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【院試解説】令和元年度 東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 1A (1)

こんにちは やまたくです。

今日は院試解説として

令和元年度 東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 1A(1)

を解いていこうと思います。
今回は薬剤師国家試験に出題されたことのある有名問題も含まれているので、是非大学院受験を控えている方だけではなく、薬学部に通っている方にも見ていただけたら幸いです。
著作権上の都合から、問題は大学ホームページのリンクからダウンロードしてください。



①  芳香族・反芳香族・非芳香族の判定

芳香族・反芳香族・非芳香族の判定は有機化学を学び始めて最初の頃に出てくる問題ですね!!

簡単におさらいしておくと下記のようになります。

芳香族性:
・環状である。
・環全体が平面構造をとっている。
・環内に完全な共役π電子系を持つ。
・π電子系に含まれる電子の数が4n+2(nは任意の整数)個である
=ヒュッケル則を満たしていること!!

反芳香族性:
・環状である。
・環全体が平面構造をとっている。
・環内に完全な共役π電子系を持つ。
・π電子系に含まれる電子の数が4nπ(nは任意の整数)個である。

非芳香族性:
・上記2つの族性に当てはまらないもの

これらのルールを用いて考えるとA~Fの化合物はそれぞれ下記のように分類することができます。

スクリーンショット 2020-05-07 午後10.02.17

したがって本問題では芳香族の化合物を答えるのでC、Eが正解となります。


② ピロールの塩基性度はなぜ低いのか?

ピロリジンとピロールの塩基性度の違いに関する問題ですね!!
薬剤師国家試験にも正誤問題でよく出題されるので薬学系の方も是非理解しておくようにしましょう !!

スクリーンショット 2020-05-07 午後10.13.25

ピロリジンに含まれる窒素原子の非共有電子対は、プロトンを受け取ることができるので、塩基性を示しますが、ピロールに含まれる非共有電子対は、p軌道に収容された芳香属性に寄与しており、プロトンを受け取ることができないので、ピロールは塩基性を示さないことになります。したがって、ピロリジンに比べてピロールの方が塩基性は弱くなります。

これを設問の条件を満たすように1行程度で簡潔にまとめると答えは

化合物Gの非共有電子対は芳香属性に関与しており、プロトンを受け取ることができないから。

となると思います。


終わりに

今回の問題は理工系大学の一年生が前期に扱う程度の内容だと思うので、受験を控えている人以外にとっても復習になる問題だったのではないでしょうか?

質問やコメントがあれば残していってもらえれば嬉しいです。

(この記事は100%合っていることを保証する解答ではないので間違いがあるかもしれません。もし間違い等があればコメントで教えて頂ければ幸いです)

ご愛読いただきありがとうございます