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「水場」著者インタビュー02 鳥はオープンなところを好む

noteにて無料公開された野鳥写真集「小鳥のくる水場  ぞうき林の小さなオアシス」。撮影当時の思い出や、動物カメラマンとしてデビューした道のり、「チョウゲンボウ 優しき猛禽」「野鳥記」に至るまでの経緯などなど著者の平野伸明に、いろいろな話をお聞きました。
全6回、どうぞお楽しみください。インタビュアーはしげゆかです。


前回はデビューまでのお話をお聞きしました。今回は書籍「水場」についてのお話です。

「小鳥のくる水場」の「元ネタ本」


――「小鳥のくる水場」についての裏話などはありますか?

(平野)実は、「水場」の原本とも言えるような本もあって。

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▲「雑木林の野鳥」山口正信著 表紙の鳥はツミ

(平野)この本のテーマは雑木林にくらす身近な鳥の話なんですが、本には水場の鳥の様子も写真で載っています。本の中の写真をよく見ると、サンコウチョウとツミがとまっている枝が同じなことに気づいた。だから、鳥が来る環境の水場を著者の方は知っているに違いないと思いました。

僕がよく通っていた武蔵野の雑木林は関東ローム層にあります。関東ローム層には川が少なく、昔から人々は深井戸を掘ったり用水を引くとかして水に困っていた。それは野鳥の世界でも同じはず。水があるところには野鳥があつまるはず、と確信しました。

そしてこの本はそれを裏付ける決定的な写真が掲載されていました。それに勇気づけられて「水場」を徹底的に撮影してみようと思ったのです。

撮影に理解を得るむずかしさ


――水場を実際に撮影するにあたって、当時、現場の人の反応はどうでしたか。

(平野)まあ・・・なかなか大変ではありました。

――「いったい何してるの」みたいな感じ?

(平野)そう(笑)。「水場」の舞台は多福寺というお寺の中の一角でした。だから住職さんに「撮影させてください」と言って許可をもらいました。住職さんは「どうぞどうぞ」と好意的でしたが、ご近所の人たちには「毎日同じ車が境内にとまっている」と奇異な目で見られていました。とにかく数か月間も毎日ですからね。当然と言えば当然なんですが。

ブラインドについて


――撮影する際に身を隠す「ブラインド」についてお聞きします。ブラインドは、どういうふうに作ってたんですか?

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