アートと社会、教育、ときどき余談。

「なぜ。アートが社会に必要なのか」ということを軸に、芸術文化の助成や支援制度について触…

アートと社会、教育、ときどき余談。

「なぜ。アートが社会に必要なのか」ということを軸に、芸術文化の助成や支援制度について触れたいと思っていましたが、あんまり真面目に考えすぎても良くないか、と思い直して話題を自由に広げていくことにしました。 投稿者:森嶋 拓(CONTE Dance Production)

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オンライン相談会2回目も終了!こどもとアーティストを繋ぐアート教育ネットワーク事業

オンライン相談会は2回目も無事に、かつ楽しげに終わりました。 ​先日と同様に最初にお話しさせていただいたのは、どういう背景でこの事業を計画したのか、目指すところはどんなところなのか。 そして事業のおさらい。 放課後アート秘密基地は体験や鑑賞の場であるけれども、大前提としてまずはこどもが安心できる場所であって欲しいということも改めてお話しました。 ​ 以下は本日、参加されたみなさんからいただいたご質問です。 1、ワークショップではなく、相談勉強会とカンファレンスにだけ

    • オンライン相談会1回目を終えて。こどもとアーティストを繋ぐネットワーク事業

      オンライン相談会、1回目が無事に、かつ楽しげに終わりました。 ​ まず最初にお話しさせていただいたのは、どういう背景でこの事業を計画したのか、目指すところはどんなところなのか。 ​ これは簡単にいうと、文化庁などでもこどもの文化芸術の体験機会や鑑賞機会を推奨していますけれど、現状ではリソース不足や連携不足などの課題などもあり、十分ではない、と。 ​もっともっとあるべきではないかということが理由のひとつです。​ ​ 次に、事業全体のおさらい。 3つのプログラムにつ

      • アートとこども、アートと教育に興味のあるアーティスト募集中!

        札幌市文化芸術創造活動支援事業に採択され、札幌市でこどもとアーティストを繋ぐ事業をNPO法人コンカリーニョとCONTE Dance Productionの森嶋が協働してはじめます。 こども・教育と関りを持ちたいアーティストを募集します! 〇こどもや教育と関わる事業をしていきたいアーティスト 〇教育やワークショップのスキル向上に興味のあるアーティスト 〇教育とアートのネットワークに参加したいアーティスト 参加アーティストには3つのプログラムにご参加いただきます。 1、放

        • 宇宙のように壮大な地無し尺八に出会う。日本台湾舞踏交流事業。

          来月、京都で日本と台湾の舞踏交流公演をやります。 2024年7月。 京都で日本と台湾の舞踏交流公演を実施するのですが、その件について。 舞踏のパフォーマンスの際に生演奏を 台湾からやってくる舞踏家のHu Chiaから 「日本の音楽家と一緒にできないだろうか?」 という相談がありまして ​ 今貂子さんにご相談させていただいたところ 地無し尺八奏者・上村風穴さんを紹介していただきました。 上村さんは白虎社の邦楽担当として10年間も関わられていたとのこと。 地無し尺八とは 僕は

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        • こどもとアート、アートと教育
          3本
        • 海外で活躍する日本人ダンサー
          1本
        • 「文化芸術と社会」の理想を語ったり
          11本

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          Xの「大事なものは必ず絶滅する人間社会の法則」って僕の活動のことなんじゃ・・・いやまさか

          先日、妻に下記の砂鉄さんのXの投稿を教えてもらいました。 「これ、おもしろかったよ」 みたいな感じで。 ちなみに上の画像は「絶滅」をテーマにAIに作っていただきました。 大事なものは必ず絶滅する人間社会の法則 砂鉄さんの投稿は以前も妻に教えてもらって読んだことがあるのですが、言葉がけっこう過激! ここに一部を引用させてもらおうかと思ったけれども、切り取るとショックを受けてしまう人がいるのでは?? と思ってやめました。 けど、その主張にはメリハリがあって、なるほど・・・

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          海外で活躍する日本人ダンサーへのインタビュー「DATS海外ダンス事情特集」1回目はマルセイユバレエ団の佐藤亜耶さん

          突然ですけれども。 日本の舞台芸術を取り巻く環境はなかなか厳しいと思うのです。 何が厳しいって・・・ 語りだしたらキリがないのですが、キリがないからこそ海外から学ばねばと思い立ち、海外で活躍する日本人アーティストにインタビューを始めました。 きっかけの一つにマルセイユとの国際交流事業があるのですが、そのことはまたいずれ書きます。 佐藤亜耶 / SATO Ayaさんのプロフィール3歳から北海道釧路市にてバレエをはじめる。 2011年9月よりドイツに留学、2015年フランス国

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          令和6年度札幌市文化芸術創造活動支援事業の説明会に行ってきました。

          気が付くと2年ぶりの投稿なのですが、いつもSNSに書いちゃっていましたが、もう少し自分と遠いところにも届けられたらと思い、noteにも書いておきます。 昨日はこの説明会に行ってきました。 もともと中間支援の案は僕が委員を務めた未来会議で発案されたものであり、特に僕は猛プッシュしたところもあって、この案自体を「我が子」のように勝手に思っていたりするところがあります笑 ​ ​ ​ 日本では公益財団法人が多いためか、イギリスのアーツカウンシルを取り上げることが多いですが、アメリカ

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          舞台芸術の制作作業や顧客もシェアする時代に

