秀水小田敦
本を読みます。がんばって読みます。
「日々の営み」を書きます。ぼちぼち生きてます。なんとか、なる。
『父と暮らせば』井上ひさし(新潮文庫) 戯曲です。芝居の初演自体はけっこう古いです。1994年とありました。 昭和23年の広島が舞台です。原爆で身内を失った一人暮らしの23歳の女性が、小さな恋を拾おうとする話です。短い戯曲ですが、私は後半、何度も目頭が熱くなりました。 シンプルな、しかし力強い、いい戯曲でした。 で、しばらくして私は考えました。 先々週の土曜日に、モネとかドガとかの絵を見に行きました。 先週の日曜日には、ピアノ・ソナタを聴きに行きました。 そ
さあ「風薫る五月」の気持ちいい季節に向かって一直線、……とはいうものの、実は私はこの季節、数年前から「発病」した花粉症のおかげで、気分的には今ひとつであります。もっとも、飲み薬や点鼻薬などそれなりの物を使うと、一定時間内はそれが効いてそんなに気にしなくてもいい状態ではありますが。 しかし、鼻づまりだけじゃなく、これも同じく数年前からなので花粉症の一環かなと思っていたのですが、昼間やたらとのどが渇いて声が嗄れてしまうのです。 ある日突然こうなった時は、かなり困ってしま
最近やっと分かってきたんですが、我が娘は、どうも格闘技オタクな所があるようであるな、と。合気道も、週一回で習いに行っていますし、先日近隣の空手道場についてネットで調べておりました。 まぁ物騒な世の中ですから、女性が肉体格闘技的にも我が身を自分で守れるようになるのは、大切なことだとは思うのですが、しかし、軟派な父親となんと遙かに違うことでしょうか。 なんか今まで一緒に並んで立って眺めていたはずの人生の地平が、尋ねてみるとまるで違うものを見ていたようで、少し圧倒される思い
ある芸術系大学のオペラを、先日見てきました。 以前その大学の文化行事の招待券を貰って見に行って以来、なかなか面白かったものだから時々ホームページを覗いていて、それで知りました。学生による舞台です。 そもそも芸大学生によるオペラというものは、どの程度に芸術性があるのでしょうかね。なかなか一概には言えないものでありましょうが、今日の公演の帰りにこんな風に考えていました。 まず楽団、つまりオーケストラについて考えてみます。しかし、比べるといってもウィーン・フィルとかベル
『新・シングルライフ』海老坂武(集英社新書) 今回上記の本を読んだのは、少し前に、関川夏央の『中年シングル生活』というよく似た感じの本を読んだんですね。するとその本がなかなかに面白くって、そんなことを覚えていたものだから、またこれもと選んだんですが、うーん、前半から中盤くらいまでは、なんともうじうじしたシングルライフの理論武装(なにゆえに自分はシングルであるのかといった)が書かれてありました。 それがまた、非常にショボイ。こんなこと書いているからシングル者は気楽なも
夜遅くテレビをつけたら、懐かしい作品をしていました。途中からだったのですが、つい、最後まで見てしまいました。 『博士の愛した数式』です。 これももう、早いもので、かなり前の映画になりますね。当時どれほどヒットした映画なのか、私は全然知らないのですが、小川洋子の原作はなかなかの名作で、ベストセラーになりました。 私は、原作の小説を3回読みました。じつは読むほどに、少しアラが見えてきたかなーという感じはしたように思ったのですが、しかし今に至る近年の私の読んだ小説の中では
『カラヤンとフルトヴェングラー』中川右介(幻冬舎新書) うーん、しかしこの本はどういうんでしょうね。 まー、一気に読んでしまいましたから、面白かったのは確かだと思いますが、ちょっと、後味の悪いものが残ったという感じがあるんですがー。 作者は「あとがき」に「『人柄のいい人』の『お上手な演奏』など、聴きたくない」と書いています(そもそもこの書き方には問題があると私は思います)が、そして芸術家は芸術的才能のみでは通用しないとも書いてますが、もちろんそれについては私もある
