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妄想旅行記〜五島列島編〜(その4)

前回までのおさらい

前回書き忘れたが、甲板からは左舷側の遠くにずっと陸地が見えていた。この辺りは周りに何も見えない海の只中をまっすぐに船一隻で島を目指して進んでいく伊豆諸島航路とは趣が違う。どちらかというと瀬戸内航路に雰囲気は似ている。会えないけど、近くには居るよ、という感覚でなんだか安心感がある。そんなことを思って眠りについたのだった。

夜

早朝〜福江島上陸

船では夜中1回目が覚めた。トイレではない(行ったけど)。朝4時、五島列島の最北端の島、宇久に着いたのだ。宇久島は五島列島ではあるのだが、行政区分上は佐世保市に属している。ここもまだ佐世保なのか。面積は25km2で人口2500人ほど。新島くらいの規模感と言ったらわかりやすいだろうか。
様子を見に窓から外を眺めてみた。港には明かりが灯り、数人の乗客が降りていくのが見える。こんな早い時間なのに、迎えにきている人もいた。島は真っ暗でなんとなくの島の形しかわからないが、Googlemapで現在地を確認しながら、あーなるほどね、こう見えるわけね、と地形を確認して一人悦に入ったりしていた。地形大好き人間なのである。

その後もいくつもの島々に寄港しながら船は島の間を縫うように進んでいく。本当にこの辺は瀬戸内海みたいだ。隠岐の海士町付近にもすこし似ている。

まだ早かったのでもう一度眠りにつき、次に目が覚めたのは7時半、福江港の手前の奈留港に着くところだった。奈留港は思っていたよりも大きくきれいなターミナルのある港で、そこそこの人が降りていた。また、乗ってくる人も何人かいた。確かに朝の良い時間なので、より大きな福江島にいく需要もそれなりにあるのだろう。海を渡っての用事が日常的にあるって、(気楽な身分で言っているのはわかっているが)いいな。

ちょうど目が覚めたので、また甲板に向かい(とにかく室内でじっとしていられないのだ)、朝食をとることにする。島旅を何度もしていて学んだのは、島に上陸してから朝食にありつこうなんて甘い考えは捨てたほうがよいということだ。喫茶店もねえ、コンビニもねえ、と大抵さまようことになる。

朝食は昨日コンビニで買った明太子のおにぎりと伊右衛門だ。昨日の時点で、朝食には「おにぎりを食べたい」気持ちと「コーヒーを飲みたい」気持ちとが拮抗していたが、その気持ちを両立させてしまうと組み合わせ的に最悪の結果を招くため、断腸の思いで「おにぎり」を選択したのであった。まあ結果的には正解だったんじゃないかと思う。

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しかし穏やかでいい天気だ。雲量は2くらいでほぼ快晴。空が青いので海が一層青く見える。風もほとんどなくさざ波がきらきらと光っている。穏やかな海と晴れた空、それに囲まれた島とそこに私を運んでくれる船。私の生きたい世界がここにあると思った。(なお写真はさるびあ丸)

いよいよ上陸

ここまでの文章を読んでおわかりいただけるように、上陸を前にして私のテンションは上がりきっていた。犬なら嬉ションしていたかもしれないくらいだ。そして福江の街が見えてきて私のテンションは最高潮に達したが、意外と大きな街だな、ということに同時に驚いてもいた。

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別段侮っていたわけでもなんでもなく、むしろリスペクトを持って訪れたのだが、しかし八丈島くらいの街の大きさを想像していたら大間違いだった。これは石垣島くらいあるぞ。

そうして五島のメインアイランド、福江島に驚きとともに降り立つと、なんだ、ドラッグストアはあるし、ポプラだけどコンビニもあるじゃあないか。しかし、いい。慌てずとも島のものは今日の昼以降いくらでも食べられるのだ。城址(こんなに港の近くにある城というのもなんだか新鮮だ)を横目に見つつ、車を借りにレンタカー屋まで歩く。これだけ大きい街だと、テキトーに貸してはくれなそうだ。

予想通り、レンタカー屋では、ちゃんと申し込み用紙等を書き免許証を提示することになった。侮っているわけではないが、やはり福江島、市であるだけあって認識を改めねばなるまい。足もゲットしたし、さあ、いよいよ島内をガシガシ回ろう。

(つづく。いよいよいよいよ島内めぐりが始まるぞ)

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