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Connecting the dots⑤:ホントの意味で相手を理解することってできるのか

こんにちは!
大学に入って
せっせと日本中の川を下っていました
というのが前回でした。
(記事はこちらから↓)

Connecting the dots(点と点をつなげる)シリーズ
5回目になるこの投稿では、
「相手を理解するってどういうこと?」
という学生時代の興味=Dot(点)が
現在の私の活動の1つであるコーチングに
どのようにつながるのか
お話しさせていただきますね。

大学3年生では文化人類学のゼミに所属しました。
文化人類学とは
世界中の民族の文化(=衣食住・言語・儀礼その他もろもろ)を
理解しようと試みる学問のこと。
人類学者が
アジアやアフリカ・南米の原住民たちの中に一定期間住み込み
(=フィールドワークと言います)
彼らの文化構造・社会構造などを分析し記述していきます。

世界不思議発見のミステリーハンターになりたかった私が
世界中の様々な文化を知りたい!と思ったのは
ある意味自然な流れだったと思います。

恥ずかしながら
私は勉強熱心ではなかったので
詳細は覚えていないのですが
当時一番魅了されたのは、
「ポストコロニアリズムの視点からの人類学批判」
というテーマでした。

ポストコロニアリズムという
なんともアカデミックな単語を急に出しましたが
私の脳内倉庫の相当奥にしまわれておりまして
今回この記事を書くために
遙か彼方、遠いどこかの砂漠の中に埋もれていた記憶を
必死に呼び起こしながら
インターネットをリサーチする中で
再発掘しました(笑)。

ポストコロニアリズムは
「ポスト(=後)」と「コロニアリズム(=植民地主義)」が
組み合わさってできています。

欧米諸国がアジアやアフリカの国々を征服して
支配下の人々を抑圧してきた植民地政策の歴史を批判する主張であり、
支配者ではなく支配される者の視点から論じられています。

このポストコロニアリズムの視座から
人類学の歴史を紐解いた時に
人類学とは、
植民地政策を正当化するために
支配者であるヨーロッパ諸国が
自らに利するように
被支配者を理解しようとしているにすぎないのではないか
支配を強化するための一つのツールだったのではないか
と批判が出た訳です。

人類学者たち(支配者である白人たち)が
We(自分たち)=発達している・優れている存在
Them(被支配者である原住民たち)=未開・野蛮・劣っている存在
という無意識のフィルターの中で
ナラティブを構築しているのではないか
という指摘でした。

Themを客観的に叙述しているつもりかもしれないけれど
おいおい、待ってくれよ
ThemをみているWeって何者なのさ、
っていうことですね。

(ふう、私なりの理解でなんとかここまで書きました。
専門家ではないので若干の語弊がある場合はご容赦ください)

ポストコロニアリズムを知る中で
「一体誰が観察しているのだろうか」
「観察者の主観が排除された完全な客観的な叙述というのは可能なのか」
「真の意味で他者を理解とはどういうことなのか」
「そもそも他者を真に理解することは可能なのか」
といった問いが脳内を駆け巡り
当時の私はゾクゾクワクワクしたのです。

今から振り返って
点と点をつなげるとすると
これら問いは
まさにコーチングにおける
コーチのあり方に通じます。

人間はそれぞれ自分のフィルターを通して世界を認識しています。
言わば「色眼鏡」をかけているのです。

AさんとBさんが同じ空間で同じ時間を過ごしたとしても
Aさんが見えている世界と
Bさんが見えている世界が
違うのは当たり前。

Aさんがかけている色眼鏡は水色で
Bさんの色眼鏡はピンク色かもしれないからです。

コーチングセッションにおいて
コーチの役割は
自分のフィルターを極力排除してニュートラルになり
相手がどんなフィルターで世界を見ているのかを理解し
さらにその世界を一段上から俯瞰して見ること
そして
そのフィルターによりクライアントが前に進めずにいるのであれば
フィルターの汚れをきれいにしたり
違う色のフィルターに変えたりするのを促すことです。
(※フィルターそのものをなくすことはできません!)

その目的の実現のためには
まずコーチ自身が
自分がどんな色眼鏡をかけているのかを理解している必要があります。
ポストコロニアリズムの批判を受けた人類学者たちが
自分がどんな色眼鏡をかけて
フィールドワークをし、ナラティブを紡ごうとしているのかを
自己反省しようとしたように。

ね?
コーチングと文化人類学、つながったでしょ?

そして更に、今振り返って思うのは
「真に他者を理解をすることはできるのか」
という問いへの関心の根底には
「分かってもらえない」「分かりあえない」
という思いが私の中にくすぶっていたのではないか
ということです。

これについては
Connecting the dots⑥(米国留学編)でお伝えしますね。

ここまで読んで頂き感謝!
次のNoteでお会いしましょう。

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