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学生オペラ歌手の実力や如何に

 ある芸術系大学のオペラを、先日見てきました。
 以前その大学の文化行事の招待券を貰って見に行って以来、なかなか面白かったものだから時々ホームページを覗いていて、それで知りました。学生による舞台です。

 そもそも芸大学生によるオペラというものは、どの程度に芸術性があるのでしょうかね。なかなか一概には言えないものでありましょうが、今日の公演の帰りにこんな風に考えていました。

 まず楽団、つまりオーケストラについて考えてみます。しかし、比べるといってもウィーン・フィルとかベルリン・フィルとかと比べるのはいくら何でも酷というものだろうから、とりあえず国内の一応プロのオケを比較の基準としてみます。

 野球に例えて考えてみると、オーケストラについては、まぁ、プロ野球と実業団チームくらいの違いでしょうかね。個人的にはなかなか聴ける感じがしました。

 しかし「オペラ歌手」について。これはちょっと実力差が歴然という感じがしましたね。
 プロ野球と高校野球くらいかもしれませんね。いや、もう少し差があるかも知れません。
 「一生懸命のプレーですから、エラーは仕方ありません」という、高校野球のアナウンスの、あの感じですかね。

 そう言えばモーツァルトほどでなくとも、ピアノやバイオリンの神童というのはよく耳しますが、歌唱の天才少年(少女)ってのはあまり聞きませんね。(特に少年は、変声期という大きな「試練」がありますから。)それこそ美空ひばりくらいなモンですかね。(そんなことないのかな。)

 学校唱歌みたいな曲を単純に歌うだけならともかく、オペラとなると、表現力とか説得力なんかにやはりキャリアが必要になってくるんでしょうね。
 と、まぁ、そんな風に考えていたのですが、でもなかなか面白かったです。

 また、今回のオペラでは、日本語翻訳の歌を歌っていましたが、でも思っていたよりも違和感は感じなかったです。
 そもそも歌詞なんてものは日本語であっても、一度聞いたくらいでは隅々まで分かるものではありませんので、ドイツ語イタリア語の場合とかなり似通った感じで聴けたんじゃないかなと、「瓢箪から駒」に思いました。

 小林秀雄は『モーツァルト』の中で、木管も声帯も同じだと、かなり極端なことを書いていましたが、いくらなんでもそこまではいい過ぎとしても、音としてのすばらしさだけでかなりいいんでしょうね。

 しかし本当は、今回のオペラについて、何よりこっそりすばらしかったのは、料金が全席自由席で「激安」だったことにあります。おかげで私は、前から十列目あたりのど真ん中で見ていました。

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