にんにく

意識的に避けてきた食材がある。私にも好き嫌いがあり、「嫌い」や「苦手」に分類されるから避けるわけだが、その中の1つが「にんにく」である。

決して食わず嫌いではない。普通に生活していて外食や惣菜等々買っていたら、どこかでは必ず出会うので、食べたことは何度もある。逆に言うと自分で料理を作る以外に完全に避けるのが難しい食材であり、だからこそ外食や惣菜では入ってそうなものを極力避ける、家では全く使わない、そんな生活をしてきた。

にんにくの何が駄目なのか。一言でいうと「におい」である。料理をする時のにおいは良いのだ。食欲をそそるいいにおいだと思う。しかし食べた後が問題で、とにかく臭い。他人の臭いはもちろん、自分で食べた時の自分の臭いにもげんなりしてしまうのである。

おそらく私は人よりもにおいに敏感で、特ににんにくのにおいは駄目なのである。他の人が気付かなくても私は気付く場合があるし、強いにおいの人には近付きたくない。気持ち悪くなってしまうのである。常々嗅覚は感情に直結しているな、と感じていて、食べた後のにんにくのにおいも、漂ってくるとイライラしてしまう。気持ち悪くなるのも困るが、感情的なのも困る。もっと平常心でいたいのである。

そんなわけで、ずっと避けてきたにんにくなのだが。親戚のツテでもらえることとなった。普段なら「いらない」と突っぱねるところなのだが、今は息子がいる。息子は料理好き、食材好きであり、今日の料理が何か、材料は何を使うのか、毎日聞いては作る様を見ている(何なら自分ができる作業を虎視眈々と狙っている)のである。

息子に「にんにくとはどんな見た目、味のものなのか」を教えるいい機会。親が潰しちゃいかんよなぁ。というわけで、とりあえず最低数、1個だけもらってきた。

使う量が多ければ多いほど後のダメージも激しいので、なるべく少なく。けれどちゃんとにんにくは感じるように。となるとどのくらいが適量なのか、普段使わないのでよくわからないのだが、とりあえず1かけの3分の1くらいを炒めものに入れてみた。

炒めはじめて漂ういい香り。そう、料理中のにおいはいいんだよ。いい匂いなんだよ。と思いつつ、材料を投入していき、完成。やはりいつもの炒めものとは違う。ワンランク上がった気がする味がした。

食べて、次の日。自分からは臭わない。息子からも臭わない。夫からも臭わない。1かけの3分の1なら、大丈夫なのかもしれない。

調子に乗ってその日の晩ごはんはパスタにしてみた。やはり1かけの3分の1くらいを入れてみた。ほのかに香るにんにく。次の日も大丈夫。これは、いけるのでは?

息子のために!と嫌々もらったにんにくだったが、我が家でも量を考えれば普通に使えそうである。息子がきっかけで知ったことはいろいろあるのだが、またひとつ、世界が広がった。

次はなんだろうな。私や夫が苦手で、家で全く食べない食材。息子をきっかけに挑戦してみたら、案外食べられる方法が見つかるのかもしれない。


ではまた明日。

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