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化学の世界のエスペラント語

📢本日6月10日、世界最大の化学工学機器展 #ACHEA2024 がフランクフルトにて幕開け。3年ごとの開催ですが、新型コロナ流行の影響で実に6年ぶりの開催です。

個人的には、水素経済創出に関わる技術や製品を特集する #HydrogenSpecialShow に関心があります。水素は今まさに注目のテーマ。ご視察を希望の企業・自治体などいらっしゃれば、お供いたします!

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というわけで、今回は #化学元素 にちなむ投稿です。

日本語・ドイツ語・英語の通訳者として、これら三言語における元素名の🤔不思議な関係に気が付きました。以下に、例を挙げながら分類してみます。

👉【タイプ A】日本語の呼称は英語や独語とは異なるが、よく見ると和名はドイツ語の直訳っぽい

H [EN] hydrogen [DE] Wasserstoff [JP] 水素
O [EN] oxygen [DE] Sauerstoff [JP] 酸素
C [EN] carbon [DE] Kohlenstoff [JP] 炭素
N [EN] nitrogen [DE] Stickstoff [JP] 窒素

種明かしをすると、日本に化学という学問が入ってきた時に、同じゲルマン語派に属するオランダ語経由で元素名が翻訳されたらしいです。確かに、上記の元素は #オランダ語 ではwaterstof, zuurstof, koolstof, stikstof で、 #ドイツ語 によく似ています。

その一方で、ドイツ語を知るだけに、英語で翻訳しているときに間違えそうになる元素名もあります。

👉【タイプ B】日本語とドイツ語の呼称は同じだが、英語は異なる 

Na [EN] sodium [DE] Natorium [JP] ナトリウム
K [EN] potassium [DE] Kalium [JP] カリウム

【タイプ A】では元素記号が英語名の頭文字なのですが、【タイプ B】の元素はドイツ語名の頭文字になります。それだけに、ドイツ語で通訳しているときは、すっと元素の和名が出てきます。

その亜流ともいえる、こんなタイプもあります。

👉【タイプC】日本語と英語の呼称は同じだが、ドイツ語は異なる

W [EN] tungsten [DE] Wofram [JP] タングステン

元素記号がドイツ語由来というところまでは【タイプ B】と同じです。しかし、和名はドイツ語ではなく英語と同じ、というヒネリが加わり、どこかややこしい感じがします。

その他にも、英・独・日でそれぞれ異なる元素名も数多くあります(Hg: Mercury /Quecksilber/水銀、Pb: lead/Blei/鉛)。特に発見の歴史が古く、昔からよく知られた元素になればなるほど、呼称にバラツキがあるようです。

もっとも、これは3ヶ国語の話ではなくて、4ヶ国語に関わる話とも言えます。というのも、化学式は独自の語彙(元素記号)と文法をもつ、化学の共通語だと思うからです。

込み入った化学反応を通訳 している最中に、お客様がさっと反応式を書けば、訳し終わる前に相手は理解してくれます。化学の世界のエスペラント語 に「負けた」と感じる瞬間です。

#展示会 #通訳 #英語 #日本語 #ドイツ語 #TranslationServiceArai

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