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気分がすぐれないなら、ボリウッドを見ればいいじゃない!

どんな気分も吹っ飛ばす!パワー・オブ・ボリウッド!

ボリウッドってなんでんねん?って人はもうそろそろ少ないとは思うが、インドのハリウッドです。

インドの最大の娯楽は映画。
映画館内の充実ぶりもすごいが、料金も安く快適らしい。そして、言語なんか分からなくても楽しめるのがボリウッド映画。
そもそもインドは地域によって細かく言語が分かれるので、少し移動すると「?」となる。全ての壁を越えるのは、やはり映画である。

昨今は「RRR」や「バーフバリ」のヒットで日本でも上映が増えた。
一昔前、まだ店舗に赴きレンタルなんかしていた頃は「ムトゥ・踊るマハラジャ」くらいしか見受けなかった。
時代が追いついたのか、追うインドの足が速いのか。

インド映画といえば、上映時間の長さと歌と踊りとマッチョである。

ディズニー映画より突拍子もなく爆音で歌って踊り出すし、女性に負けないくらい男優の大胸筋がすごい。
そして、上映時間3時間強とか当たり前。
ただ、内容に関して深さを求めないので、文化の違いでたまに「なんの儀式?」とはなるが、難しさはほぼない。
のんびりぼーっとでもなんか楽しいのがインド映画の醍醐味だと私は思う。

時間の長さに関しても、あれだけ歌って踊っていれば仕方がない。
その昔、日本で一世を風靡した『トイレの神様』と言う歌も「トイレにめっちゃ美人の神様おるから綺麗にしてたらいい事あるてばぁちゃんが言ってた」と言えば10秒だが、歌うと約10分にも及ぶ。
そう思うと。伴奏が入り、音程をとり、大切なサビの部分を繰り返し、ダンスパートも入れれば愛してるのサインが20分かかっても仕方ない。
それを冷めた目で「時間ないねんけど?」と爪で机をトントンしながら訝るより、小鳥の求愛ダンスみたいで斬新!と時計を叩き割り「じっくり伝えられる愛って新鮮!」と思えば乗り越えられる。
全てを時短で済ませる事に疲れた人に勧めたいが、そんな人は私の口車に乗ってくれない。
同じ時間の中で生きていても、分かり合えないものである。
ちなみにトイレの神様は消臭力のCMをしている西川貴教の事ではないので悪しからず。

歌って踊る事もちゃんと意味があり、宗教的な観点や国の問題で映画の醍醐味であるラブシーンが流せないのである。日本よりそういう部分はデリケート。
なので男女の恋愛はキスシーンでなく歌って踊って表現する。
初めてのお家デートでも、両親や年頃の子供とも変な緊張感無く見れる安心、安牌の映画であることは確かだ。

しかし。


この『ガネーシャマスター・オブ・ジャングル』は一味違う。


まず、時間が107分と短い。
昨今では日本映画でも120分は当たり前の中、約1時間半はかなり短い。
さらに、歌って踊らない。

主人公がちょっと錦戸亮に似ている。

ムンバイで獣医業を営むラージ。インド武術カラリパヤットの使い手で強く魅力的な彼は、母の10周忌の儀式に参加するため、故郷のチャンドリカへと赴く。そこは象の聖域と呼ばれる山奥で、父ディパンカルは野生インド象保護公園を運営していた。幼い頃から公園の野生の象と戯れて育ったラージだったが、母の死で父との確執が生まれ故郷を長い間離れていたのだった。そんな彼を幼なじみのシャンカラや「親友」象のボラは温かく迎え入れる。だが、公園の象たちには危険が迫っていた。素晴らしい象牙で一攫千金を得ようとする野生動物ハンター一味がこの地に狙いを付けていたのだった。仲間の象たちに加え父親をも襲われたラージは、幼なじみの腕利き動物保護官デーヴたちととも象を守るため一味と闘うことを決意する。

フィルマークスより抜粋

アクション有り、歌と踊り無し、ほんのり恋心有り、動物愛護精神有りの、象とマッチョの友情物語である。

前半は美しいマッチョと、美しい動物保護区の映像、美しい象との友情や家族愛。その中に忍び寄る象牙ハンターの危機に奥歯を噛み、後半は主人公がカラリパヤット(インドの武術)の達人なので、飲んだくれになった師匠との共闘や、ちょっとコメディタッチな身の回りのものを使ったアクションがあり、ジャッキーの酔拳を思い出す、2部展開だ。

タイのアクション映画の「トム・ヤム・クン」や「マッハ!」に負けないアクションシーンは見ものである。
あれ?ウラカン・ラナやってた気がするが、ルチャもありなの?それともカラリパヤットのジャベ?

かなり歴史の深い武術でまだまだ勉強不足を痛感する。

カラリパヤットはヨガで体を柔軟にし、敵の動きを交わす。さらに棒術など武器も扱い、ツボまで打ってくるらしい。一子相伝でない北斗神拳のようだ。
作中では「ウルミ」という、鞭みたいにしなる長い剣で戦うシーンがある。
パッと見ると新体操のリボンだが、その全てが銀色に怪しく光る刃物。南ちゃんも真っ青である。
そして、演技をする象の知能の高さに驚かされる。私は常々、知能の高い生き物の進化や知的行動の報告を聞くたび「人類の時代が終わり、侵略される」と急に不安のなる体質だ。これは気が気でない。
象に対して悪事を働いた記憶はないが、人類の歴史を紐解くと無礼しか浮かばない。自分だけは違うと言う考え方は危険だ、巡り巡れば私も悪人。
先に謝っておこう。

象さん、ごめんなさい、ありがとう。

さて、禊も済んだので話を戻そう。
ボリウッドの楽しみって言えば、やっぱ歌とダンスよね?
そんなあなたはエンディングをお楽しみください。
ボリウッド感満載・・・とまではいかないが、そこそこボリウッ・・てはいる!
デカいサングラスかけてマッチョが美人と歌って踊ってるよ!

全体的に控えめだな、と思ってたら監督アメリカ人か。ほなハリウッドやん。

自分の欲しい情報だけを手っ取り早く搾取して、どんどん新しいくブラッシュアップする時代。
映画は倍速で見る、セリフのないシーンは飛ばす、なんならハイライトでいいと慌てて映画を見る人がメディアで取り上げられがちだが、意味で無駄の多いインド映画がヒットするのは何かの啓示だと思う。
その時間があれば!と言いつつみんな映画館に足まで運んでいた。
話題作りだ、流行っているからだと言いながら、どっぷり3時間はスマホも時計も手放して無駄な時間を楽しんでいる。

脳みそ疲れてんだよな、そんな時はボリウッドだぜ!


マッチョとアクション多めの映画の感想まとめてるよ↓

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