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#50【陽経治療】六陽経の鑑別まとめ

最近陽経治療の勉強をしています。
陽経治療は陽経の実を瀉すことで、急性症状を改善させるというものです。
治療院において最も求められる痛みの緩和に、効果を発揮する治療でもあります。

六陽経の鑑別について、いつでもスマホで見返せるようにここにまとめておきます。

1.手の陽明大腸経

歯痛・咽喉痛・肩関節痛・母指や腕関節の痛み

大腸経に風熱の邪が入ると咽喉部が赤く腫れて痛む
風寒の邪が入ると肩関節などが痛む

目や鼻の症状も大腸経を処置して軽快するものが多い(合谷は面目に効く)

2.足の陽明胃経

胃経は長いので全身どこにでも症状が起こり得る。
胃経の変動による腰痛も珍しくはない。

軽い悪心を伴う頭痛(悪心:吐き気)
流行性耳下腺炎は胃経に熱と湿の邪が入った症状と考えてよい。

歯痛(上歯痛は胃経、下歯痛は大腸経の痛みである)
※歯肉については逆になるらしい。上歯肉は大腸経、下歯肉は胃経の変動による痛みである。
鎖骨上窩の痛みも胃経と関係が深い。

乳腺炎や乳腺症による痛みも胃経の処置によって治ることが多い。

胃痛・下腹部痛

下肢では大腿神経痛、膝関節や足関節の痛みが胃経の変動と関係が深い。

3.手の太陽小腸経

小腸経の痛みには頚部痛と肩関節痛が多い。
「朝起きたら首が動かない」といった症状は、小腸経に風寒の熱が入った時に見られる。

小腸経に熱邪が入ると、肘関節や腕関節が腫れて痛む。関節リウマチ

小腸経に風邪が入ると、腫れることはないが運動痛を主症状とする関節の痛みが現れる。
筋の症状は風(木の邪)と関係が深い。今で言う五十肩

4.足の太陽膀胱経

膀胱経の変動では極めて多彩な症状が現れる。

項強り、頭痛、鼻塞、悪寒、発熱は膀胱経に風寒の邪が入ったときの初期の症状である。

膀胱経に寒邪が入ると背部痛や腰痛が起こる。多くは労倦との複合原因によるものである。
背部痛や腰痛は両側性のものが多い(左右どちらか一方が痛いものは胆経の実に原因がある)。

殿部から大腿後側にかけて痛みが出る坐骨神経痛
第五中足骨の基節関節や中足趾節関節の痛みが膀胱経の変動として捉えられる。

5.手の少陽三焦経

三焦経の痛みは頚部から上肢にかけて、どの部分の痛みでも起こり得る。
耳の疾患に伴う痛みもしばしば見られる(耳の痛みについては三焦経以外の経脈も考えられる)。

頚の回旋時の痛みは三焦経の実である(前後の痛みは小腸経の痛みである)。
肩関節の痛み。回旋運動に伴う痛みが特徴である。
肘関節の痛み。テニス肘はほとんどが三焦経の実である。回内回外運動(回旋運動)が肘に負担をかける。

※三焦経の実は、大腸経や小腸経との鑑別が難しい。

6.足の少陽胆経

胆経の症状は偏側性という特徴があるので鑑別に困ることはない。

偏頭痛や側頸部・側胸部の痛み。肋間神経痛。
腰痛では寝返りのときに苦痛が強い
背部の筋肉痛でも一側性であるものは胆経の実。

股関節や膝関節など下肢の関節痛。

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参考文献
杉山勲,2009,即効・陽経治療 源草社

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