本。長生きできる町

今日は本の話。『長生きできる町』(近藤克則、角川新書)を読んだ。

住む環境によって、人の健康は変わってくるらしい。

転ぶ人が多い町、鬱の人が多い町、認知症になる人が多い町、などなど。都道府県よりももっともっと小さな単位。それこそ小学校区単位で見ても、それぞれの地域に違いや特徴があるものらしい。

どうすれば健康な人が増えるのか?これからもどんどん高齢化が進み人口が減っていくと言われる日本にとって、健康で自力で生活できる人が増えることは大事なことである。住む環境を整えることで健康な人が増えるのではないか?そんな研究や取り組みを著者は続けている。その結果やわかったことについて書いているのが本書である。

例えば公園が多い地域は、健康な人が多い。それは、運動する習慣を作りやすいからだ。サークル活動をしていることも、高齢者の健康に良い。人と話す、一緒に何かをする、笑う、社会に対して役割を持つ、などなど。そういう事が健康の向上に役立つらしい。

つまり、積極的に公園を整備し、気軽に参加できるサークル活動の多い地域を作れば、自ずと健康な人が多い町になる。実際にいくつかの町でサークル活動を増やし活発にしてみると、良い効果が出たらしい。

人間、いくら「健康にいい」と言われても、1人だと続けることに限界がある。「運動が健康にいい」ことを知らない人はおそらくいないが、「だから続けられる」人はどうしても少なくなる。そこを改善するために、そもそも町の体制、環境から変えていく。最初に導入するには研究や試行錯誤が必要だが、一度道ができれば続けていきやすいのかなと思った。

この本は単純に「こういう町は健康にいい」という事を書いているだけの本かと思って借りたのだが、読んでみればとても深く、研究して考えられている本だった。

例えば高齢者で健康を損なうかどうかには、幼少期の貧困が関係している部分もあるらしい。生まれた時に低体重だった子は、その後糖尿病になりやすいらしい。つまり、「健康に長生きする」ためには、高齢になってからの環境だけではなく、幼少期、もっと言えば生まれる前の環境から改善できる部分があるということである。

「高齢者の健康」を考える時に、生まれる前の環境から考えるというのは私には全く無かった視点で面白かった。人間、大半の人は定住してどこかに住んでいるわけで、そこの住み心地が良いに越したことはない。これからこういう研究がどんどん進んで、住みよい町が増えたらいいなと思った。

町の研究は昔から興味があるので、これからもこういう本があったら読んでみたいな。


ではまた明日。