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自分に甘い? そういうあなたが、一番自分に厳しい(シリーズ最終回)

前回前々回 と2回に亘って、「なぜ私たちは人に厳しくなってしまうのか」ということを書いてみました。
お楽しみいただけましたでしょうか。
自分ゴトとしてお役に立っていれば幸いです。

「自分に厳しい人」という表現を使いましたので、もしかすると、「厳格な人」、「自分を厳しく律している人」という風に解釈して読まれた方もいらっしゃるかもしれません。

もし、「自分には関係ないや。だって、私は全くもって自分に甘いから」という方がいたら、今日の記事は、そんなあなたのために書いています。


「私って、本当に自分に甘くて」
「私って、本当にダメな人間で」

この謙遜にも思える言葉を使われる方、誰よりも自分に厳しい可能性があります。

「私には、そんな力や才能もないので」

というような方も。

これらの言葉の背景には、
「人は、本当は自らをしっかり律するべきだ」
「力量がないならば、そういう職業/役割に就くべきではない」
「仕事をするには、その資格を有しているべきだ」
という「〜べき」を持っていらっしゃる可能性があります。

それはつまり、
無理かもしれないことにもチャレンジすること、夢見ること、失敗することを、自分に許可していない
ということでもあります。

自分に許可していないことは、他者にも許可できない、というのは前回書いたとおりです。

例えば職場では、
未熟な上司が許せない、
上司のミスが許せない、
力量がないのにそのポストに就いている人が気に障る、
まだ現実的とは思えないビジョンを語る人に冷ややかになる、
といったことが起こり得ます。

ご自分も、昇格するのが怖い、新しい役割を担うことが怖い、と思われるでしょう。
それはそうです。
「仕事とはそれに相応しい力量を持っている人がやるべきだ」という”ルール”を持っているので、自分は相応しいのだろうか、と心配になってたまりません。
自分にその資格がないと思っているのに、その場所に立つのは、それはそれは怖ろしいことに違いありません。

世の中、厳しい人といえば、上司と思いがちですが、
いやいや、部下の方がよっぽど厳しいです。

トップやリーダー職としての経験値が上がるほど、確かにその方の「〜イズム」は形成されていき、それによる「〜べき」も生まれてしまいますが、その裏で周りがわからないほど沢山の苦い経験もされているはずです。
白黒つけられないことも、失敗も、自分の力だけではどうしようもない事象に遭遇することも増えます。
そういう経験をすればするほど、他者の失敗や試行錯誤に対する寛容さにつながります。

「私って、本当にダメな人間で」と言っている時、実は、失敗することのない安全地帯に留まり続けている、ということはないでしょうか?
その安全地帯から、渦中にいる人の失敗を冷ややかに見る人こそ、私には「他者に厳しい」と見えます。

人は永遠に完璧になどなりません。
リーダーシップ論では「求められる特性や行動」などいろいろ言いますが、そんなのが整ってからリーダーになるのではありません。
いくら机上で学んでも、ケーススタディをしても、全ての資質が整う日は来ません。
そういうものは、リーダーシップを発揮していくプロセスの中で、いろいろ失敗しながら身につけていくものです。

わからないままにも進むこと、試行錯誤すること、失敗すること。
私も含め、日本人はこのあたりは苦手な場合が多いと思います。
失敗してもやり直すことを、自分にも、相手にも、社会にも許可していくことができたら、
批判や糾弾に割いている膨大なエネルギーを、今本当に必要なことに注ぐことができるのではないか、
そしたら日本はもっと前を向いて、もっと優しくて暮らしやすく、同時に力強くたくましい社会になるのではないか、
と思っています。

そのためには、多くの人がリーダーシップを発揮してみる経験を持つといいな、その中で試行錯誤する経験を持つといいな、とも思っています。


少し脱線気味ですが、今日の設問は、こんな具合でいかがでしょう?

身の丈を超えるものにチャレンジをすること、
失敗すること、
やり直すこと、
夢見ること、
恥をかくこと、

自分に許可していますか?


前2本の記事を読まれていない方は、最後のリンクから併せてお読みください。

「なぜ他人に厳しくなってしまうのか」シリーズは、ここで一旦完結としたいと思います。
ちょっと重たいテーマが続きましたね。
写真で甘〜い感じを楽しんでくださいませ。


では、今日もよい一日を!

◆今日の写真は、神奈川県藤野のカフェより。いちごの洋菓子は大好物。

この記事は、2021年6月2日配信のここみち便りをリライトしたものです。
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