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キッチンタオル偏愛

なんの学びも悟りもないけど、キッチンタオルの話。

アメリカのキッチンタオル

物欲はあまりない方だが、見るとどうしても買わずにはいられないものがある。惹きつけられる文句の書かれたキッチンタオルだ。
これを逃したら二度と出会えないと感じさせる、店の隅にぶら下げられた数枚のキッチンタオル。
目立たないのに、誘ってくる。誰かの手に渡る前に手に入れておかなければ。そう思わせる。
文句とその時の心情が重なり合い、出会うべくして出会ったとその都度感じて集めてきた。

Bucket Listとは、「やりたいことリスト」のこと。「やるべきこと」ではない、というのがポイント


刺繍のでこぼこをなぞるだけで幸福
現実的なお気に入り
麻の質感も、刺繍のデザインも、字体も、文句も、すべてが最高 あえてシワのあるままで。
これはクッションだけど。オハイオのアーミッシュショップではよく好きなキッチンタオルに出会える
ときには立派な標語も混ぜてみるが。
キッチンタオルの文句はたいてい緩く、優しい
友人たちへの一時帰国のお土産もキッチンタオルに。


このように書かれた文句のことを、英語ではSayingsと呼ぶ。
Tシャツとかマグカップとかも、私はついつい文句が入っているものを選びそうになってしまうのだが、そうすると家の中がうるさくなるので、キッチンタオルに限ってはSayings入りを許すことにしている。日本語に訳すとキャッチコピーになるだろうか。
コピーというよりもうちょっと緩いニュアンスのSayings。

外では色々あるわけだし、キッチンタオルが台所の片隅で自分に甘えてもいいと主張しているくらい、いいよね?

言葉が好きなその誰か

最近、ヒネリのある英語の面白さがわかり始めた次男がタオルを読んでは批評したり、町中で面白い言い回しを見つけて教えてきたりする。
私は言葉が大好きだが、子どもが言葉に凝りだすとなぜだかギョッとする。
言葉の世界は深い。好きなので、何度も足を絡め取られて動けなくなったことがある。ハマると怖い世界だなという恐れがある。
そういう時は、この文句を書いた、きっと国籍も育ちも違うその人のことを想像してみる。
その人もきっと言葉が好きで、これかな、あれかな、と思案して、上司に提案して却下されたり採用されたりしてきたのかな。

台所で甘やかして


台所の狭い世界でだって「やらなければならないこと」と、「やりたいこと」がせめぎ合う。
昼食がホットドッグだけだった子供たちには家では栄養を摂らせないと。。。日本の味付けを嫌う三男にはアメリカンな味付けにして、ジャンク味を嫌う長男には面倒だけど出汁とるかなあ。。。ああ、次男は口内炎ができているから柔らかいものにしてあげなきゃ。今日はそもそもご飯なんて作れないくらい外で嫌なことがあったというのに。色々と考慮するのをいったん思考停止して手を伸ばすワイン。
ほろ酔いの良い気分で調子に乗って仕上げたら、出来てきたのは結局誰の好みにも沿えていない夕飯。
言葉好きなその誰かと乾杯して、今日もキッチンタオルに自分の駄目さを許してもらおう。

Makiko

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