今月初旬の話ですが、クラシック音楽のコンサートに行って来ました。 メインのプログラムは、「ブルックナー・交響曲第7番」であります。 オーケストラの紹介とかにつきましては、私などは元もと音楽については好き勝手に聴いているだけで見識もなければポリシーもなく、また細かなところを聴き分ける耳も持っていないという、ないないづくしで聴いているものですから、細かな情報はパスします。 なに、パスしたところで困るような、そんな「通」のお話ではまるでありません。 そもそも交響曲が好
『村上T』村上春樹(マガジンハウス) 図書館で予約をして、しばらく待って借りました。 図書館の予約って、ちょっと話題になった本には、100人200人と予約が付きますね。 そんな人気本の場合、図書館も何冊か購入していましょうから、例えば100人待ちでもそのまま100番目ではないでしょうが、でもやはり借りるまでに数か月はかかりそうです。 知人に図書館に勤めている人がいるのですが、どこの世界もよく似たものでしょうが、図書館にもすごい「ヘビーユーザー」がいらっしゃる
『モーツァルト99の謎』近藤昭二(二見文庫) モーツァルトのエピソードについて書かれてある本です。 はっきり言って、少し「キワモノ」じみた感じの本ですね。だってタイトルがそんな感じであります。 でも以前にもこれと同シリーズですかね、『金田一耕助99の謎』って本を読んだんですが、私は金田一耕助ファンなんですが、とっても面白かったです。 我々素人は、何かについて、自分では割とよく知っているつもりでも、なかなか集中し纏まってその事について調べたり学んだりしませんから
なぜか、「フーテンの寅」がマイ・ブームであります。 いえ、厳密に言いますと、「マイ・ブームでありました。」 ブームも今は少し、沈潜いたしております。 そもそもなぜに今時「寅」? と、まー、我ながら思いはするのですが、いえ私なりに考えることもいろいろとあったんですね、これが。 しかし普段あまり触れたことのない芸術・芸能方面について、その作品を批評するというのはけっこう難しいものですね。特にその価値判断となると、かなり難しいと思います。 というのは結局、いろんな
『疾風怒濤のクラシック案内』宮本文昭(アスキー新書) ブルックナーの交響曲が好きなもので、わりとしょっちゅう聴いています。 一方、ブルックナーが得意な指揮者がやはりいらっしゃいまして、その方たちの「名盤」といわれるCDをよく聴いて、自然とそんな方の「ファン」になったりします。 例えば、チェリビダッケとかヨッフムとかいう指揮者の方たちです。 さて、上記の本を読みました。 こういう「名曲案内」の本は結構たくさん出版されていますが、私も目に付くままに結構読みます。
『ストラディヴァリウス』横山進一(アスキー新書) こんな本を読みました。 本の始めに沢山のストラディヴァリウスの写真が載っているページがあったりして、とっても楽しい本でした。 現在、ストラディヴァリの作った弦楽器は約600本(ヴァイオリン約520本・ヴィオラ約20本・チェロ約50本)が残っているそうですが(このうち日本には約70本)、んー、何というか、そもそもヴァイオリン制作者ストラディヴァリの作ったヴァイオリンというのは、300年ほども昔のものであるわけですね
『老いを創める』日野原重明(朝日文庫) ------------------------- こんどのわたしの誕生日に、わたしはいよいよ逝くだろう、 わたしは 身近に友らを求める―― 彼らの手のやさしい感触のうちに 世界の究極の愛のうちに わたしは 人生最上の恵みをたずさえて行こう、 人間の最後の祝福をたずさえて行こう。 今日 わたしの頭陀袋は空っぽだ―― 与えるべきすべてを 私は与えつくした その返礼に もしなにがしかのものが―― いくらか
『岸辺のアルバム』山田太一(光文社文庫) この本も、例の「大量古本店」で買いました。 今となっては、少し(かなり)古い小説です。 ところがこの古い小説ですが、「わが国のホームドラマに革命を起こした不朽の名作」であります。 なるほど、そもそもはテレビドラマのシナリオなんですね。山田太一氏ですものね。 で、かなり評価の高い作品であったということも、私はうすうす知っていました。 今回読んでみて、とってもおもしろかったです。なんというか、思わず感情移入してしま