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ゆるい服と下駄で空気を浴びる町。私の”帰る旅先”四万
私は旅行が好きだ。
知らない土地で知らない空気に触れて、おいしいものを食べている時間が幸せでたまらない。行きたい場所リストは常にいっぱいだし、旅を楽しむのに人生は短すぎる。
そんな行きたい場所だらけの私は、どんなに素晴らしい場所でもリピートする旅先はそう多くない。群馬県にある四万(しま)はそんな私にとって数少ない”帰る旅先”だ。
疲れたときでもない。癒してほしいときでもない。何もなくとも、ふとここに帰ってきたくなる。
小さな温泉街で何度も行けば目新しい場所もない。徒歩圏内にコンビニもない。それでもやっぱりここに帰りたい。今回もふと話題に出て「最近行ってないね」と唐突に予約したのだ。
今回は、私の大好きな四万についてnoteを書いてみたいと思う。
ゆるい服と下駄で散歩
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四万はいわゆる観光地っぽくない。お店に呼び込まれることもなければ、おみやげに派手なポップが付いていることもない。ほとんどのお店は17時に閉まってしまうし、いつ営業しているのかわからぬまま行けていないお店もある。
まるで日常にお邪魔しているような感覚だ。お客さんがくれば対応するし、いなくてもずっとそこにある。今日も明日もあさっても、そこにある町なのだ。
四万の宿にはたいがい玄関脇に宿泊者用の下駄が用意されている。ここで過ごすにはスニーカーすら重いからだと思う。
着いてすぐ旅館に用意された浴衣に着替えるのもいい。とにかくゆるい格好をして下駄で闊歩するのがここでの過ごし方だ。
ゆるい服は風通しが良くて空気を肌で感じられる。美味しい空気、というより空気を浴びるような感覚が心地いい。
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四万はいろんな角度から川を眺められるようにできている。少し歩くと橋にあたり、少し歩くと川にあたる。足を踏み入れていいか戸惑うような場所もある。
少し歩きにくい脇道を探し出し、少し冒険する。この”少し”が幼少期の感覚を思い出させてくれるのかもしれない。
大切な誰かが作ってくれたご飯・酒
旅館によるのかもしれないが、四万の旅館ご飯は肉や魚が盛り盛りの贅沢ご飯ではない。
自分を大切にしてくれている誰かが作ってくれた、おもてなしご飯。
そう感じながらいつも食べている。肉でもない魚でもない、この私を大切にしてくれるご飯を食べるのが好きなのだ。
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さくっと温泉に入った後に、群馬の地酒を楽しむのも楽しみのひとつ。布団も敷いてすべてが終わった状態でゆったりとお酒を飲むと、すべてがどうでもよくなる。
道中の道の駅で買ってもよし、早い時間であれば旅館エリアから少し歩くとおそらく一軒しかない酒屋でも買える。今回は到着したのが閉店後だったので、店前の自販機にギリギリ残っていたぐんまちゃん梅酒を買った。
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足を伸ばせば碧いダム
一泊した翌日、四万から離れるのが名残惜しいとダムへ行く。角度によって変わる、青でも緑でもないこの色をなんと表現するかわからず、宝石のようなニュアンスを含む「碧い」にした。私にとっては四万ダム色でしかない。
ダムを囲うようにポツポツとある駐車スペースに車を停めて降りると、散策したり撮影したりできるエリアがある。
外に出れば撮ってシェアしたい風景が広がっているが、一秒でも長く肉眼で見ていたくてスマホを向けるのも少しためらった。
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四万で川を眺め続けた後にくると、あの先にはこの風景が広がっているのかと、えもいわれぬ気持ちになる。青のような緑のような、深そうな浅そうな、そんな水面に見惚れていた。
広い公園のように整備されているエリアもあり、そこを歩けば地元かのような錯覚に陥る。調子に乗って別の駐車場に着くまで歩き、帰りの道ではヒイヒイいいながら車まで戻るはめになった。
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紹介したいお店も美味しいものもたくさんあるのだが、とにかくこの感覚を書き留めておきたくて書いた。
疲れた時、自宅じゃないどこかに帰りたくなった時、私はまたここに帰ってくるのだ。
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