聞こえる……
現地の日本人かな? ふふっ。


「写真を何枚か撮っておきますね。はい、もう終わりますよー」
(ここでようやっと画面を見せることを諦めたようだった)


勝った。
私は内視鏡(と先生の圧)に勝ったぞ……!!!


抜くときも結局オエオエ言ってましたが、どちらかというと「もう吐いてもいい」という感覚だったのでまだ楽でした。
看護師さんは私の涙も鼻水もよだれも一緒くたに拭いてくれました。有難かったけど全部が混ざってえらいことになってましたよ!


「なちこさんの胃にはポリープがありましたが、これは【胃底腺ポリープ】と言って良性のものです。女性に多いんですよ。逆にこのポリープは【幸せポリープ】と呼ばれているんです。ピロリ菌のいない綺麗な胃という証拠ですよ」


検査結果は問題なし! よかった!


皆さんも胃カメラを飲むときは是非、妄想でハワイに行ってみてください。
案外耐えられます。


ちなみにどうしても無理な場合は全身麻酔も出来るそうです。


私、そのことを検査後に知りました……





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