アートと社会、ときどき余談。

「なぜ。アートが社会に必要なのか」ということを軸に、芸術文化の助成、政策、制度について…

アートと社会、ときどき余談。

「なぜ。アートが社会に必要なのか」ということを軸に、芸術文化の助成、政策、制度について触れたり、アートと社会の繋がりを感じるアレコレを取り上げたいと思っています。 投稿者:森嶋 拓(CONTE-SAPPORO Dance Center)

最近の記事

令和6年度札幌市文化芸術創造活動支援事業の説明会に行ってきました。

気が付くと2年ぶりの投稿なのですが、いつもSNSに書いちゃっていましたが、もう少し自分と遠いところにも届けられたらと思い、noteにも書いておきます。 昨日はこの説明会に行ってきました。 もともと中間支援の案は僕が委員を務めた未来会議で発案されたものであり、特に僕は猛プッシュしたところもあって、この案自体を「我が子」のように勝手に思っていたりするところがあります笑 ​ ​ ​ 日本では公益財団法人が多いためか、イギリスのアーツカウンシルを取り上げることが多いですが、アメリカ

    • 舞台芸術の制作作業や顧客もシェアする時代に

      先日、某舞踏家(勝手にお名前をだすのもよくないので)の方に舞踏公演のご案内を郵送でいただきました。 関東での公演なので、公演自体には伺えていないのですけども、案内に同封されていたのが下記のような内容でした。 ​ ・複数の団体で制作を協力してやることになった ・顧客リストも共有することになった ・それぞれ芸術家としてはライバル関係はあるが、制作面では協力し合う ​ ということで、これは僕は非常に良いアイディアだな、と思いました。 ​ 広報とか制作とかって、なっ

      • 中間支援団体を通して、理想の助成金が実現!?札幌市芸術文化未来会議9回目

        札幌市芸術文化未来会議の9回目が本日行われた。 これは市内の芸術団体と札幌市文化部、学術研究者などで構成される会議である。 この会議が稀有なのは、ここで話し合われた議題が札幌市に実際に提言されるということで、簡単に言うと私たち民間団体の意見が行政に反映されるということである。 そこで、僕個人としては理想的な助成案で、僕自身も積極的に支持した案が、予算委員会などの厳しい追及?をかわして何と通るかもしれないと聞いた。 この案がどういうものかというと、中間支援団体への助成をベ

        • アーティストの人材育成と移住支援政策について

          芸術文化の分野で。 地方都市でよくでてくる議題のひとつに「人材育成」がある。 私が関わっている様々な芸術団体でも人材育成は大事とされているし、行政や助成団体でも大事な位置に置いている。 私自身もそこそこ大事だとは思っている。 ただ、大都市ならともかく、地方都市では仮に人を育てたとしても活躍の場が少ない。 10代後半、20代前半の若者にとって地方から全国への発信は簡単ではないし、研鑽の場も少ない。 なので、せっかく育て上げた人材は流失する。 そして、また一から人材

        令和6年度札幌市文化芸術創造活動支援事業の説明会に行ってきました。

          アートが社会(時代)に寄っているのではなく、社会(時代)がアートに寄ってきているという考え方 その2

          アート(美術)はもともとは王族や宗教家などが美術家にオーダーメイドで発注するもので、肖像画や物語(神話、宗教)などを写実するものだった(らしい)。 自分がつくりたいものをつくる、現在でいうところの「アーティスト」のようなスタンスではなく、発注があってから作業にとりかかる「職人」の領域であった(らしい)。 ところが写真の発明で、美術のその役割が奪われることになる。 写真の方が早くて正確で、しかもより多くの人が扱えるからだ。 アートはもともとの役割・存在意義を失ったが、その代わ

