見出し画像

「思いやりの心」を表現する言葉

#トルコ・シリア地震の惨状に心を痛めるなかで 、今年も迎えた#3月11日。12年前の東日本大震災からのトラウマ(心的外傷)で今も苦しんでいる人は少なくないといいます。
 
この文脈でよく耳にする言葉があります。いわく、
― 被災者に「寄り添う」支援を ― 
 
そこには、面と向かって「頑張れ」とは言いにくい相手をやさしく思いやるニュアンスが込められているようです。

その一方で、生徒に「寄り添った」指導、相談者に「寄り添った」カウンセリングといった使い方もします。一歩通行にならずに、相手のニーズを汲み取る(指導やアドバイス)といったくらいの意味でしょうか。

しかし、訳そうとすると、なかなか難しい表現です。自分の翻訳言語の一つであるドイツ語で考えてみました。

まず、辞書(日独大辞典[IUDICIUM Verlag])で調べてみました。
 
(fig.) jemanden verständnisvoll (fürsorglich, tröstend) begleiten
 
もちろん意味としては正しいのですが、少し説明的なきらいがあります。
他に何かよい表現はないかとブレインストーミングしてみました。
 
einfühlsam sein
das Mitgefühl haben
auf Bedürfnisse eingehen
Für jemanden da sein
ein feinfühliger Begleiter zu sein
eine zarte Verbundenheit spüren
Empathie zeigen oder Einfühlungsvermögen zeigen
・・・どうも、しっくりくる訳語には辿り着きません。
 
そういえば、「空気を読む」や「忖度」に対応するドイツ語もすぐに思い浮かびません。やはり、洋の東西で思考回路が異なることが、この語の翻訳の難しさの根源にあるようです。

こんなふうに、翻訳者の日常はブレインストーミングの連続です。もちろん大変なのですが、それだけにドンピシャな言葉が閃いたときは報われる思いがします。

疫病、戦争、災害・・・思いやりが疲弊しがちな今の世の中ですが、人の心の痛みに「寄り添う」気持ちを忘れないようにしたいものです。
 
#お客様に寄り添う翻訳 #TranslationServiceArai #japanese #german #english

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?