きみにも届いて


※パニック障害の描写を含みます


私はパニック障害と自律神経失調症、視線恐怖症、心因性めまい症を持った考えすぎる人間
考えられるということが金を生むわけでも私の功績として掲げられることもない、この世界に実在する1人の人間として脳に潜り込んでしまう メリットのない特技
きょうを生きる意味を性懲りもせず考える私は大抵の人より体が弱く、心はさらに弱かった まともにどこかへ通ったのは小学校まで中学は2ヶ月目に不登校になった。
自分でコントロールのできない体調と心のコンディションを常に抱えながら高校へ進むも1年足らずで体調の悪化が深刻になっていった

疲れていても頭はずっと悶々としてその気持ちを宵越したまま学校へ通うことが日に日に増えていった
ついに私は体によって急ブレーキを踏まれた
行きの電車で頭痛と吐き気 動悸が止まらない、どうにか乗り換え駅のホームに降りたがそれ以上足は前に進まなかった
ホームの椅子に雪崩れ込み、もう私は進めないのだと悟った。
通勤通学のラッシュから逆向きに歩いていた、空いている下りの電車に座りながら楽になった体が虚しかった。
あれから8年私は私のまま、厄介な肉体とあの頃と変わらない育たない心と共に、ほんの少しの無理すら出来なくなってしまった。自分の力量が信じられなくなってしまった。

パニックを認識したあの時から少しずつ急行電車に乗れなくなった。高速、美容室、病院、誰かとの食事、夜の道、レジ待ちの列、じっと座ること。数え出したらキリがないほどにできないことが増えていった。
一番ひどかった時に比べると今 自分自身と上手く付き合えていると思う
でもそれは誰よりも自分を優先して、誰よりも自分が無理をしないということに執着しているから保たれている。
でも時間は残酷なほど平等で 学生というネームも取れ、同級生たちは就職や実績を重ねる中 私は止まったまま生きているだけの肉体になった。

寛大な家族、優しい友達、理解しようとしてくれている人たちを前にしても心が晴れやかになることはなかった。
辛くなる前に、パニックが起きる前に友達とは別れる、保身のため距離を置いた。それが友との心の距離になることを知っていながら 傷つかないためにそうした。
私は誰も信頼できなかった。この駄目なままの私を認めてくれる人なんていない、私の苦しみは私だけのもの、自分で唱えたその言葉は現在進行形で私にしがみついている
私自身が肯定していない私は日の目に出てこない 醜態を晒す覚悟がいつまで経ってもできない私は嘘をついている、いつだって嘘をついている。
大丈夫なフリ、他の人と大差ないフリ、充実してるフリ、"普通"のフリ漠然とした普通に自分を当てはめては苦しんで埋められない溝を精一杯ひと目につかないように隠している。
この歳まで見てきた漠然と屹立する「普通」に四六時中追い回された。

人生に躓いてきた、みんなもそう。
立ち上がれなくなった。
私だけが。

言い聞かせてみる
立ち止まった場所から私が唯一できていることがある、死なないということ
死なないことが立派に出来ている。
何かしているから生きてて良いわけじゃない
それどころか生きてて良いという許可をもらわなきゃいけないなんてことはない。
動物はただ暮らしている。すべきことがあるから生きるのではない、ただ生きている。生まれて食べて寝ていつかは死ぬそれだけだ。
そう言い聞かせてみる


それでもさ
平凡に、普通になりたかったね
私はさ、高望みしたんじゃないよね
普通でよかった、普通がよかった。
諦めきれないから辛いよね
生きるのって辛いよね
わかる、わかるんだよ。
私と同じような境遇で、足が一歩でないまま立ち尽くして 命を繋いでいるきみに届いて。
ひとりじゃない。

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