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仕掛による自然な行動変容は破壊的イノベーション創造の可能性を秘めている

行動変容の奥義『仕掛学』


「ついしたくなる」 仕掛 (引用:松村真宏教授著書「仕掛学」)

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この「ついしたくなる」は 自然に行動変容に繋がる奥義です

説明するまでもないでしょうが 左は ファイルボックスが順番通りに並んでいるか一目見てわかるようになっているので ラインが乱れていると”つい”直したくなります

右は メンズは絶対に理解できると思いますが ”つい” 的を狙いたくなるので『トイレを綺麗に使いましょう』の張り紙より効果的です



松村真宏教授のレジ待ち提案例が TV番組『所ジャパン』で紹介されました

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「すごろく」という発想は 子供たちも喜びますし スーパーとしても販売促進策との連動も考えられます


西日本工業大学デザイン学部の学生が考え「仕掛」は?トリック・アート

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https://sasatto.jp/article/special/coronavirus_fukuoka/entry-708.html



行動経済学とは


人間がかならずしも合理的には行動しないことに着目し、伝統的な経済学ではうまく説明できなかった社会現象や経済行動を、人間行動を観察することで実証的にとらえようとする新たな経済学。2002年に行動経済学者のダニエル・カーネマンがノーベル経済学賞を受賞して以来、脚光を浴びるようになった。(引用:日本大百科全書)


『ナッジ理論』は 2017年シカゴ大学のリチャード・セイラー教授のノーベル経済学賞受賞が きっかけで大きな注目を集めることになりました

ナッジ(nudge)は「ひじで小突く」「そっと押して動かす」の意味で

「小さなきっかけを与えて、人々の行動を変える戦略」

で 行動変容をそっと促す考え方です


私の大嫌いな「煙草」で説明します

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自由主義(リバタリアニズム)=本人の自由に選ばせるべきとする立場

タバコ税は撤廃され 喫煙は完全に自由化されます

家長主義(パターナリズム)=本人の意思は無視して選択を押し付ける立場

政府によって喫煙は完全に禁止され 違反した場合には処罰されます


行動経済学では「リバタリアン・パターナリズム」という立場を推奨する

税制を変更し タバコ税を上げることで「やめたいけれどやめられない」と思っている人の禁煙に向けての援助(?)をいますが 喫煙を続けるか 禁煙するかの選択は自分自身で行います

『選択の余地を残しながらも  より良い方向に誘導する』という考え方です



行動心理学とは


アメリカの心理学者ジョン・ワトソンが提唱した心理の一つです

「人間の行動から感情が読み取れる」行動や仕草のパターンから心理を研究

ビジネスやマーケティングに使える有名な行動心理学としては

「バンドワゴン効果」「同調行動」「返報性の原理」「ザイオンス効果」「スノッブ効果」「プロスペクト理論」「ウィンザー効果」「フット・イン・ザ・ドア」「ドア・イン・ザ・フェイス」

があります(紙面の関係上 詳細説明は割愛します)


ここでは コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授の「ジャムの実験」を紹介します(この実験は 1995年 彼女がスタンフォード大学の大学院生時代に行った実験です)

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実験は品揃えの数に定評のあるサンフランシスコのスーパーの入口付近に ジャムの試食コーナーを設けて 次の2つのケースで行いました

① 24種類のジャムを並べた場合

② 6種類のジャムを並べた場合

(イチゴ ラズベリーなどの定番商品は置きません 珍しいジャムです)

試食コーナーと売り場は別々で 購入したい人は 売り場に行ってジャムを選んで 別の場所のレジに向かいます


① 試食には買い物客の60%が立ち寄った ⇒ そのうち3%が購入
② 試食には買い物客の40%が立ち寄った ⇒ そのうち30%が購入


「人間は選択肢が多すぎると 選択することそのものを放棄する」

ということを立証しました



ナッジの受け入れレベルが低い日本の特殊事情


神社のない山道などで 小さな鳥居を見たことがありませんか?

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こんな所にも神様が?

