マガジンのカバー画像

Blog in Japanese

59
翻訳者・通訳者の視点から主に言葉と文化についてつぶやいています。
運営しているクリエイター

#日本語

化学の世界のエスペラント語

📢本日6月10日、世界最大の化学工学機器展#ACHEA2024 がフランクフルトにて幕開け。3年ごとの開催ですが、新型コロナ流行の影響で実に6年ぶりの開催です。 個人的には、水素経済創出に関わる技術や製品を特集する #HydrogenSpecialShow に関心があります。水素は今まさに注目のテーマ。ご視察を希望の企業・自治体などいらっしゃれば、お供いたします! ***** というわけで、今回は#化学元素 にちなむ投稿です。 日本語・ドイツ語・英語の通訳者として、これ

ドイツ語のことわざ~通訳の現場から~

現場通訳の一週間も本日で中日となり、ほっと一息ついています。😮‍💨  現場での #通訳 には緩急があるのですが、それはそれで気力が要ります。 たとえば、モノを指差し👈ながらの説明は、ほぼ同時通訳で入れます。指が移動するスピードに遅れないように、気合いを入れて訳しています。 そんな指差しチェックのなかで、エラーが判明したときのこと。誤りを認めた日本人の技師に対して、ドイツ人の電気工が言った言葉が印象に残りました。 ❝ Wo gehobelt wird, fallen Sp

手前味噌で恐縮ですが・・

本日、千秋楽を迎えた#国際総合食品見本市(#ANUGA)にちなんで「食」の慣用句に関する投稿です。 食は文化、翻訳は文化。それを痛感する誤訳に出会ったことがあります。 お恥ずかしながら、身内の失敗談です。 ドイツ語ネイティブの翻訳者にビジネスレポートの独訳を依頼しました。 法務文書や財務諸表が専門で、お堅いものを訳させたら右に出るものがいないという翻訳者です。 しかし、いくら優秀な翻訳者が担当したとしても、戻ってきた訳文には必ず社内でしっかりチェックを入れます。 「

通訳交流会 ― 強者の集まり

気の置けない通訳仲間と久しぶりに集まりました。思えば一昨年の交流会はバーチャルで、昨年はハイブリッド開催でした。やっと喪が明けたという感じでリアルに集まり、お喋りと点心を堪能😋 🚌 🆖交通機関のストがあったにもかかわらず、総勢10人の通訳仲間が集まりました。クセのつよい強者ばかりの #通訳者 。話は尽きることありませんでした。 🎓 自宅や事務所で集まるときは、いつもちょっとした #勉強会 を催すのですが、今回はレストランでの会食なのでそれもままなりません。 📚そこで #

森鷗外没後から100年、偉大なる翻訳者を想う

7月9日に没後100年を迎える森鷗外。 鷗外ゆかりの地である#ベルリン の #森鷗外記念館 では、昨晩の記念式典を皮切りに様々な展示やイベントが予定されているそうです。 森鷗外は小説家としだけではなく、#翻訳家 としても活躍しました。 『ファウスト』、『即興詩人』、『サロメ』などの翻訳が有名ですが、その他にもさまざまなジャンルの作品を縦横無尽に訳しています。 📚 ためしに、鷗外選集(岩波書店)の第11巻から、翻訳作品のタイトルだけを以下に拾ってみました。 マクベス (

暑さに対する日独の温度差

6月だというのに、このところドイツでも30℃を超える真夏日が続きます。先々週末は記録的な猛暑でしたが週明けは落ち着きました。子供たちとしては平日も真夏日を期待していたところ。というのも、ドイツの学校は暑いと休校になるからです。 その敷値は教室内温度27℃(NRW州基準値)なので、日本ならありふれた「夏日」なのに学校はお休みです。 そこで、日本とドイツで異なる「暑さに対する温度感」を気象用語から探ってみました。 日本の夏の気象用語: 炎天 空が燃えるというイメージが詩的

「刺さる」の原義を体感する

「心に刺さる」という新語はすっかり市民権を得ているようです。口語の世界だけかと思ったら、今どきの雑誌や書籍で活字にもなっています。さらにそれを短くした「刺さる」という形容詞も頻繁に目にします。 いわく、刺さる言葉、刺さる映画、刺さる本などなど。つまり、「感動する」の同義語として使われています。「やばい」が転じて、「すごくいい」の意味になるようなものでしょうか。 心の琴線に触れるという意味なら「心に響く」という美しい日本語があるではないかと思いますが、「刺す」という行為のも

民話の世界に今を読む

ウクライナ民話「てぶくろ」は数多くの言語に翻訳され、世界中で親しまれています。日本語版では、エウゲーニー・M・ラチョフの美しい挿絵の絵本が有名です。 日本語では手袋というタイトルですが、正確にはミトンでないと話が成立しません。おじいさんが森に落としたミトンに、動物たちが次々に住み着くという話なのですが、癖の強いキャラの動物たちが狭いスペースに雑居するからこそ滑稽で楽しいのです。5本指に分かれた手袋では全5戸の集合住宅になってしまいます。 ネズミ、カエル、ウサギと順々に動物

特製カルタで通訳トレーニング

毎年、一緒に仕事をした通訳者を集めて新年会を催しています。平たくいうと呑み会ですが、通訳としての勉強会も併催しています。 📝 これまでの勉強会の一例: ☑通訳のための話し方講座(プロのアナウンサーによるお試し講義) ☑ノートテーキングのミニ講座 ☑通訳ドキュメンタリー番組の視聴 ☑特製カルタ さて、特製カルタとはいかなるものか?数字の読み替えは、通訳にとっての永遠のチャレンジです。そこで通訳の現場で出てきそうな数字を含む、ドイツ語の文章を読み札にし、対応する漢数字を絵札

時候の挨拶に文化の違い、でも意外に似ている・・・

お客様や取引先に送ったクリスマスカードも無事、届いたようです。挨拶文は欲張って #日本語 ・ #ドイツ語 ・ #英語 の3ヶ国語表記。 しかし、日本語では年が明けないうちから「謹んで新年のお慶びを~」とは書けないので、毎年、表現を工夫しています。 クリスマスカードと年賀状を送るタイミングの違いは、そのままドイツ(というかキリスト教国全般)と日本の文化の違いを反映しています。しかし、時差はあっても、その習わしには共通点も多いように思います。 その辺の類似点を試験問題風にまと