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スター・ウォーズシリーズの個人的推し曲たち

スター・ウォーズの各作から私のお気に入り劇伴を1~2曲ピックアップし解説する。

スター・ウォーズシリーズの楽曲はジョン・ウィリアムズが生み出しているが、彼の楽曲は聞けばシーンが思い起こせるのが特長である。順に音楽を聴くことで映画全編のストーリーが分かってしまうのがすごい。音楽とシーンの絆が強いゆえに、以下で紹介する楽曲は「≒好きなシーン」となるから、ところどころでシーンの解説となってしまうことをご容赦願いたい。

エピソード4


Binary Sunsets (いわゆるフォースのテーマ)

名シーンすぎるので割愛。この曲のアレンジによって後のストーリー、シリーズが叙述されていくためシリーズ最重要曲といえる。▼


The Throne Room/End Title

高揚感ももちろんだが、反乱同盟軍がフォースと共にある、という希望と喜びがライトモチーフとそのアレンジにより物語られた佳作。▼


エピソード5


Main Title

シリーズ冒頭であらすじを伝えるテロップと共に必ず流れる有名なメインテーマだが、毎回演奏が変わる。中でも私が最も好きなのが「帝国の逆襲」のものである。重厚感と激しさが特徴だが、これは悪役であるダース・ベイダーの存在や帝国の反撃劇というプロットゆえだろうか...。メタ的な推測をすれば、前作の成功を受け演奏者全体の中に流れる誇りと興奮が演奏に表れているようにも思える。大音量で聴いたとき、耳に一番悪いのはこれな気がする。▼


エピソード6


The Pit Of Carkoon

ジャバ・ザ・ハットの船で、ルークが反撃に出るとき、メインテーマをアレンジした戦闘曲が流れる。ジェダイとして成長したルーク・スカイウォーカーがする戦闘・反撃・交戦は、メインテーマを背負うことで観客に安心感と楽しみを与えてくれる。


エピソード1


Duel Of The Fates

言わずと知れた壮大でかっこいい曲。悲劇的なコーラスと、「剣の舞」のような焦燥感を組み合わせた見事な1曲。「プリクエルといえばこの曲!」というファンも多い。シリーズ史上最高の殺陣を見せるダース・モールの印象をより強固にした。


Augie's Great Municipal Band

明るく祝福ムードが溢れる曲であるが、これが「皇帝のテーマ」のアレンジだと気づくと鳥肌が立つ。この勝利はすべて後の皇帝ダース・シディアスの掌の上にあるにすぎず、登場人物も映画観客もぬか喜びしているにすぎないことが伝わってしまう佳作。これほどまでにライトモチーフを駆使できるジョン・ウィリアムズは天才です。▼


エピソード2


Confrontation With Count Dooku And Finale

プリクエルシリーズの第2作である「クローンの攻撃」では、徐々に変化していく政治情勢が緻密に描かれている。そのクライマックスに流れるのがこの曲であるが、ジェダイによる秩序は終わり、共和国崩壊のシナリオが決定的になったということが後の銀河帝国の強さを象徴する「帝国のマーチ」のアレンジにより伝わる。ファンとしては絶望感と同時に名曲のアレンジによる高揚感も覚えるため複雑な気持ちになる一曲。▼


エピソード3


Main Title

「たたた たーたー たたたたー」の裏でスネアドラムが強調されている。軍歌的、マーチ的なアレンジにより、親しみある希望的なメインテーマの中に不穏な事態を連想せざるを得ない。ただし、この巧妙なアレンジも、オープニングスクロールで流れる「War!」の文字によって台無し感は否めない笑▼


A New Hope / End Credits

ルーク・スカイウォーカーの里親となったラーズ夫妻が、ルークと同じ地・同じ状況で双子の太陽を仰ぐ。そこで流れる曲はもちろんフォースのテーマ。ここからエンドロールは始まり、メドレーの終盤にはエピソード4の王座の間が流れる。シリーズに関わったスタッフ、追いかけてきたファンへの祝福を思わせる名メドレー。▼


エピソード7


March of the Resistance

シークエルで最も評価されるべきジョン・ウィリアムズの仕事を挙げるなら、私は迷わずこの曲を選ぶ。かっこいいから。


レイの覚醒のテーマ(サントラ未収録) / Burning Homestead

「新たなる希望」にて、帝国軍に家を焼かれ両親を殺害されたルーク・スカイウォーカーが宇宙への旅を決意するとき、フォースのテーマのアレンジが流れる。人生の最大の岐路における選択のテーマとして流れる曲が、レイのフォースが覚醒するこのシーンで流れるのは感慨深い。▼


エピソード8


THE BATTLE OF CRAIT

ファースト・オーダーの圧倒的な戦力に太刀打ちできないレジスタンス。立ち込める絶望感に希望を与えるのは、レイとチューバッカが乗るミレニアム・ファルコン号。ミレニアム・ファルコンが史上最も活躍するのはエンドアの戦いに間違いは無いだろうが、第2デス・スターに突入する際に流れるファルコン号のテーマアレンジがこのクレートの戦いで流れる。シーンの状況やカメラワークが似ているだけに、往年のファンは喜びを感じる。


エピソード9


Finale

スター・ウォーズサーガのエンディングを飾る曲である。レイが新たなる故郷を見つけ、そこに映る情景は「新たなる希望」でルークが眺める夕陽そのもの。もちろんそこでは「フォースのテーマ」が流れるが、これを導入としたエンドロールでのメドレーは、スター・ウォーズサーガを締め括るにふさわしい名曲揃い。また、エンドロール中にオープニングであるメインテーマが流れるのはこの「エピソード9」だけ。▼


謝辞

本稿の冒頭でも述べたが、ジョン・ウィリアムズの楽曲は、シーンとの親和性が強く、聴くことによる感情の誘導も的確である。それぞれの曲を聴くことで、映画鑑賞時の感情がフラッシュバックする。

もし、彼の楽曲を聴き心に響くものがあれば、それは映画を観ても同様の感情を得られることを保証してくれるだろう。本稿が、そんな曲に出会うきっかけとなり、また作品理解の一助となれたのであれば、ファンの一人としてこの上ない喜びである。


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