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#40【奇経八脈】督脈の流注、生理作用、治療について

この記事では、奇経八脈である督脈について紹介します。
督脈は奇経八脈の一つではありますが、正経十二経脈のように固有の経穴を持った奇経八脈です。


1.督脈の流注

督脈は胞中から起こり、会陰に出て、脊柱の中を上行します。体表ではちょうど脊柱の棘突起を一直線に上っていきます。
項の後方、頭部の正中線に沿って上り、頭頂部、額部、鼻部、上唇を経て上唇小帯に至ります。

背部では手足の三陽経と何度も交会していると考えられています。
また陽経を維絡する陽維脈が、瘂門・風府において督脈と合流しています。これが、督脈が全身の陽経脈を統率しているという根拠となっています。

2.督脈の生理作用

前提として、奇経八脈は腎の生理作用を発現させるのが働きです。督脈が担っている腎の生理作用は、発育と成長です。腎精が充実していると成長・発育が良いと言われていますよね。

督脈は脊柱の中を上行し、脳の中にも繋がっているので、中枢神経系の発育に大きく関係しています。そして、体幹の筋骨の発育にも関わっています。

また督脈の別脈は任脈と同じような走行をしています。思春期には陽気を任脈に供給することで、二次性徴の発現もサポートしていると言われています。

3.督脈の治療

督脈の治療は、督脈上の圧痛の変化を指標にすると良いようです。
督脈の経穴は棘突起間に配置されていますが、棘突起間が狭くなっていることがしばしばあります。
経穴のある棘突起間が狭くなっているというのは気が通りにくくなっているということです。「不通則痛」という言葉がありますが、そうしたポイントは圧痛が強くなっています。

ツボの選択としては、長強が絡穴ではありますが使いにくい部位にあります。腰陽関が別名「督脈」と呼ばれており、ここを起始穴と考えると良いでしょう。
また停止穴も百会や神庭が良いと考えられます。顔面部の穴もやはり使いにくいからというのがその理由です。

腰陽関や百会、神庭の単一穴治療、あるいは腰陽関と百会、腰陽関と神庭の2点治療で督脈上の圧痛部位の変化を見ます。
圧痛が軽減していれば、督脈が促通されたと考えられます。

棘突起間が狭くなって圧痛があるような部位に直接施術するのであれば、灸施術の方が無難なようです。施灸後には棘突起間が緩んで隙間が開きます。必要そうであれば、その後刺鍼施術も重ねてやりましょう。

参考文献
高野耕造,2022,臨床に役立つ奇経八脈の使い方(第2刷),東洋学術出版社

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