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チェルノブイリ日記 28 ~ そこには温かい料理を囲む暮らしがあった

マンションのそばには公園がある?

 前回のあらすじ。
 学校崩壊の現場を視察しました。

 派手に崩壊している建物に入るのはさすがに危険ですので先へ進みます。
 あ、またキノコや……。キノコに詳しい人が見たら名前がパッと分かるんですかねぇ。

 イケメンとガイドの後ろを歩いていましたら森と化そうとしている街の中に何かが見えました。何か懐かしいような……。

※ この記事はトリップウォーカーに掲載していた「チェルノブイリ日記」を書き直したものです。有料の設定にしていますが、全て無料で読めます。読み終わって面白かったと思われましたら投げ銭として購入の手続きを行って下されば幸いです。

※ 過去の日記はこちらから。

 雲梯……ですかねぇ。パッと見は森の写真にしか見えないかも知れませんが、雲梯があるのですよ。
 懐かしいですね。小学校の校庭や町の公園にありましたね。しかしM字型というのか、真ん中のあたりが下がって地面に近くなっている雲梯というのは見たことがないように思います。
 ここは児童公園だったのでしょうか。探せば他にも遊具があるのかな。

 ゆう……ぐ?
 何かを見付けましたが、これは何ぞ。ベンチにしては座りにくいと思いますし、物干しでしたら下側の棒が並んでいる部分は何なのと思いますし、そもそもこんなところに設置するかという話ですし、鉄板を置いてバーベキュー……いやまさか。

 建物が見えて来ました。
 よく見ますと写真の右下に掲示板らしきものがありますね。

 掲示板……ですよねぇ。
 先程の雲梯や謎の何かといい掲示板といい、現役の頃は木々に呑まれようとしていることもなく、もっとすっきりとした場所に佇んでいたのでしょうけどね。

知らない人の家を訪問する

 それはそうとこの建物はマンションでしょうか。写真の右下が出入口と思うのですが、木が、木がぁ!
 そもそも何でこんなところに高い木が生えているのか? 原発事故の前から……とは考えにくいですよね。原発事故の後にどこかから種子が飛んで来て四半世紀経ってこうなったということなのかなぁ。

 そんな木を物ともせず建物の方へ歩くイケメンとガイド。いよいよ建物に入るのですね?

 日本の古い団地と同じ構造です。建物に出入口が何ヵ所かあって、螺旋階段ではないけどぐるぐると回る階段が上まで続いていて、踊り場の両端にそれぞれの部屋の扉があるという……分かって貰えますか。若い人にはイメージして貰えなかったりするんですかね。そういう構造の団地って次々と姿を消していっていますものね……。

 踊り場に掲示されていました。部屋番号と住民の名前でしょうか。
 5階建てで1階に2部屋ずつありますから部屋の数は合うのですが、16から25という部屋番号の付け方はどういうルールなんですかね。1階の部屋が16と17なのかなぁ。それにしたって1ヵ所の出入口で10部屋ですから11から始まるのではないの? 謎です。

 訪問者を連れて行く散策用の部屋があるのか適当に選ばれた部屋なのかは分かりませんが、イケメンが部屋に入りました。

 お邪魔します……。
 記憶が定かではないのですが、踊り場から入るといきなりこれだったはずです。えーと、玄関という概念はありますか? あ、靴を脱がないから要らないのか?
 ちょいと調べてみましたら靴を脱ぐ文化のようです。ただ、日本の玄関のように靴を脱ぐ場所とその先が明確に区別されているわけではない、こともあるようですね。

 このプリピャチの街はチェルノブイリ原子力発電所の建設に合わせて造られた都市ですから、このマンションも当時は最先端の住まい、最先端の暮らしという場所だったはずです。それが今では……。

 例によって例にもよって中途半端に破壊されて置き去りにされた机が寂しい……。
 しかしこの部屋、広くはないのね。小ぢんまりした書斎というのも男の憧れだったりしますけど。

 部屋の間取りが分かるように写真を撮れば良かったのですが、またぶつ切りです。ごめんなさいね。

 トイレ……。水色の壁紙で明るい雰囲気だったんでしょうか。
 壁紙は経年劣化で剥がれたとしても便器やその上のタンクは明らかに人の手で破壊されていますよね。どうして、わざわざ? 破壊したタンクから水が出て嫌じゃありませんでした?

 ここは何だったのかな。お風呂?
 よく見ますと長靴が放置されています。1足、2足……。どうして、どうして。

 こちらは洗面台ですかね。剥がれ落ちたタイルが痛々しいです。
 ところで蛇口はどこへ。

 わりと深めですね。朝は奪い合いだったのかなぁ。お父さん! 早く歯磨き終わらせてよ、朝シャンするんだから! 朝シャンなんて文化があったのか知りませんけど。

 洗面台の左には……これは何かな?

 うーん……上がガスコンロで下はオーブン? ちょいと検索しましたらそのようで、ロシアの台所では一般的な形なのですね。先程の靴の話もこのガスコンロの話もちょっと検索したというレベルですので間違っていたらごめんなさいね。
 あれ、そういや先程の洗面台は台所の流し台でしたか? 朝の奪い合いはなさそうですね。

 窓の向こうは木ばかり。
 かつては温かい料理を囲んだ毎日の暮らしがあったのでしょう。避難して辿り着いた新たな家であの頃の暮らしを取り戻せましたか。

 扉は閉めないでおきましょう。閉じ込められたら困ります。

次回予告

 もう1軒いっとく?

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