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旅鳥レポート:ただ鴨を眺めただけ

とある日の日曜日、特に当てもなく公園へと出かけた。何も予定のない休日を快適に過ごすため、池の広がる公園で、日を浴びながら自然を眺めようと思い立った。最近の仕事疲れで不安に駆られる気分が続いていたこともあり、特に計画も立てずに、こうした無駄な暇つぶしもたまにはいいだろうと楽観的に考えていた。
とりあえずカメラだけは持ち歩くことに。

ちょうど昼頃、長い坂道と住宅地を歩き、公園に着いた。

幸い天気は快晴、日差しが暖かく、風が涼しい絶好のコンディションであり、到着時点で気分は高揚していた。新緑に繁茂する木々を抜け、可愛らしい小さな池と東屋のある広場にたどり着いた。
着いてすぐ池のほうに目をやると、カルガモの群れがのどかに休憩しているのを見かけた。彼らの過ごし方は様々で、悠々と水面を漂うものや、片足立てて眠りつくもの、ひたすらに羽繕いするものなど。各々が悠々自適に、穏やかな時間を堪能するかのようだった。

丁寧に啄む姿。
鴨の仕草の中で、一番好きな瞬間である。

中でも、鴨の水浴びは興味深く見応えのある仕草である。

とある一匹が、吸い込まれるように水中へ潜り始めた。しばらくして浮上すると、やや水気を帯びた羽毛を嘴でつつき、肩羽や脇の羽、翼に至るまで丁寧に手入れを施していた。最後に尾羽を左右に振り、翼を大きく羽ばたかせて仕上げを終えた。
この一連の行動は、羽毛に着いた汚れや寄生虫を取り払うためだとされている。
一定の所作があまりにも洗練されており、職人による服の仕立てを眺めたかのような幸福感を覚えた。

仕上げの羽ばたき。
愛嬌ある外見だが、翼を広げるとエレガントな姿に風変わりする。

カルガモは地域によっては通年見られ、身近な鳥であることは言わずもがなである。それゆえ目新しさを感じにくく、今回のようにじっくり観察されることはあまりない印象である。かく言う私も見落としがちではあるが。

これを機に、カルガモ観察に没頭して時間を溶かすのも、乙な暇つぶしになり得るかもしれない。ただし、日の流れに鈍感になるのは避けなければ・・・。

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