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賢者は皆同じように考える: 日本企業が 欧州のスタートアップと事業提携すべき理由

日本と欧州は深い歴史と文化を持つだけでなく、ビジネスの世界でも多くの共通点があります。私たちTrustedは、日本企業とEUを拠点とするスタートアップとのパートナーシップが多くの場合に最良の組み合わせとなることを見出しました。
ここでは、御社のビジネスを成功させるために必要な3つのピースについて説明いたします。

1. 欧州と日本:同種の産業、よく似た市場

日本と欧州は同じ得意分野を持っています。このことはグローバルビジネスの世界において、ライバルとの激しい競争に挑む際の防衛策としてよりも、むしろ真の協力関係を構築する機会が得られる側面に大きな意味があります。
世界有数の輸出大国である日本の産業では、実質GDPに占める製造業の割合がもっとも高く、自動車、機械、電子機器、光学製品、ハイテク機器、医療機器などを中心に生産しています。
EUでも製造業はサービス業に次ぐ第2位の産業です。Eurostat(欧州統計局)によれば、2019年のEU域外への輸出トップ5は上位から順に機械装置、電気機器、自動車、医薬品および医療用品、化学製品、コンピュータおよび電子・光学製品であり、日本とほぼ一致しています。
「ネジには気づかないが、ネジはすべてを支えている」のです。

例えば、ドイツは、これらの産業分野でのパートナーシップがいかに強力であるかということを長年に渡って実感してきました。ドイツでは、大企業ではない名の知れたミッテルシュタント(中小企業)が国の経済基盤を支えており、何十年も前から完成品ではなく高品質の部品を供給することに特化しています。このことは、ドイツが他国に対し経済的な優位性を持つ理由になっています。
日本やアジアの最終製品に使用されるドイツ製部品のサプライチェーンは非常に強固であるため、不況時にも影響を受けにくく、ドイツは金属やプラスチックなどの部品製造という地味な事業を基幹産業としてゆっくりと成長を続け、いまや世界第4位の経済大国となりました。

伝統的な製造業はさておき、欧州のスタートアップは、一般的にドイツと同じような堅実な姿勢を持つという特徴があります。欧州のスタートアップは、自らの市場でニッチなソリューションを生み出していて、その市場は日本と一部重なる所があります。当然、彼らは日本市場に合わせたソリューションを開発しており、必要最小限の調整とローカライズで対応できます。このことは、一貫性があり手間のかからないパートナーシップを実現する上で、大きな利点となります。

2. ものづくりの心は欧州文化に根付いている

ものづくりの心、つまり質の高いものを生み出すことへの気配りと矜持はクラフトマンシップの証であり、日本だけのものではありません。欧州では100年の歴史を持つギルド(組合)が、それぞれの仕事に特化して最高レベルのものづくりをしてきた伝統があります。日本人がドイツ語の「マイスター」という言葉で、仕事の達人を表現することを好むのは偶然ではありません。

このマインドセットは単に技術だけではなく、欧州文化に深く根付いています。イタリアの革製品からフランスのオート・クチュール、ドイツの工業技術に至るまで、EUの製品は細部にまでこだわった最高級の品質によって長持ちするように作られています。
それらの発想の背景には長期的な視点にもとづく理念があり、EUの技術やスタートアップの文化にも同じ考え方が浸透していることがわかります。
自分のビジネスを「早く成長させて」「売却する」。この2つの言葉がシリコンバレーを連想させるように、シリコンバレーのほとんどの企業はそれを目標としています。
ハーバード・ビジネス・レビューによると、シリコンバレーでは経済主体の持続可能性と収益性よりも成長性の追求を優先する事例があまりにも多いとのことです。このような戦略は、シリコンバレーのスタートアップと異なる考え方を持つ日本企業との間に不満を生じさせパートナーシップを著しく阻害するでしょう。また、最終的にプロジェクトが停止することでコストの回収不能を招くかもしれません。
それに対してEUのスタートアップは長期的に事業を展開しており、その土地や市場との結びつきの文化を育んでいます。成長と売却のアプローチではなく、日本企業のように市場に適応し、市場と共に成長していくことを目指しているため、リスクの少ない優れたパートナーとなりうるのです。

3. 未開拓のニッチな市場と新しいスタートアップを発見できる機会

シリコンバレーのスタートアップの多くは、ブロックチェーン、フィンテック、AIという3つの分野のいずれかで事業を展開しています。一方、EUのスタートアップは、より幅広い知識や技能を対象にしています。これは、EUのスタートアップが、欧州市場のヘルスケア、ファッション、食品・飲料、インフラなどの幅広い業界を対象としたフィンテック、クリーンテック、あるいはハードウェアやソフトウェアといったさまざまな分野から生まれてきたからです。欧州のスタートアップの中には、まだ日本であまり知られていないが歯車のように日本市場にぴったりとはまる高度に専門化されたソリューションを持つ企業が数多く存在しています。

ニッチな市場での競争を減らして、ビジネスを次のレベルに引き上げてくれるパートナーを探している日本企業にとって、これは未開拓のとても大きな機会を手に入れることを意味します。Trustedのサービスをご利用いただくことで、将来のパートナーがEU内で主流企業としての地位を確立する前にそれらを見出し、パートナーシップを結ぶことで、独自の市場優位性を得ることができます。

日本と同様に、EUの企業はリスク回避志向が強く、馴染みのない企業との提携には消極的な傾向があります。私たちは、欧州の現地パートナーを通じて、プロジェクトの成功に必要なEUのスタートアップとの架け橋となります。これにより、日本とEUのテック企業による共生の可能性を活かし、単なる提携を超えたパートナーシップを作ることができます。

Writer: Mareike Dornhege

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