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経営者の突然の訃報…現場の対応はどうすればよい?

■経営者が突然死した場合の直後の対応

その①:当日対応
Q.社長の訃報を受けた時、現場はどうすればいいですか?
ある日の朝、いつもと変わらず業務を開始しようとしたその時、会社の電話が鳴りました。
電話口の向こうは社長の奥様。
「今朝、夫(社長)が亡くなりました」と報告を受けたとき、現場の皆様は対応できますか?

こういった場合の対応方法についてしっかりと考えておかなければなりません。

<社長が無対策のときのワーストケース>
①リーダーシップを取れるナンバー2がおらず、何をどうすべきか全く判断できない。
②社内に社長の訃報が一気に広まってしまい、会社中がパニック状態になる。
③社外に公表していないにもかかわらず、従業員などから取引先に社長の訃報が漏れてしまう。
④訃報を聞いた取引先からの連絡が、会社のみならず遺族にも入ることとなり、遺族が対応に追われることとなる。

このようなケースには多くの中小企業が陥りやすく、特に④の取引先からの問合せ対応は、会社に連絡が来ればよいのですが、ご遺族に連絡が行くようになってしまうと非常に迷惑が掛かってしまいますので、避けなければいけません。

では対応時の具体的な方法を見ていきましょう。

<対応のポイント>
①経営者訃報については超機密情報とする
②公表できる体制が整うまで。情報統制が不可欠
③社内→社外と、段階を踏んで訃報を発表する

このポイントを押さえたうえで、現場対応を実際に行っていきます。

▲現場対応のフロー図

まず訃報が入った際は、役員や上層部と遺族で今後の対応について協議を行います。
例えば遺族とその会社の関係性が希薄な場合、訃報の連絡を受けるのは事務社員かもしれず、そこから機密情報である経営者の訃報が、外部に漏れてしまう可能性があります。
誰に連絡が来たのか、連絡系統のケアをするとともに、本来まだ知るべきではない人間が知った場合の情報統制もしっかりとしておく必要があります。

次にご遺族との協議を行います。
その際はご遺族との連絡担当者を選任し、窓口を一つにしておくことでスムーズな連絡が可能となります。
またご遺族=創業家という立場になるので、信頼関係を構築しておくことも重要なポイントとなります。

役員協議・遺族協議を通じて今後の対応方針を固めた後に、今度は社内対応に移ります。
社内に発表する際「社長が亡くなりました。これからも頑張りましょう。」と言うだけでは、従業員は非常に不安になってしまいます。
出来る限り、今後の方針に関する説明もしっかりとする必要があります。

また社内発表と同時に社外(取引先・関係先)への公表に向けての体制づくりが重要となります。
具体的には
取引先から連絡が来たら、どの部署につないで、その部署の担当がどのような説明をするのか】という所まで、社内の連絡系統を整える事が必要です。
この段階ではまだ社外公表をする前なので、情報の統制もしっかりとしておかなければいけません。先述したように経営者の訃報は超機密情報ですので、社外へ一気に拡がらないように、いわゆる“口止め”も必要になります。

ここまでの対応をしっかりと終え、初めて社外対応にフェーズが移ります。
経営者の訃報というショッキングな内容ですが、いつまでも発表しないわけにはいきませんので、きちんと社内の体制が整ったら訃報を公表していきます。
ここで注意しなければならないポイントとして、日常業務の滞りない遂行が不可欠となります。
社長が亡くなったことにより、業務に支障が出ていると見られてしまうと、取引先にも不安を与えることになりかねません。ですので、通常業務はつつがなく遂行するということも、ここでは重要なポイントとなります。

ここまでは社長が無対策だった場合について解説してきました。

では反対に社長はどのような対策を講じておけばいいのか?
この点について解説していきます。


《生前対策の理想と現実》

・理想
緊急事態時のマニュアルを作成する(BCP的発想)
緊急事業承継訓練(※)の実施

理想的な対策としては上記の二点のようなものがあげられます。

社長の身に何かあった場合における緊急時対処マニュアルを作成することによって、連絡系統の整理や情報統制の面で、迅速にかつ正確に対処ができるので、トラブルを最小限に抑えることができます。

また一般的には地震などの災害時のための避難訓練が存在しますが、それと同様に緊急事業承継の訓練を実施するという方法も考えられます。

しかし、現実的に考えると上記の二点の対策は、すぐに取り掛かろうとすると少しハードルが高く感じられると思います。

そこでまずは、
・社長の家族を会社の経営または業務に関与させる
・緊急事態時の対応に関する事前協議をしていく

といったものが、現実的な対策として考えられます。

社長のご家族が、緊急時に会社の誰に連絡をすればよいか、または反対に誰には連絡してはいけないか、を把握しておく事や、(お酒の席などのカジュアルな場面も含めて)普段から社長と従業員のコミュニケーションの中で、緊急時の対応策について話し合っている事も対策における重要なポイントとなります。

※緊急事業承継訓練 とは…
社長が突然死した際のロールプレイング型シミュレーション。
社長が亡くなったという連絡を受けたと仮定して、役員で集合し30分間のミーティングを行うことによって、何をどうするのか、どんなことが問題になるのかなど、問題点の棚卸をします。このシミュレーションを行うことによって、現状における社内の問題点の整理が進みます。


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