          先日、某舞踏家(勝手にお名前をだすのもよくないので)の方に舞踏公演のご案内を郵送でいただきました。 関東での公演なので、公演自体には伺えていないのですけども、案内に同封されていたのが下記のような内容でした。 ​ ・複数の団体で制作を協力してやることになった ・顧客リストも共有することになった ・それぞれ芸術家としてはライバル関係はあるが、制作面では協力し合う ​ ということで、これは僕は非常に良いアイディアだな、と思いました。 ​ 広報とか制作とかって、なっ

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          中間支援団体を通して、理想の助成金が実現!?札幌市芸術文化未来会議9回目

          札幌市芸術文化未来会議の9回目が本日行われた。 これは市内の芸術団体と札幌市文化部、学術研究者などで構成される会議である。 この会議が稀有なのは、ここで話し合われた議題が札幌市に実際に提言されるということで、簡単に言うと私たち民間団体の意見が行政に反映されるということである。 そこで、僕個人としては理想的な助成案で、僕自身も積極的に支持した案が、予算委員会などの厳しい追及?をかわして何と通るかもしれないと聞いた。 この案がどういうものかというと、中間支援団体への助成をベ

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          アーティストの人材育成と移住支援政策について

          芸術文化の分野で。 地方都市でよくでてくる議題のひとつに「人材育成」がある。 私が関わっている様々な芸術団体でも人材育成は大事とされているし、行政や助成団体でも大事な位置に置いている。 私自身もそこそこ大事だとは思っている。 ただ、大都市ならともかく、地方都市では仮に人を育てたとしても活躍の場が少ない。 10代後半、20代前半の若者にとって地方から全国への発信は簡単ではないし、研鑽の場も少ない。 なので、せっかく育て上げた人材は流失する。 そして、また一から人材

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          アートが社会(時代)に寄っているのではなく、社会(時代)がアートに寄ってきているという考え方 その2

          アート(美術)はもともとは王族や宗教家などが美術家にオーダーメイドで発注するもので、肖像画や物語(神話、宗教)などを写実するものだった(らしい)。 自分がつくりたいものをつくる、現在でいうところの「アーティスト」のようなスタンスではなく、発注があってから作業にとりかかる「職人」の領域であった(らしい)。 ところが写真の発明で、美術のその役割が奪われることになる。 写真の方が早くて正確で、しかもより多くの人が扱えるからだ。 アートはもともとの役割・存在意義を失ったが、その代わ

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          アートが社会(時代)に寄っているのではなく、社会(時代)がアートに寄ってきているという考え方 その1

          現在では「アート」の領域が広がっており、文化芸術が社会に求められる役割が増えている。 これは、アートという言葉自体がもともとの美術だけではなく、音楽、ダンス、演劇など様々な分野で「エンターテイメントの反対側に位置するもの」という位置づけで多領域に使われる機会が増えていることも理由と考える。 (音楽でもJ-POPはエンタメで現代音楽はアートとか。ダンスでもコンテンポラリーダンスはアートだったり) 一方で、各地に広がった芸術祭などの影響もあると思うが、アートは町おこし、観光、

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          札幌市芸術文化未来会議3回目

          (色々とやることが多くて、間が空いてしまいました...) 理想の助成制度と並行して、私が参加している札幌市芸術文化未来会議についても書いていきたい。 どちらも理想の社会みたいなものが目標になるはずなので、近い部分も多いと思う。 -------------------------------- 札幌市芸術文化未来会議の概要はこちらをどうぞ https://www.city.sapporo.jp/shimin/bunka/entaku/index.html 簡単に説明すると、札

          芸術文化の助成金 アーティストの段階毎の助成

          日本では長らくアーティストの段階をプロとアマの2種類で分けてきたが、現在ではその境目は明確ではなく多様化しているといえる。 何をもってしてプロと呼ぶのか、例えば昔は「音楽だけで食えていたらプロ」などという通説があったが、現代ではそう簡単に断言できないと考える。 「ニューヨーク 芸術家と共存する街」 著者 塩谷 陽子 氏 の中ではアーティストの分類について下記のような記述がある。 Starving Artist(生活にもチャンスにも飢えている芸術家) Working Art

          芸術文化の助成金 アーティストの段階毎の助成

          【芸術文化の理想の助成とはVol.3】助成→報告→評価→PR→修正→助成のサイクルをひとつの理想と考える

          今回は事業報告の重要性について 助成事業では必ず「事業報告」の提出が必要となります。 ほとんどの場合は、それぞれの助成団体が用意する「事業報告書」と「収支決算書」に、採択されたアーティストや団体が必要事項を記入して、提出する形になります。 事業報告に取り組むことは自身の活動の振り返りに繋がるので、アーティストにとっても有益な行為だと思います。 アーティストの中には次から次と仕事をこなさないといけない人もいて、こういう機会でもなければ事業を振り返る機会がない人も多いからです。

          【芸術文化の理想の助成とはVol.3】助成→報告→評価→PR→修正→助成のサイクルをひとつの理想と考える

          【芸術文化の理想の助成とはVol.2】活動の評価が十分にされていないという現実、「事業検証⇔助成制度の更新」がもたらすもの

          ほとんどの助成で、活動に対する評価がされない 前回の記事(https://note.com/trash_treasure/n/nda8078f62a0a) で挙げたリストの中で、個人的にいま気になっているのが ・効果測定、事業評価 助成金の申請では「期待される事業効果」について記入する必要があることが多いです。 そして報告書にも「活動の波及効果」を報告するところが大体あります。 確かに自身の活動の振り返りや、社会にどのような影響を与えたかを意識することは大事だと思います。

          【芸術文化の理想の助成とはVol.2】活動の評価が十分にされていないという現実、「事業検証⇔助成制度の更新」がもたらすもの