マエストロのエピソードがとっても楽しい
『疾風怒濤のクラシック案内』宮本文昭(アスキー新書)
ブルックナーの交響曲が好きなもので、わりとしょっちゅう聴いています。
一方、ブルックナーが得意な指揮者がやはりいらっしゃいまして、その方たちの「名盤」といわれるCDをよく聴いて、自然とそんな方の「ファン」になったりします。
例えば、チェリビダッケとかヨッフムとかいう指揮者の方たちです。
さて、上記の本を読みました。
こういう「名曲案内」の本は結構たくさん出版されていますが、私も目に付くままに結構読みます。
別にこの本が一連のそんな中で、圧倒的に「名著」というわけではありません(たぶん)。
「大同小異」と言えばそうなんでしょうが、いかんせんクラシック音楽になんとなーく触れている時間が長いとうれしいという性分なもので、ぼんやり楽しく読んでいます。
ただ本書が少し違うのは、筆者が元オーボエ奏者で、ドイツに留学後いくつかのオーケストラの首席オーボエ奏者をなさったことで、そのオーケストラの一つにケルン放送交響楽団という団体があったりします。
さてここまで読んで、ブルックナー、ケルン、……なるほどね、そうつなぐかと思われた方は、まー、「通」……ってほどでもないですか、クラシック・マニアにとっては常識ですかね。(私自身は、マニアでも通でもないんですがー。)
私も、最初に著者略歴を読みまして、どこかで触れられるかなと読んでいましたら、やはり出てきました。
マエストロ・ギュンター・ヴァント「大指揮者」であります。
この方もブルックナーを得意となさっていた指揮者(第一級の!)で、私も「大ファン」であります。
彼のいろんなエピソードが書いてあってとてもうれしかったのですが、一つだけ紹介しますね。直接抜き出してみます。
重要なソロの出番が多いので、オーボエとホルンは大切にされます。かなり手厚くしてもらえます。
たとえば、指揮者のギュンター・ヴァント氏なんて、弦楽器との合奏のときに、
"Strings! And my dear winds!"
と呼びかけていました(実際はドイツ語です)。管楽器(winds)でソロを吹く人たちに向かっては、かなり気を使っているんですね。
それから、マーラーをやっているときは、
「オーボエは神の啓示だから、みなさん、心して聴いて伴奏してあげなさい」
なんて言い方をする指揮者もいました。
ふーん、そうなんだー。
自分では楽器演奏をせず鑑賞一辺倒なものだから、こんなちょっとしたことを知らないんですね、私は。
だからこんなエピソードを読むとうれしく、この本はそんなお話がたくさん書いてある、とっても楽しい名曲案内でありました。
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