各地で行われているポイ捨て対策です(繁華街では 立小便対策で使われています)

神社の周りにごみを捨てる日本人は『まずいない』 という考えからの「なんちゃって鳥居」でが それなりに効果があるらしいのです(時間の経過とともに『慣れ』によって 効果は薄れていきます)


この本には 次の問題点が指摘されています

米英など8カ国でナッジ理論の受け入れに関する調査をしたところ、日本の受容レベルがとりわけ低いことに驚いた


Newsweek の記者は

「空気を読む」「出る杭は打たれる」「護送船団方式」などの日本文化では 誰の肘かは分からないが 昔から十分あちこちで突かれてきたので 『ナッジ理論』の「ひじで小突く」「そっと押して動かす」程度では効果が無い

と論じています


私は 日本型経営企業のサラリーマンは ジャム売り場に どんな仕掛が施されていようと「上司が選んだもの」「上司が好むもの」が選択基準なので ナッジ受容が低い理由と思います(笑)



遊びと学びの合体+笑い


私は この投稿タイトル通り

どんなに正しい論理であっても 共感 がないと イノベーション創造はできないと思っています


「君の話は正しい 正論だ でも 面白くない」

このフレーズは「共感されないよ」と言ってるのと同じです


ハイロウズのギターリスト:真島昌利氏の名言

難しいことはわかりやすく わかりやすいことは面白く 面白いことは深く

これに尽きると思います



政府か開催している『有識者会議』の”有識者”の基準は全く知りませんが 

精選版 日本国語大辞典での『有識者』は?

広く物事を知っている人。学問・識見のある人。有識家。

となっていて 『笑いのセンス』『音楽センス』『ファッション・センス』は無頓着な人が 有識者 なんじゃないですか?(個人的見解です)


所詮 一人で出来る事なんて限られています

若者 よそ者 変わり者 個性大歓迎 

学者は”お勉強能力”提供 遊び人は”臨機応変力”提供 芸人は”笑い力”提供

大企業は 資金力 で スピンアウト組織を作る バックアップ


行動変容につながる【仕掛】には『笑い』が大きな要素と思います


【仕掛の事例(鳥居以外)】は『スタイリッシュ』って思いませんか?



発想・着眼点の転換による『新人事制度』


ヒエラルキー組織において 社内でのポストが上がるにつれて 自分を評価してくれる人が減っていきます

管理職以外の一般従業員は 人事権を持っていないので 噂話は出来たとしても 他人の評価はできません


『多面観察』とは(内閣官房ホームページ掲載資料)

職場の上司に限らず同僚や部下 あるいは取引先といった複数の者により 対象者の日頃の行動を観察する取組である
多面観察を導入・実施する主な目的は、従業員(特に管理職)の育成といわれている。観察された結果を対象者にフィードバックすることによって、日頃の対象者の職務行動や職務遂行能力について「気付き」をもたらし、これにより自己認識を変化させ、行動変容を促すことが可能である。
(引用:㈱日本能率協会総合研究所『民間企業における多面観察の手法等に関する調査業務報告書』)

資料掲載場所 ⇓ ⇓ ⇓

https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/kanri_kondankai/index.html


私は この『多面観察』を 部下が上司を評価する制度としてスタートさせたらいいと考えています


【被観察者】= 管理職以上の役職者(社長・役員含む)

【観察者】 = 管理職以外(非正規社員含む)

【観察結果】= オープンにしてランキング発表などのゲーム感覚を入れる

【観察方法】= 質問票は全てマークシート方式(記述コメント欄無) 

【集計管理】= 外部業者(社員がデータ改竄などが絶対にできない)


<多面観察シート(サンプル)>

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『多面観察』制度導入に関しても 当然のことながら賛否両論ありますが 

上司による一方的な評価ではなく、多くの関係者を介することで、対象者を多面的な観点から観察することができ、気付きを促しやすく、人材育成の面で有効である点に大きな意義があると言える(引用:㈱日本能率協会総合研究所『民間企業における多面観察の手法等に関する調査業務報告書』)

お国からの”お墨付き”もあるのが『多面観察』です


様々な ハレーション(急に上司が部下に”ゴマすり”を行う等)が思い浮かびますが 『パワハラ』対策のひとつ に成り得るのではないでしょうか?


絶対に必要なのは『遊び感覚』『笑い感覚』『ゲーム感覚』での導入です



まとめ


人の行動変容には 『仕組み作り』と言うより『仕掛作り』 が効果的と思います 

この『仕掛』は ”ニヤッと”笑みがこぼれるもので つい「やってみたい」と思えるものでなければなりません


本田哲也著書『6RULES OF STRATEGIC PR』の帯

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この6つのキーワードは とても重要な気がします



DXが進まないのは 業務の問題でなく 人の問題です

ダイバーシティが進まないのも 人の問題

イノベーションが生まれないのも 人の問題


一番ダメなことは?

自分の知らないこと やったことがないことは まず否定する 

この言動と思いますが、、 次号へ




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