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『啓蒙とは何か』~木村花さんのニュースを読んで~

私が一時期、肌身離さず持ち歩いて、時間がある読み直していた短編があります。
『啓蒙とは何か』カント著/篠田英雄訳
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たった数ページの本ですが、初めて読んだ時は衝撃で茫然としました。以下、冒頭の一節を抜粋します。

「未成年の状態とは、他人の指示を仰がなければ、自分の理性を使うことができないということである。未成年の状態にとどまっているのは、楽である。他人の指示を仰げば、自分であれこれ考える必要はない。他方では、あつかましくも他人の後見人と僭称したがる人々も跡を絶たない。彼らは飼っている家畜を愚かなものにする。そして家畜たちを歩行器のうちにとじこめておき、家畜が一人で外に出ようとしたら、とても危険なことになると脅かしておく。」

恐ろしいことだと思いました。確かに、尊敬するメンターや先生がいることは、幸せで心強いことです。しかし、自分より上の人の意見に従うだけで、批判的思考を持たず、自分で考えることを放棄したら、何のための自分の人生か分からなくなります。

昨日、SNSなどの中傷が原因で、木村花さんが亡くなるという悲しい事件が起こりました。SNSで中傷をする人達は、人を傷つけて文句を言うだけで、自分で物事を考えず、世の中に流され、悪いことは全て人のせいにし、自分では何一つ生産しない。
カントの『啓蒙とは何か』は、そのまま現代にも警鐘を鳴らしていると思います。

これと同様のことは、福沢諭吉の『学問のすすめ』にも書かれています。

『福沢諭吉の学問のすすめ』斉藤孝先生による現代語訳
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まだ2割くらいしか読んでいませんが、本書の言いたいことをまとめると、おそらくこんな感じです。「日本を良い国にしたいなら、政治家や上の人達に任せきりじゃダメだ。国民一人一人が独立精神を持って、国のために貢献するんだ!皆の者、一人一人が独立せよ!」

国内外の古典から、現代を生きる私が学ぶことは、非常に大きいのでした。

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