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オランダ女子の理系専攻事情

先日、こんなツイートを見かけました。

この方のツイートのリプライや引用ツイートで様々な(日本での)体験談や目撃談が語られているのですが、典型的な日本のホモソサエティ(主に男性で占められた多様性のない社会)の煮凝りで読んでいて気持ちが悪くなりました。みなさん本当によくご無事で生き延びられました…。

実はうちの子は、来年度(9月スタート)からオランダの高校1年生になり、理系コースに進むのです。そんないきさつもあり、上記の体験談が他人事には思えませんでした。けれどオランダの専攻科目と性別の割合などを知らなかったので、改めてこの機会に調べてみました。

どのような専攻があるか

オランダの中等教育(中高一貫教育)では、専攻はおもに4つのコースに分類されます。ちなみにオランダの学校は大学進学を前提としない学校やコースもあるのですが、単純化した説明が楽なことと我が家の子供が大学進学準備コースに通っているので大学進学前提の書き方をします。

その1:文化と社会(Cultuur en Maatschappij)
略してCM。ざっくり人文科学系。大学で歴史学、言語学、文学などを学びたい人がそのために必要な単位と基礎学力を取るためのコース。メディア、コミュニケーション、ジャーナリズムなどもここに属する。

その2:経済と社会(Economie en Maatschappij)
略してEM。「ビジネスライフへのルート」とも呼ばれる。大学で経済学、経営学、または法律などを学びたい人向けの専攻コース。

その3:自然と健康(Natuur en Gezondheid)
略してNG。健康、化学、環境、水、植物、動物に焦点を当てた理系コース。大学で食品技術、生物医学、健康科学などを学びたい人向け。

その4:自然とテクノロジー(Natuur en Techniek)
略してNT。いわゆる日本人が想像する理系。将来コンピューターサイエンスや建築、電気工学、環境科学などを学びたい人のためのコース。

以上の4種類です。けれどまだ大学で何を学びたいかを決めていない生徒は、将来の可能性を広げるために、すこし多めに科目を履修してCMとEM、またはNGとNTをダブル専攻にしたりします。
そして6年生(高校3年生)で、専攻に基づいた卒業試験兼大学入学資格テストのようなものに挑戦するのです。

ちなみにうちの娘はNT(自然とテクノロジー)を選択しました。生物を追加履修すればNGとダブル専攻にできたのですが、全く興味ないとのことでNTに絞っていました。

オランダの現状

前置きが長くなりましたが、本題はここから。2020/2021学年度の統計だと、理系専攻は男子の39.9パーセント、女子の27.3パーセントだったそう。女子生徒の割合は、その5年前の調査より22%増加したのだとか。
ちなみにこれは、職業準備校や大学ではない高等教育への進学を前提とした学校の生徒も含む全体の数字。大学進学準備校の生徒に限ると、男子60.7パーセント、女子58パーセントになるそう。半分以上じゃないですか!男女間も僅差ですね。
職業訓練的な学びではなく、大学で学ぶ(予定の)学問としての理系のほうが人気のようです。

そして報道によると、オランダは意識的に女子の理系専攻割合を上げようと試みてきたそう。1987年から1989年に「正確に選択せよ」(Kies exact)、1990年から1993年には「賢い女の子は自分の将来に備えている」(Een slimme meid is op haar toekomst voorbereid)といった政府のキャンペーンが組まれたのだとか(厳密には女子の労働市場参加を訴えるキャンペーンの一環)。

何故かそれらは期待ほどの成果を上げられなかったそうですが、やっとここにきて実を結んだということでしょうか。逆に言うと、35年くらい時間をかけないとそういう機運は変わらないということかもしれません。あとは、労働市場が求める専門性の変化とかでしょうか。
日本は少子化などで今から35年もかける体力がないと思うので、なんとか早急に女性の理系人口増加促進と市場での受け入れ(排除しない、セクハラしない、復職歓迎)などを行って欲しいと思います。

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