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なぜあなたは顧客から奴隷のように扱われるのか

Web制作会社に勤めている方やフリーランスの方、受託型のビジネスに従事されている方は大抵一度は顧客との関係で頭を悩ませた経験があると思う。特に顧客から厳しい口調で言及されたり、隷属的な関係になることは業界あるあるだろう。

「こんなことも出来ないの?」
「クオリティ低すぎ!」
「もっと安くしてよ!」
「もっと早く終わらせられないの?」

クライアントのこのような厳しい口調は、請負側の精神とプライドをズタズタに切り裂いていく。

そして、こういった厳しい状況に陥る度に

「ク〇クライアントが!」
「〇ね!〇〇〇が!(社内だけで通じる顧客を表す隠語)」
「もう仕事辞めようかな…」

なんてセリフが会社の中で飛び交う。

このような経験すること、あるいはこのようなシーンを目にすることは誰しもがあるだろう。

かくいう私もWeb制作の世界に入って2年目に、若干厄介なクライアントにつかまってしまったことがある。

そのクライアントは遅い時間まで働いており、毎日夜中の23時になると私宛に電話をかけてくる。そして、深夜2時まで電話で説教される。こんな日々を2週間程度経験したことがある。(お察しの通り、若干精神的に難がある方ではあった。)

あのときはさすがに毎晩タクシーの中で、減っていく財布の中身を眺めながら、「俺。なんのために仕事してるんだろう。」と思った。

故に制作会社やフリーランスが毒づく気持ちもわからなくもない。

とはいえ、愚痴を吐いていても物事は改善しないし、進展もしない。ましてや顧客の悪口など論外だろう。

何より「苦しい」→「愚痴」のスパイラルを繰り返すのも辛くないだろうか?ということで、ここは一旦落ち着いて改善策を考えてみようと思う。

まず、この問題の原因は大きく分けると以下の2つと考えられる。

1.客質が良くない(外部要因)
2.顧客の期待値を大きく下回っている
(内部要因)

以下、詳しく述べていく。

1.客質が良くない(外部要因)

いきなり元も子もない話をするが、そもそもあなたが良くない客を掴んでしまっていることに問題がある。「はぁ?それ言い出したら改善もクソもないだろ!?」と息巻いていると思うが、少し落ち着いて欲しい。

当たり前だが世の中の全ての企業や人間が、あなたにとって良い顧客のわけがない。企業単位だけで見ても、企業にはカルチャーがある。当然だが「下請けは徹底的にこき使ってやれ」「こっちは発注者(神)だぞ!」「言われたことをやっておけ!」という考えを持つ企業は存在する。

さらに言えば、大抵の取引は企業の他に担当者という個人も関与してくる。そして、この個人レベルにも価値観や人間性が存在しているわけだ。

個人レベルでも「こき使ってやろう」といった考えを持つ人はいるし、人間力が欠けている人も存在する。人間的に問題が無くてもあなたとどうしても生理的に合わないという人もいるだろう。

そしてもうひとつ忘れてはいけない重要なことがある。

どう足掻いても受託ビジネスは顧客の一存で崩壊させられる。ということ。

今この記事を読んでいる方の大半はフリーランス、Web系、コンサル系など事業側ではなく「受託」「請負」系の人だろう。受託はお客様からお仕事をいただくわけである。いくら「顧客と俺たちは対等だ」と息巻いても、究極で言えば、顧客はお客様である以上、有利なのが実情である。

つまり、自分達が素晴らしい制作物、サービスを提供したとしても、究極で言えば、顧客が「気に入らない」と言えば、それで終わりなのだ。(危うい仕事だ。ホント。)

何が言いたいかと言うと、受託・請負ビジネスは、自分達以外の外部要因と関わることが多いため、「ダメなものはダメ」が当然あるのだ。だから自分に合う顧客を選べということなのである。

自分に合う顧客を選ぶためには、自分が取引したい顧客はどういう顧客なのか?を明確にしなければ顧客は選べない。当たり前のことだが。

まずは落ち着いて自分が取引をしたい顧客はどのような顧客なのかを振り返ってみよう。

そしてもう一つ。顧客を選べるようになるにはマーケティングが必要不可欠である。見込客が少なければ客層を見ずに低質だろうが高質だろうがすがりつくしかない。だが、豊富かつ高質なリード(引き合い)を獲得出来るようになれば、自らに合う顧客を冷静に選べるようになるだろう。

つまり外部的要因とは言いつつも、掘り下げてみると自分の欲しい顧客と取引が出来ていない、言い換えればマーケティングが出来ていないという内部的要因の話になってくるのだ。(やはり結局は自分が悪いのだ!)

尚、この記事では文字数が膨大になるため、マーケティングについては別の機会に譲ろう。(後日書きたい。)

ちなみに自分に合う客を自分で選べない人もいると思う。以下のような人たちだ。

・案件がディレクターから降ってくるクリエイター
・案件がプロデューサーや営業から降ってくるディレクター
・下請けをしている制作会社やフリーランス

こういった方は、確かにエンドユーザは選べないが、自分のビジネスパートナーは選べる(場合がある)。具体的に言うとビジネスフローの上流層に位置する要素を顧客として見てみることは出来るということだ。

例えば、ディレクターであればプロデューサー、クリエイターであればディレクター、フリーランスであれば提携している制作会社や代理店といった1つ上流にいる職種や人である。

選定ポイントはシンプルである。それはビジネスの上流層に位置するビジネスパートナーがきちんと顧客を選び、エンドユーザの信頼を勝ち取っているということ。これは最低限満たされていなければならない。

