「狂つた一頁」がアマプラに!

お久しぶりです。

ここから紹介する映画の話は内容がたいへん混み合った、精神的なホラーとも言いますか、少しえぐい内容、表現、描写のある映画の紹介、感想を書きますので、なるべく、配慮して書きますが、苦手な方はここで引き返すことをおすすめします。
どうぞ、ご理解、お願いします。
(少々、スペースを空けます)










2023年1月開けて早々、この話題なのもなんですが、衣笠貞之助(きぬがさ ていのすけ)監督の大正15年作品(1926年の作品とも表記される)、「狂つた一頁」(「狂った一頁(狂った一ページ)」)がアマプラにあった!という話をしたいと思います。

この作品の原作は川端康成。
精神病棟を舞台とした映画です。
表現として、舞踏(ぶとう。踊り、舞っている)が見られます。

私はこの「狂つた一頁」をあまり、大きな声では言えませんが、数年前からニコニコ動画で上がっていたのをたびたび、見ていました。
DVD化をされているのであれば、購入やレンタルという選択もありましたが、何分、内容がデリケートな題材なため、なかなか、DVD化はされていません。
今もDVD化はされていないと思いますが、思わぬことがありました。
今日、何気なく検索をしていますと、なんと「狂つた一頁」がサブスクのアマプラで見れるではないですか!!。
まあ、なんで発見できるような検索をしているんだよ、と言われかねませんが、本当に当たり障りもないことを検索している時に偶然、発見したんですよ。本当ですよ!。

映画評論家、淀川長治氏は「狂つた一頁」に対しての評論を、ドイツ映画「カリガリ博士」のDVDの中で解説されており、淀川氏によれば、当時の表現主義映画に影響された作品で、「カリガリ博士」の影響を大いに受けている、亜流の作品という旨の発言をされています。

また当時のドイツという国について、淀川氏は、
「当時(1920~30年代ごろのドイツ)はパリよりもおしゃれで最先端の文化を持つ国だった。
独裁国家になってしまったため、おしゃれではなくなった」
という旨の発言もされていた。
確か、似た時期のドイツ映画に「メトロポリス」(1927年の作品)という作品もあり、この作品は今見てもインパクトがあるし、オペレッタ映画でもある「会議は踊る」(1931年の作品)も良作だったので、当時のドイツのおしゃれな感じは伝わってきます。

「カリガリ博士」のほうも見たことはありますが、特段の印象はなかったです。
確かに、「狂つた一頁」は「カリガリ博士」の影響を大きく受けていることは否定できないです。
部分的、特にデザイン的表現は似ているところもあると思いますし、さらに、当時は活弁士による活弁(無声映像に生で物語の筋やセリフなどを割り当ててナレーションする)なので、雰囲気が出ないように思います。
レコードトーキー(映像にレコードで録音した音を合わせること。)は1925年ごろ(昭和初期ごろ)から1935年ごろ(昭和10年ごろ)までの一部の映画にあるだけだし、ましてやトーキー(今の映画のように映像と音があっているもの。)の登場は1935年ごろ(昭和10年ごろ)からなので、このアヴァンギャルドな「狂つた一頁」の表現は難しかったと思います。
映画の風合いに会わなかったと想像されます。
現に、私が見ている「狂つた一頁」の音は戦後の1970年に録音された音が使われています。
当時の日本の音楽界の一部もおかしな感じの音楽が出始めていた時代(お笑いコンビの天竺鼠の出囃子にも使われている、映画「書を捨てよ、町へ出よう」(1971年の作品。U-NEXTで見れるらしい。高いのであまり使わないサブスクですが…)で使われているTokyo Kid Brotherの「フリーダム」などもこの時期)で、70年代のアングラな音と大正15年の前衛的な映像に合っていると思うので、この映画の場合は活弁ではなく、70年代の音ヴァージョンのほうがいいと思います。
この音も相まって、この映画は「カリガリ博士」より不気味になっていると私は思うのです。

また、アマプラのほうで見ると音が良くなっているので、いいですね。
近頃のアマプラは少しですが、戦前の映画もあるのでうれしいです。
戦前の古写真を見るのが好きだし、戦前の映画を見るのも趣味(映画は作品として、というより戦前の資料として見ます。また、歴史はよく知らないです。)なので、うれしい限りです。

興味のある方は是非、見てみてください。

余談 お金がかかるので、川端康成の本を青空文庫で読みたいと思っているのですが、まだ文庫化されていませんでした。「狂つた一頁」の原作があれば読んでみたかったのですが…。

もう一つ余談 戦前のエログロ・ナンセンスにも興味があります。
著作権切れの本を青空文庫で読みたいがためにKindle fireを購入しました。

またまた、余談 数年前、古いのも含めた、広島の原爆に関するドキュメンタリー映像の特集で一つ、「カリガリ博士」や「狂つた一頁」の影響を受けたのではないか、と思われる、映像と構成と音楽のものがありました。

(2023年1月2日19:03分頃 誤字を修正いたしました。すみません。)

よろしければ、お願いします。