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アメリカで感じた「正解を当てるより大切な、理由を考える力の育み」

2年弱のアメリカ滞在中に「これはいいな。真似したい」と思ったポイントを書いていく、アメリカの「これいいな」シリーズ。

第2弾は"小学校の授業"小3息子と保育園年長(アメリカでは小1)娘から聞いた話が興味深かったので、子供達との対話をそのままご紹介します。


◎答えが合ってる子より、良い理由を考えられた子が褒められる

夕飯時、子供達の学校生活の話を聞くのが楽しい。

先日、息子がエビグラタンを頬張りながら算数の授業についてこんなことを言った。「アメリカの学校では、答えが合っている子よりも、Reason(理由)の良い子が先生に褒められたよ」。

アメリカで身についたルー大柴風の喋りが、帰国後もなかなか抜けない。隣りに座る6歳の娘もまたアメリカの学校で身につけた「me too」のハンドサイン(親指と小指を立てた手を左右に振る)を見せて、同調する。

「それ、面白いね。具体的にはどんな感じなの?」と私は思わず引き込まれる。「例えばね~。算数の練習問題を解いて、みんなで答え合わせをするとき、答えだけじゃなくて、それを答えだと思った理由を皆にシェアするんだよ」。そして答えが正解の子よりも、理由が論理的で説得力のある子の方がより褒められる、ということらしい。

「理由が大事だから、答えは間違えていてもいいんだよ。いつもパートナーと一緒に考えるの」と娘が負けじと付け加える。

「なるほどね~面白いね!」と納得する私。「他の科目もそうなの?」夫も興味津々で加わってくる。

他の科目も全部そうだったよ」。グラタンの上にのったモッツァレラチーズをびよーんと伸ばしながら、息子は答える。

「社会科(アメリカでSocial studies)はどんな感じなの?」とさらに尋ねる。
「日本の学校でもアメリカの学校でも、住んでいる場所の特徴とな歴史を習うよ」と息子は答えた。ただ授業スタイルは対照的だったという。

日本の学校だと、先生が歴史や地理についてたくさんのことを説明してくれるので、それを聞くのが基本スタイル。一方でアメリカの学校だと、先生が「この近くを流れる●●川はかなり汚染されてしまっています。どうして汚れてしまったと思いますか。今私たちは何をしたら良いのでしょうか」ということを皆で考えながら進めるのが基本スタイルだったようだ。

◎Answers are important, but they are not math.

子供達の通っていたアメリカの学校では、新学年が始まる時期に「カリキュラムナイト」という保護者向けの学習カリキュラム説明会があった。

そのとき息子の担任の先生が熱心に説明してくださった授業方針のメモを見返してみると、算数の授業にはこんな方針が掲げられていた。
「Thinking is more important than speed. 」
「Errors are gifts that promote discussion.」
「Answers are important, but they are not math.」
「We learn by talking about each other's ideas.」

もう一度。

Answers are important, but they are not math.

いつかどこかで言ってみたい。

つまり、正確な答えの数値を求める計算力を習得するだけでなく、問題の本質を見極めるために、物事を体系的に捉えたり解決策を論理的に導き出す力を養うというイメージだろうか。

息子は「日本の学校は、算数の進むのが早い。アメリカの学校みたくもっとじっくりやりたいな」とこぼす。きれいになったグラタン皿の底に大ぶりの海老が並んでる。好きなものを最後に残すタイプだ。私は海老はできればグラタンと一緒にじっくり食べてほしいなと思う。

よく日本の教育は、詰め込み式だってしばしば言われるけれど、日本でしか教育を受けていない私には、それが勉強というものだと思っている節さえあって正直ピンとは来なかった。息子は肌で感じているのだろう。

私自身、正解を探す癖が身についてしまっているがゆえに苦労した経験は何度となくある。「正解」は時に、人を思考停止にさせたり、苦しめたりもする。だから必要以上にとらわれすぎない方が良い。

どうして1+1=2じゃなきゃいけないの?皆がハッピーになれるなら、皆が納得できる理由も用意できるなら、1+1=3にしてもいいんじゃない?こういったスタンスで物事を疑ったり考える癖をつけていけば、本質を見極めようとする姿勢が育まれる。

そして柔軟に自分なりの正解を立てて、理由を考える力を育むことは、いずれ大人になって(もちろん子供でも)新規ビジネスを考えたり、新たな仕組み作りをするのにも確実に役立つだろう。

正解を当てるより、理由を考える力の育み。一緒に始めてみませんか?


※サムネ写真はMIT大学のシンボル的なドーム。川沿いに建つこのドームの周りには芝生広場がたくさんあり、学生たちがよく楽しそうに談笑していた。

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