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Blog in Japanese

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翻訳者・通訳者の視点から主に言葉と文化についてつぶやいています。
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化学の世界のエスペラント語

📢本日6月10日、世界最大の化学工学機器展#ACHEA2024 がフランクフルトにて幕開け。3年ごとの開催ですが、新型コロナ流行の影響で実に6年ぶりの開催です。 個人的には、水素経済創出に関わる技術や製品を特集する #HydrogenSpecialShow に関心があります。水素は今まさに注目のテーマ。ご視察を希望の企業・自治体などいらっしゃれば、お供いたします! ***** というわけで、今回は#化学元素 にちなむ投稿です。 日本語・ドイツ語・英語の通訳者として、これ

緑の木曜日に七草粥を食す

フランクフルトの郷土料理の「緑のソース」。地元では復活祭前のGründonnerstag(聖木曜日、直訳「緑の木曜日」)に戴くものだそうです。春の到来を告げる風物詩です。 今朝、このソース用のハーブセットを八百屋で見かけ、思わず買ってしまいました。本当に7種類入っているのか疑問ですが、自分なりに分類してみました(写真)。サラダバーネット(Pimpinelle)はセリによく似ていて可愛らしい。 昨日、通訳で遠方に日帰り出張したところで疲れ気味なので、今晩はドイツ製セリとアサ

🐇カレンダー作ってみました🐉(独日版)

今さらながら自己紹介すると、ドイツで仕事をしている翻訳者(通訳者)です。 ドイツと日本の祝日が記載されたカレンダーがあったらいいなあ、とかねがね思っているのですが、市販品では見つかりません。なければ作ってしまえ、というわけで自作してみました。そして、手作り感溢れるポケットカレンダーができあがりました。 ちなみに、ドイツでは州によって祝日が異なります。弊社事務所のあるノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州では、カトリックと新教の祝日の両方が適用されるので、少しお得な感

酒の肴になる「語学脳」

\\忘年会の季節// 同業者との肩のこらない女子会で、暮れゆく年の苦労を語り流しました。同僚との交流会はいつも励みになります。 ひとしきり仕事の悩みを語りあった後は、少し下世話な話に。恋バナが過去形の面子ばかりですので、パートナーに対する愚痴に辿りつきます。 ライターをしている友人が言うには、「仕事の後で頭がどっぷり語学脳のときに衝突すると、分かり合えない壁を感じる」とか 語学脳 !? 耳慣れない言葉に思わず聞き返した私に、友人は「考えを言語化して、理詰めで説明したが

悲願の白河の関越え

昨年、甲子園優勝旗が悲願の #白河の関越え を果たしたのと同じ日に、白河を訪問しました。十年来のお取引があるお客様を訪ね、工場を見学させていただきました。 元々は昨年の夏に足を運ぶはずでしたが、コロナ禍に道を阻まれて見送ったという、苦い経緯があります。それから月日は流れ、本日、やっと念願が叶いました。 都をば 霞と共に 立ちしかど 秋風ぞ吹く 白河の関 (能因法師) お盆明けの忙しい時期にお時間を割いてくださったお客様に感謝! 陸奥への玄関で引き返すのは名残惜しい気もし

8月1日に立ち止まって考えたこと

一時帰国中に都内で客先回りしています。その日のアポを終えた、8月1日の夕方に、ビルの合間で見かけた「生誕100年山下清展」にふらりと立ち寄りました。 展覧会のポスターの絵は、彼の代表作とされる『長岡の花火』です。🎆 花火大会の起源は8月1日長岡空襲の犠牲者の慰霊だとか🙏 78年前の今日か、と少し感慨深くなりました。 作品には以下のような、清のコメントが添えられていました。 「みんなが爆弾なんかつくらないで  きれいな花火ばかりつくっていたら  きっと戦争なんて 起きなかった

同業者の匂い

#校正者 は今や縁の下の力持ちではなく、「時の人」のようです。少し前ですが、NHKの「仕事の流儀」で #フリーランス校正者(校閲者)が取り上げられていました。#大西寿男 氏の仕事ぶりは大変興味深かったです。 そのような中で人に勧められて、別の校正者の本も読んでみました。『文にあたる』(#牟田都子 著/亜紀書房) 番組を観たときもそうでしたが、この本を読んで少し胸が苦しくなりました。書かれている内容はどれも面白いのですが、この息苦しさはどこから来るのでしょう。 もち

「思いやりの心」を表現する言葉

#トルコ・シリア地震の惨状に心を痛めるなかで、今年も迎えた#3月11日。12年前の東日本大震災からのトラウマ(心的外傷)で今も苦しんでいる人は少なくないといいます。 この文脈でよく耳にする言葉があります。いわく、 ― 被災者に「寄り添う」支援を ―  そこには、面と向かって「頑張れ」とは言いにくい相手をやさしく思いやるニュアンスが込められているようです。 その一方で、生徒に「寄り添った」指導、相談者に「寄り添った」カウンセリングといった使い方もします。一歩通行になら

ある「日本人」を追悼して

今日は #ドナルド・#キーン の命日。日本文学の奥深い機微を理路整然と解き明かす、彼の弁舌は実に鮮やかです。また、谷崎、三島、川端といった名だたる文豪たちとの交友歴にも圧倒されます。 1980年代半ばに同者が執筆したエッセイの文庫が手元にあります。 その題名は 『#二つの母国に生きて』 (朝日文庫) 数章読み進めたところで、なんだか身につまされる記述に出くわしました。日本滞在が長くなるにつれて、キーンが感じたアイデンティティの問題を綴ったくだりです。 いつの間にか

二人称を前に悩む・・二人の仲はいかに

Youをどう訳すかについて英語で投稿した後に、日本語でも二人称について語りたくなりました。まあ、#産業翻訳 で「あなた」と訳さないのは日本人にとっては言わずもがなのこと。しかし、「あなた」が好まれる世界もあるというのを最近、本で読んで面白いと思ったので紹介します。 その本とは、#酒井順子著『うまれることば、しぬことば』(集英社)。「"You“に胸キュン」の章に書かれていた、#ラブソング における二人称の考察に思わず笑ってしまいました。簡単に言ってしまえば、昭和のナツメロに