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#45【緊張型頭痛】頭痛の分類について確認しましょう。

整体でも頭痛に悩んでいる方を多く拝見します。
一言で頭痛と言ってもその原因はかなり複雑です。国際頭痛分類第3版をざっと見ると、頭痛の種類は300以上になります。とんでもない量です。

医学的にかなり細かく分類しているのでそうなっています。
整体や鍼灸の臨床場面でも頭痛を分類することは必要ですが300種も分ける必要は無いでしょう。
今回は整体や鍼灸で頭痛の患者さんを診る際に必要な視点について紹介します。


1.頭痛の概要

1-1.頭痛とは

頭痛とは、頭部の一部や全体、後頭部とうなじの境界および眼の奥の痛みの総称のことです。
頭痛を経験したことがないという人のほうが少ないかもしれません。それくらい一般的な症状ではあります。
しかし、一言で頭痛と言ってもその病態は様々なものがあると考えられており、危険な頭痛が疑われる場合にはすぐさま医療機関への受診を促さなくてはなりません。

1-2.頭痛の分類

頭痛はまず大まかに3種に分けるところから始めます。
「一次性頭痛」・「二次性頭痛」・「有痛性脳神経ニューロパチー」です。

一次性頭痛は、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛などを含みます。頭痛そのものが病気であるとき、一次性頭痛と言います。

二次性頭痛は、その名の通り二次的に頭痛が発症しているものです。頭痛を引き起こす器質的疾患が別にあり、その結果頭痛が出ているものです。
例えば、くも膜下出血により頭痛が症状として現れることがあります。

有痛性脳神経ニューロパチーは、後頭神経が障害されて痛む後頭神経痛や、脳血管障害後の中枢性疼痛などを含みます。頭部に関連する神経が傷つき疼痛が発生しているものです。
「ニューロパチー」とは、末梢神経が壊れてその働きが悪くなっている状態を示す言葉です。

1-3.一次性頭痛と二次性頭痛

頭痛を診察する上で重要なのは、二次性頭痛を除外することです。
二次性頭痛はくも膜下出血など重篤な疾患が原因となっている可能性があります。
(※二次性頭痛の鑑別についてはここでは割愛します)

整体や鍼灸が適応となるのは一次性頭痛と有痛性脳神経ニューロパチーになるかと思われます。

しかし有痛性脳神経ニューロパチーについては、神経そのものが傷ついているので鍼施術が適応かどうかは言い難いところがあります。
鍼通電療法が神経の再生を促すという報告はあるようですが、ヒトを対象にした研究がどこまで進んでいるかは定かではありません。
興味のある方は調べていただければと思います。

もう一つ、特殊な頭痛として「MOH:medication-overuse headache」があります。これは頭痛発症時に飲む鎮痛薬を常飲することで、薬物使用過多による頭痛が発症している状態です。

2.4種の頭痛を確認しましょう。

次に、3つの一次性頭痛とMOHについて確認していきます。

2-1. 緊張型頭痛

頭頸部筋群の緊張に伴って頭蓋周囲筋膜の痛み感受性が増加して起こる頭痛です。
症状としては、両側性の締め付けられるような痛みが特徴的です。日常生活への支障は少ないことが多いようです。また運動で増悪しないというのも特徴でしょう。
また、非拍動性で悪心・嘔吐などがなく、午後や夕方に多いようです。

2-2.片頭痛

片頭痛の原因については未だ不明な点が多くあります。
副交感神経の活性化とそれに伴う髄膜の血管拡張による内圧の亢進が、頭痛を引き起こしているといった報告がありますが、医学的に統一された見解は未だないようです。

片頭痛は片側性で拍動があり、悪心・嘔吐もあるのが特徴的です。日常生活への支障をきたし、じっとしている方が楽なので寝込むこともあります。
また生あくびや閃輝暗点などの前兆があることもあります。
光や音などに過敏に反応するのも片頭痛の特徴です。
(ちなみに私は片頭痛持ちです。閃輝暗点も見えます)

2-3.群発頭痛

群発頭痛は通常一側性で、頭痛が出ている側と同側で副交感神経による自律神経症状を呈するという臨床的特徴があります。

毎日同時刻に片眼の奥をえぐられるような激しい痛みが起こり、流涙・結膜充血・鼻閉・鼻汁・ひたいの発汗など自律神経症状を併発します。
動けなくなる片頭痛とは対象的に、発作時は強度の痛みによりイライラして落ち着かなくなります。
タバコ・アルコール・ストレス・不眠などが誘発因子となると考えらています。

2-4.MOH(medication-overuse headache)

MOHは緊張型頭痛や片頭痛と似ています。
朝方に頭痛が起こるのはMOHの特徴のようです。

鎮痛薬を15日以上/月、これを3ヶ月以上服薬していれば、MOHを疑います。患者さんの服薬状況をチェックすることが必要になるでしょう。
MOHの患者さんは頭痛がないときでも予防のために鎮痛薬を使用していることがあります。予防のための服薬は控えるように指導するべきかもしれませんが、整体師や鍼灸師の判断で薬剤を中止するべきではありません。専門医と相談することが推奨されています。

3.緊張型頭痛への施術

今回の記事では緊張型頭痛に対する施術について確認してみたいと思います。緊張型頭痛は、「頭頸部筋群の緊張とそれに伴う頭蓋周囲筋膜の痛み感受性が増加して起こる頭痛」でした。

頭頸部の筋の筋緊張が増すことで、頭頸部や頭蓋の筋・筋膜への血流が阻害され、痛みの感受性が増加するために疼痛を感じやすくなっているという状態です。
筋緊張が原因であれば、整体や鍼灸でも施術できそうですね。

また頭頸部の筋緊張亢進は不良姿勢によるところも多くあります。頭頸部の筋に施術して筋緊張を取るだけでなく、筋緊張を引き起こす不良姿勢を改善させることが緊張型頭痛を治すためには自ずと必要になってくるというのがわかると思います。

ですので、緊張型頭痛が疑われる場合には①緊張の強くなっている頭頸部の筋を緩めること。そして②筋緊張が強くなる原因である不良姿勢を改善すること。この2点が必要な視点となってきそうですね。

注意点として、患者が複数の頭痛を同時に持っている可能性があることに留意しなくてはなりません。例えば緊張型頭痛と片頭痛の両方を患者が抱えている可能性があるということです。
緊張型頭痛は頭頸部への施術で解消されたとしても、片頭痛の方はおそらく解消されません。この点を留意して施術にあたる必要もあります。

参考になりそうな記事のリンクをいくつか貼っておきますので、是非こちらも確認されてください。

痛みについて

筋緊張について

姿勢について

参考文献・図書
David W. Dodick. A Phase-by-Phase review of migraine pathophysiology. The Journal of Head and Face Pain. 58, 4-16 (2018).
新板東洋医学臨床論(はりきゅう編), 公益社団法人 東洋療法学校協会編 教科書検討小委員会著

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