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【小説】 変える、変われる。 : 92

そわそわした気持ちが早起きに繋がったらしく、通勤していた頃の時間にパチっと目が覚めた。

熱いコーヒーを入れて、ノートパソコンを立ち上げた。

ニュースサイトのトップにはそれらしいニュースは見当たらない。

地域ニュースも経済ニュースも隈なく読んだつもりだけど、どうにもピンとくるニュースはない。

玉ちゃんは「掲載されるかもしれない」と言っていたことを思い出して、そうか「されないかもしれない」・・と思い至った。

でもなぁと思いながら、新聞社のホームページの社会欄を見ていた。

社会問題になっているのに、相変わらずパワハラ・セクハラが全盛、モラハラ・スメハラなどハラだらけ。

警備員の警備していた会社へ、アルバイトの元バイト先への泥棒など、そんなニュースばかりで朝から疲れる内容もてんこ盛り。

せっかく早起き出来たし、コーヒーも入れたけど、目的のニュースも見当たらない徒労感だけが残ったせいで、ついついベッドへ戻ってしまった。


ベッドへ入って、ウトウトし始めた辺りでメールに受信が入った。

朝っぱらから玉ちゃんのナゾ話だろうか・・と、スマホを見てみると石黒さんからのメールだった。

「きょうも大丈夫なのかな・・」

強い眠気を感じつつメールを開いた。

「おはようございます。きょうは遅くなりそうです。また連絡します。」

立て続けに玉ちゃんからもメール着信。

「山が噴火した模様。また後ほど。」

玉ちゃんの「来週か、再来週」の「再来週」に本当に何かが起きたようだ。

起きたようだけど、メールの内容が・・・?


次に目が覚めた時はお昼を回っていた。

しっかり寝入っていたようで、メール受信には気づくこと無く、スマホが点滅している。

1本目が玉ちゃん。

「飛ぶ鳥後を濁し倒しな模様。続報を待て。」

急に昔の映画みたいな節回しのメールだけど、何かあったのは間違いない。

2本受信していたようで、もう1本未読があった、石黒さんから。

「遅くなりそうですが会いたいです。大丈夫でしょうか?」

何かあったことが、確定。

「何時でも大丈夫。連絡下さい。」

石黒さんには返信を入れた。

玉ちゃんは返信で問い合わせても、多分わかりにくい文面で返ってくる気がするから、続報をただ待つことにした。


17時近くなっても両方からメールは入って来ない。

石黒さんは本当に忙しいと思うけど、続報の玉ちゃんはどうしているんだろう。


18時を回る位で石黒さんから、あと1時間くらいで会社を出られそうと連絡が入ったので出掛ける準備をした。

すると電話が鳴った、玉ちゃんから。

「いまどこにいる? 運転中?」

「いえ、今から出掛けようと思っていたところです。」

「んじゃ、短く続報。多分今頃『いますぐ』が賑やかになっていると思う。詳しくは黒ちゃんに。頭の煮えた人間オールスターが勢揃いで地獄の片道切符。」

「何それ? どういうこと?」

「明日、はっきりしたことがわかるはず。またね。」

石黒さんの遅くなっても会いたい理由と、玉ちゃんの話は多分同じはず。

急いで石黒さんを迎えに『いますぐ』へ向かった。


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