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所有のない世界

こんにちは。

 以前から、日本でもシェアリングエコノミーの時代が来ると言われてきました。物、サービス、場所をシェア=共有が当たり前の社会になるというのです。

 ちなみに、民法にも共有に関する規定が存在します。

<民法249条>
共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

 すでに、シェアが進んでいるアメリカ社会の現状について、以下の著書で次のように説明されています。

 リンゼイ・ハワードは、9時から5時の仕事に就いておらず車も持っていない。不規則な時間の仕事も引き受け、好機があれば喜んで働く。とはいえ、社会の不適合者ではなく、低賃金で働く派遣社員でもない。技術者であり、その生活の中心にあるのは、タスクラビット(作業代行サービスのマッチングサイト)のようなデジタル”コラボ”プラットフォームだ。そのプラットフォームを通して、世界中の企業が投稿した内容から仕事を選ぶ。いわゆるギグワークだ(空き時間を使って請け負う、単発や短期の仕事)。手早く正確に仕事をこなせば、時間当たりの支払い額は増える。仕事が終わると彼女はよく食料雑貨店に向かう。そこまでは私たちと同じだが、彼女が店に行く方法はちょっと変わっているかもしれない。つまり自転車共有サービスを使って店に行き、荷物はすべて配車サービスで家まで運ぶのだ(225頁)

 このような働き方をする人が、2018年で2000万人、それからさらにアメリカだけで数千万人は増えているとのことです。デジタル人材の育成が早くから行われてきた結果が、今のアメリカ社会を形作っているのです。日本は、アメリカから20年、ドイツから10年遅れて、ようやく「データサイエンティスト」を育てようという動きが出てきています(大学では補助金をやるからデータサイエンスの講義を作れといった感じです)。

 すると、間もなく日本でも、人材を共有するというギグエコノミーの時代が来ることになります。インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方が当たり前になる反面、次のような不満も出てくるかもしれません。

 ギグエコノミーで働くことを屈辱的に感じる者はもちろんいる。ロースクールを卒業したが学位に見合うような仕事を見つけられなかったケイティは、タスクラビットで働くのは「本当にものすごく屈辱的です」と嘆く。プロフィールに学位のことを書くとみな「哀れむように言うんです。他人のアパートを掃除しなくちゃいけないなんて、なんてことでしょうか。せっかくロースクールにまで行ったのにね、って。(271-272頁)

 会社や学校に所属することに価値があった時代が終わり、メガプラットフォーム上で、自身の生活費を稼ぎ、空いた時間でスキルを磨くことが求められることになるのでしょう。

 サステナブル(持続可能)な経済活動を求められることも合わせて考えると、今後の日本でも物、人のシェアが進むだろうと予想されますね。20年前からアクションをとってきたアメリカを見習い、今のうちに何か手を打ちたいところです。思いついたことはまたこのnoteに書いてみたいと思います。

 では、今日はこの辺で、また。

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