          アートが社会(時代)に寄っているのではなく、社会(時代)がアートに寄ってきているという考え方 その2

          アートが社会(時代)に寄っているのではなく、社会(時代)がアートに寄ってきているという考え方 その1

          現在では「アート」の領域が広がっており、文化芸術が社会に求められる役割が増えている。 これは、アートという言葉自体がもともとの美術だけではなく、音楽、ダンス、演劇など様々な分野で「エンターテイメントの反対側に位置するもの」という位置づけで多領域に使われる機会が増えていることも理由と考える。 (音楽でもJ-POPはエンタメで現代音楽はアートとか。ダンスでもコンテンポラリーダンスはアートだったり) 一方で、各地に広がった芸術祭などの影響もあると思うが、アートは町おこし、観光、

          アートが社会(時代)に寄っているのではなく、社会(時代)がアートに寄ってきているという考え方 その1

          札幌市芸術文化未来会議3回目

          (色々とやることが多くて、間が空いてしまいました...) 理想の助成制度と並行して、私が参加している札幌市芸術文化未来会議についても書いていきたい。 どちらも理想の社会みたいなものが目標になるはずなので、近い部分も多いと思う。 -------------------------------- 札幌市芸術文化未来会議の概要はこちらをどうぞ https://www.city.sapporo.jp/shimin/bunka/entaku/index.html 簡単に説明すると、札

          札幌市芸術文化未来会議3回目

          芸術文化の助成金 アーティストの段階毎の助成

          日本では長らくアーティストの段階をプロとアマの2種類で分けてきたが、現在ではその境目は明確ではなく多様化しているといえる。 何をもってしてプロと呼ぶのか、例えば昔は「音楽だけで食えていたらプロ」などという通説があったが、現代ではそう簡単に断言できないと考える。 「ニューヨーク 芸術家と共存する街」 著者 塩谷 陽子 氏 の中ではアーティストの分類について下記のような記述がある。 Starving Artist(生活にもチャンスにも飢えている芸術家) Working Art

          芸術文化の助成金 アーティストの段階毎の助成

          【芸術文化の理想の助成とはVol.3】助成→報告→評価→PR→修正→助成のサイクルをひとつの理想と考える

          今回は事業報告の重要性について 助成事業では必ず「事業報告」の提出が必要となります。 ほとんどの場合は、それぞれの助成団体が用意する「事業報告書」と「収支決算書」に、採択されたアーティストや団体が必要事項を記入して、提出する形になります。 事業報告に取り組むことは自身の活動の振り返りに繋がるので、アーティストにとっても有益な行為だと思います。 アーティストの中には次から次と仕事をこなさないといけない人もいて、こういう機会でもなければ事業を振り返る機会がない人も多いからです。

          【芸術文化の理想の助成とはVol.3】助成→報告→評価→PR→修正→助成のサイクルをひとつの理想と考える

          【芸術文化の理想の助成とはVol.2】活動の評価が十分にされていないという現実、「事業検証⇔助成制度の更新」がもたらすもの

          ほとんどの助成で、活動に対する評価がされない 前回の記事(https://note.com/trash_treasure/n/nda8078f62a0a) で挙げたリストの中で、個人的にいま気になっているのが ・効果測定、事業評価 助成金の申請では「期待される事業効果」について記入する必要があることが多いです。 そして報告書にも「活動の波及効果」を報告するところが大体あります。 確かに自身の活動の振り返りや、社会にどのような影響を与えたかを意識することは大事だと思います。

          【芸術文化の理想の助成とはVol.2】活動の評価が十分にされていないという現実、「事業検証⇔助成制度の更新」がもたらすもの

          【芸術文化の理想の助成とはVol.1】理想の助成制度を考えるということは、理想の社会を考えるということ

          オンライントークに参加してきました アートマネージャーラボ主催の理想の助成制度について考える会に企画段階から参加させていただき、オンラインでお話をさせていただきました。 『現場目線で考える理想の助成制度・研究会#1 キックオフ』 https://youtu.be/YE0W6l7whEs 前半はYOUTUBE LIVEで公開され 後半は参加希望者による非公開のZOOMで少人数で話し合いました。 時間がいくらあっても足りないのでは?と思うくらい話題は多かったですが、「理想を

          【芸術文化の理想の助成とはVol.1】理想の助成制度を考えるということは、理想の社会を考えるということ