上流層が隷属的な場合は、下流層もかなりの確率で隷属的になる。つまり論外である。このような人物はビジネスパートナー(上司、チーム)として関わらない方が良い。

とはいえ、顧客とはうまくやっていてもパートナーや下請け企業に隷属的な関係を求める制作会社や代理店は存在する。上記は最低条件であり、絶対条件ではないので注意して欲しい。仕事を流してくるパートナーも隷属的な関係を求める人物でないか見極めることを忘れないように。

とは言え、会社員であれば、ディレクターを選べない、ディレクターも奴隷化しているといった場合もあるし、ある程度限界がある。

究極で言えば、対処法はその職場を離れるか、自身が顧客を選べる立場になるか、あるいはどんな厄介な顧客もさばけるツワモノになるしかないとは思う。(後述の内部要因に関連する)

2.顧客の期待値を大きく下回っている(内部要因)

もう一つの原因を書いていく。

顧客は自身の期待値を大きく上回るサービスを受けていれば、自ら問題を起こそうとは考えない。前述した本当にどうしようもない厄介な担当者でもない限り大抵はそうである。

つまり、顧客から隷属的な関係を求められる方の大半の原因は自身にあるのではないだろうかと思う。

まず、顧客との関係性がおかしくなってきた際に、すぐに「地雷クライアントだ」と、なんでもクライアントのせいにするのは良くない。前述した1の「客質が良くない」と見極めるポイントがあるので、以下の点を見つめ直してみよう。

・初めからこき使われていたのか
・徐々に扱いがひどくなっていったのか

前者の場合は前述した通り、そもそも価値観として奴隷として使いたい人の可能性が高い。従って取引をしないほうが良い顧客かもしれない。しかし、後者の場合はあなたに原因があるかもしれない。

顧客はあなたと取引をするにあたって、当初受けられると期待していたサービスや制作物のクオリティがあるわけだ。当然だが失敗するなんて思っていないし、期待値はそれなりに高かったはずである。

そして、顧客の期待とは超わかりやすい。それは、
・自分の期待している以上のモノやサービス
である。

例えば、顧客は
・言われなくてもやってくれた
・自分が想像している以上の制作物が上がってきた
・お願いしていること以外のこともやってくれた
・自分が気づけなかった問題を解決してくれた
・沢山提案してくれる
・自分が知らないことを沢山教えてくれる
といったことが大好きな生き物である。

こういった期待を超える+αを積み重ねていくと顧客は請負業者をどんどん信頼していく。少し意地悪な言い方だが中には主従関係が逆になるケースすらある。「〇〇さんが言うなら」となるわけだ。こうなれば主導権は握ったも同然なのである。※ちなみに僕は取引の序盤は結構「凄そうな奴感」を出していく(笑)。

しかし、
・受身
・ミス連発
・レス遅い
・制作物のクオリティ低い
・メール文がおかしい
・約束を破る(小さい約束も)
といった一般的なビジネスマンとしてすらレベルの低いことを繰り返してしまうと、当然だが期待値は超えられない。そればかりが信頼を失うだろう。

そして、顧客の想定している期待値を著しく下回り続けると、ある一定のタイミングで顧客は途端に冷たくなる。

具体的には、途端にこちらが頭を使わなくて良い行動レベルでの指示出しが行われるようになる。これが奴隷の始まりである。

顧客からすれば、低レベルなサービスを受けて
・1から10まで言わないとダメだなこりゃ
・この人は言われたことしかできないな
・作業要員だな
・替えが効く人材だな
・頭使えないな
とジャッジしたわけである。

少し話が逸れるがマネジメントの手法は以下の3種類がある。
・結果コントロール
・行動コントロール
・環境コントロール(今回は説明を割愛)

※マネジメントの3つのコントロールについて、興味がある方は以下の記事もぜひご覧いただきたい。


結果コントロールはプロセスは飛ばして求める結果や成果でコントロールする手法である。練度の高いスタッフにはプロセスは問わず、期待する成果で指示を出すことが多い。

本来、フリーランスやWeb制作会社が仕事を請ける際には求める成果を依頼するわけで、プロセスは任されるのが普通だろう。作業内容やプロセス等が任されている分、隷属的な印象はうけづらいわけだ。

反面、行動コントロールは新人など反復練習が必要なレベルに行われるコントロールである。部活動の基礎練習をイメージしてもらうのが分かりやすい。これはプロセスからガッチリ指示を出される。行動レベルの指示は命令のような指示出しに近くなる。

このように新人を扱うように1から10までの行動プロセスを握られるのはつらい。(逆に楽という人もいるだろう)これが奴隷の始まりなのである。そして、厄介なのが「リーズナブルな作業要員」としてメリットが残ってしまうと、契約を打ち切られずに奴隷として中途半端に利用され続けてしまうわけだ。

前述の通り、あなたが奴隷として扱われるのは、外部要因が関与するのは確かだ(突き詰めれば内部要因だが)。しかし、もしかすると、単にあなたが顧客に対して高い付加価値を提供出来ておらず、期待値を超えられていないかもしれない。そして、替えのきく作業だけ出来る奴隷だと思われているのではないだろうか。

クライアントのせいにする前に今一度、自らの仕事ぶりを振り返ってみるのも良いかもしれない。


スタッフや制作パートナーを募集しているよ。

弊社ではBtoB企業を中心にWebサイトやマーケティングのコンサルティング、自社メディアの運用を行っております。まだWebディレクター兼マーケターの私とデザイナー/アートディレクターの2名の小さな組織です(厳密には非常勤役員含めて3名)。

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ちなみに弊社はしっかり信頼を勝ち得た直請け顧客のみと取引をしておりますので安心してくださいね(笑)。決して炎上することの無い安全な(笑)プロジェクトをご一緒しませんか?


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