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チェルノブイリ日記 29 ~ 雨が忍び寄る部屋

上層階にも行ってみる

 前回のあらすじ。
 知らない人の家を訪ねました。

 階段を上がってもう1軒訪ねましょう。マンションですしどの部屋も似たり寄ったりだろうという気もしますけど……。

 踊り場に集合ポストが設置されていました。良い具合に錆びれて来ていますね。かつては友人や恋人からの手紙を待つ人が期待に胸を膨らませてこのポストを覗いていたのでしょう。
 しかし小さいポストだなぁ。ハガキや封書だけならこれで十分だったのかな。現代のように通販で大きめの荷物が届くということもなかったでしょうしね。

 ところでこのポスト、よく見ますと口が12ありますね。あれ、5階建てで1階に2部屋だから10で良いのでは……。謎です。既製品のポストでこの口の数しかなかったとか?

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※ 過去の日記はこちらから。

 同じく踊り場にて、配電盤というの? 分かりませんが、ちょっとスカスカ過ぎません……? これが何かの役割を果たしているの?
 電気については明るくありませんでしてこの姿が正解なのか不正解なのか全く分かりません。

 お邪魔します……。
 前回訪れた部屋に比べますと綺麗に思いますね。あくまで比べればですけど。

 綺麗と思ったのは一瞬でした。
 経年劣化だけでこうなったのか、人の手の破壊もあったのかはやはり謎です。そしてカビ臭い……。

 部屋を覗いてみます。

 長靴が片方だけ立っていました。恐らく私のような訪問者が撮影のために立てたのでしょうね。

 ベランダへ出られるようになっていますが間近に木が生えていて景色は期待出来なさそうですね。原発事故の前は何が見えていたのでしょう。

 別の部屋へ向かいます。

 前回も見ましたね、このガスコンロ。前回に比べますと形が綺麗に残っています。4口コンロ、日本ではあまり見かけませんよね。スペースに余裕がなくてちょっと使いにくそうな気はしますが……。
 壁のタイルは前回の部屋と違いますね。

 出入口の扉の上にまた扉がありますね。不思議な感覚です。物入れ? しかし奥行きがわりとありそうに見えます。うっかり押し込んだら取り出せなさそう……。
 人が出入りする口だったりして……?

 ぎゃぎゃぎゃーす! 危なーい!
 床が腐っています。うっかり踏み抜いたら大変なことです。

 ここは何の部屋だったのかな……この棒のような物は何だったのかな。まるで記憶がありません。
 デジカメが登場した当初ではあるまいし半ば無限に撮影出来るのですから、間取りが分かるようにメモとして適当に撮影していけば良かったのですけどね。
 あぁ、もしかして部屋の中ではなくて階段の踊り場だったのかな。次の部屋へ向かおうとしていたのかも知れません。前回の建物の外観を見直しましたらそんな感じですね。しかしこの棒は……?
 10年近くも経ってから日記を書くものではありませんね……。書くなら記憶が新しいうちに!

3部屋目には何がある

 ところでWikipediaによりますと、原発事故が起きて市民の避難が開始されるとき、身分証明書と3日分の食料、貴重品を持つよう指示されたそうです。

 3日で家に帰れると思っていたら実際に帰れたのは何ヶ月か後だったそうです。まぁ1週間や1ヶ月分の食料を持って来いと言われましてもそんな急には用意出来ないでしょうし、そもそも持てるかいという話もありますが……。
 しかもその帰宅はあくまで一時帰宅であって、もう二度と家には帰れないと分かってのことだったそうです。 

 何でもかんでも持って行けるわけではないから多少の残留物はありましょうとはいえ……やっぱりここも壊して行った感がありますよね。

 カビ臭く退廃的な雰囲気の部屋に造花の明るさが目立ちます。小さな物ですから持って行く荷物に入れても支障はない気はしますが、まぁ持って行ったところでですよね。

 べろんと剥がれた壁紙が目を惹きます。壁紙ってこういう風に剥がれるんや……。

 これはベッド? ソファ? 現役当時のままの姿で残っているならまだしも、何故このような中途半端なことに……。

 床に落ちている木? も元々は何だったのか。

 ここも床が腐ってる! 部屋の中とはいえ足元に注意して進まないと怪我をしますよ。昨日の原発5号炉に比べますとマシですけどね。

 さて足元に気を付けて進んだ先は……

 こ……。

 こ、こ、こ……。

 コケー! 苔の部屋や……。
 最上階だったのだと思います。天井のあたりを見ますと雨漏りをしているような雰囲気がありますね。

 床に落ちている布みたいな物は剥がれた壁紙だったりするのでしょうかね。それにしては小さいか? でも元々こういう壁だったとしたらちょっと寒々し過ぎますよね。

 安全靴ではなくてスニーカーを履いて来てしまいましたのであまりうろうろしたくないのですが、しちゃいますよね……。こういう人間がいずれ取り返しのつかない怪我をするのでしょうね。
 だって窓の向こうを見てみたいじゃないですか。

 さすがに最上階だけあって良い眺めですね。
 ところで何やら見覚えのある建物が……。

 27話で見ました学校崩壊の現場だ!
 あぁ、もしかして雨漏りが酷くて壁や柱が腐って崩れたのかなぁ? いやいやまさか?

 原発事故の前は学校が近くて子供としては楽だったのでしょうね。朝はゆっくり出来たり、忘れ物をしても頑張れば休み時間のうちに取りに帰れたりして。

 何やら懐かしい雰囲気のスイッチ。日本でも昔の家ってこういうのでしたよね?

次回予告

 4部屋目に行くか、建物から出るか?

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