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実は隠れた大問題…?社長のPC・スマートフォンの処理

■経営者が突然死した場合の直後の対応

デジタル遺品対応
Q.社長のPC・スマートフォンがパスワードロックされている場合、
どのように処理すればよい?

「社長のパソコンのログインパスワードがわからなくて、中が見れない!」
「手あたり次第パスワードを入力したら、突然スマホがうんともすんとも言わな
くなった。。。」

なかなか気づきにくいのですが、
実は隠れた大問題である、社長のPC・スマートフォンの処理。

昨今では、社長が自らPC・スマートフォンに
ログインパスワードを設定しているケースは多いですが、
一方で、そのパスワードを家族や従業員に伝えている方は
少ないかと思います。

パスワードロックが設定されている際のワーストケース、
具体的には以下のような状況が考えられます。

◎社長が無対策のときのワーストケース
スマートフォン・PCにアクセスできないことで以下のような影響が…

①業務に必要な業務データの引継ぎが出来ない
②インターネットバンキングにアクセスできず、入出金管理に支障が生じる
③Googleカレンダーなどの予定共有アプリで管理されていた
 社長の予定(取引先とのアポなど)が確認できない
④葬儀(社葬)に必要な、遺影(写真)や連絡先のデータに
 アクセスできず、事務手続きに支障が生じる
⑤ネット証券などの金融資産の把握に支障が生じる

社長が資金繰りなどをすべて自ら管理している場合、
インターネットバンキングにログインすることができなくなり、
会社の資金繰りが一気に危機的な状況となる可能性があります。

最悪、通帳をもって金融機関に走ることになりますが、
その時も通帳を即座に探し出せないなど、
大変な混乱を生じる可能性があります。

また③の問題に関しては、社長の予定が確認できないことで、
万が一社長が亡くなった当日にアポイントが入っていた場合、
その日の予定をすべてキャンセルしなければなりませんが、
その連絡すらも出来なくなってしまいます。

⑤については、社長個人の相続の問題ではありますが、
親族はこの問題の解消に苦慮することになるでしょう。

ではパスワードロックが開かない場合の具体的な対応方法を見ていきます。

▼PCの場合
自力での解除が難しい場合は、データ復旧専門業者へ持ちこみ、
パスワードロック解除を依頼する。

<対応方法例>
・パスワードリセット、別アカウントからのログイン
・外付けHDDなどの外部記録メディアのデータ調査
・クラウドストレージサービスなどのバックアップデータ調査
・PCからHDDなどの物理的記録メディアの取り出し など

PCの場合は、インターネットなどで検索すると上記の例の他に、
様々な情報が見つけられますので、
思いつく限りの方法を一度試してみるのが良いかと思われます。

その後、どの方法でもダメだった場合にデータ復旧専門業者に問い合わせるとい
う手順を踏んでください。

PCだとデータ復旧に対応してくれる専門業者は多く、
比較的安価で、かつ速やかに対処してくれるケースがほとんどです。

このようにPCの場合はあまり大きな問題ではありません。

ただし、スマートフォンの場合は事情が大きく変わってきます。

▼スマートフォンの場合
OSや機種によっては、複数回にわたり誤ったパスワードを入力してしまうと、
データが初期化されてしまう恐れがあり、
最終的にはデータ復旧専門業者に持ち込み、
パスワードロックの解除を依頼せざるを得ない状況に陥る可能性がある

<対応方法例>
3回ほどパスワードを試してみて、
ダメだった場合は諦めてデータ復旧専門業者へ持ちこんで、復旧を依頼する

PCの場合とは違い、スマートフォンの中でも(iPhoneやGalaxyの場合など)一部の機種ではパスワードを複数回間違えるとデータが初期化されて
しまう恐れがあります。

上記のように、数回パスワードロック解除を試してみて、
解除できなかった場合はデータ復旧専門業者へ
持ちこまざるを得なくなります。

ここで注意しておきたい重要なポイントがあります。

<データ復旧専門業者へ依頼時の注意点>
復旧費用:(ケースバイケースではあるが)20万~30万円
      ※業者によってはもっと高いケースも…
復旧期間:半年~1年かかる場合がある
      ※もっと時間がかかるケースも…

日本においてはスマートフォンを分解し分析出来る専門業者は
非常に少ないと言われており、
高額な依頼料を支払ってもすぐに解除できるわけではなく、
仮に出来たとしても、半年~1年とかなり長い期間が必要になるケースが
多いようです。

そもそも、スマホの復旧には、
理論上2.5万年かかる(=復旧は不可能)という説もあり、
実際には復旧は非常に難しいものとされています。

したがって、基本的な考え方としては、
【スマートフォンは復旧できない】
と認識し、しっかりとパスワードを共有しておくことが大切です。

■デジタル就活


Q.社長はどのような対策を取っておけばよい?


では実際にどのような対策を取っておけばよいのかを解説していきます。
所謂“デジタル終活”と呼ばれる対策です。

まず何より重要なのが、【ログインパスワードの共有】です。
実は、これで対策の8~9割をほぼ完了していると言っても過言ではありません。

次に業務引継ぎに必要なデータの所在を共有しておくことです。

たとえば「○○というクラウドストレージサービスに入っている」や
「端末のドキュメントに入っている」など、
明確な所在地を共有しておきましょう。

また、ファイル名に【対応中】【対応済み】といった記載のルールや、
書類データのナンバリングを施しておくと、
必要かなファイルがどれなのかすぐに判別がつきます。

併せて、業務内容・進捗状況の共有を行っておくことも重要です。

<ログインパスワードの共有について>
⓪生前からの共有
①エンディングノートによる共有
②スマホのスペアキー🄬による共有
③顧問税理士やライフプランナーとの共有

ログインパスワードの共有方法について、
一番はやはり生前から共有しておくのがベストです。

しかし、生前にパスワードを共有したことがきっかけとなり
離婚にまで発展したケースもあるので、
パートナー(と、パスワードを使用してアクセスできる内容)次第では
注意が必要です。

その他の簡単な方法としては、エンディングノートに記載する方法、
スマホのスペアキー🄬に記載する方法などがあげられます。
※スマホのスペアキー🄬とは、名刺サイズの紙にパスワードを書き込み、
手帳や通帳に挟んでおけるものです。

また顧問税理士がいる場合はその税理士に、
ライフプランナーがいるならそのプランナーに共有しておくのも一つの方法です。

例えば保険営業担当者であれば、
保険契約の際の保険証券を挟んでおくバインダーに
担当者の名刺を入れるポケットがあると思います。

担当者の名刺の裏にログインパスワードを記載し、
そのバインダーのポケットに入れておくと、
万が一の際、ご家族から連絡があったときに、
パスワードの所在を伝えることができ、
ご家族から非常に感謝されるかと思います。

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