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memo22【長野式治療】帯脈処置について

長野式治療の中に、帯脈処置と呼ばれるものがあります。
帯脈というのは、腰部をぐるりと回っている経絡だと言われています。

長野式治療の中でも即効を発揮する代表的な処置だと言われています。
適応症としては、腰背部痛、坐骨神経痛、頸肩腕症候群、寝違え、五十肩、頭痛、顎関節痛、むちうちなどなど枚挙にいとまがないようです。

なぜこれほど多くの症状に効果があるのかを、いくつかの視点で紹介します。

1.体幹伸筋と体幹屈筋の切り替え点である

繰り返しになりますが、帯脈は腰部をぐるりと一周している経脈です。奇経八脈の一つですね。
体幹を屈曲するのが腹直筋や腹斜筋などの腹筋群であるのに対して、体幹を伸展させるのは背面の脊柱起立筋です。

実際に経穴として取るのは「帯脈」と「後帯脈」です。
「後帯脈」は聞き慣れない経穴ですが、帯脈よりも後方2~3寸のところに取ります。

緑:帯脈 橙:後帯脈

「後帯脈」の部位は、まさに屈筋と伸筋の境目にあたり、内外腹斜筋や腹横筋が重なる部位でもあります。
いかにも運動器系に効きそうな部位ですよね。

2.解剖学的な意義

1の理由と重なるところもありますが、帯脈は解剖学的にも重要なポイントになります。

筋系では1の理由で述べた通りですが、帯脈は脊柱起立筋と腹筋群が重なる部位であり、これらすべての筋に影響を与えられるツボだと言えます。

長野式では血管や神経の走行なども非常に重視している印象があります。
帯脈の部位は、下腹壁動脈や肋下動脈が分布しています。下腹壁動脈は鎖骨下動脈や外腸骨動脈から、肋下動脈は胸大動脈や腹大動脈からの枝が伸びており、これらの血管の循行にも良い影響を与えることができます。

神経では、肋間神経や腸骨鼠径神経などが走行しています。

以上のことから、帯脈処置は腹部のみにとどまらず、頚部や肩、下肢にまで影響を与えることができる処置だということが言えるのです。

3.古典的な意義

『帯脈は胸腹両側の季肋部に起こり、腰帯をしめるように腰を一周する』と言われています(難経・第二十八難)。

また、『奇経の帯脈は章門の穴より起こり、帯脈穴をめぐって身を周ること帯のめぐるが如く、諸経を管束するを以って帯脈という』とも言われています(奇経八脈考)。

『諸経を管束する』というのは、すべての経脈を束ねているという意味であり、それはすなわち全ての経脈に対して影響力を持っているということが言えるでしょう。
それ故に、多くの適応症があると考えられます。

以上、帯脈処置についてでした。
私が実際にやってみたわけではないので、機会があれば友人と試してみようと思っています。
やってみて効果が出れば、また報告するかもしれません。

参考図書・文献
長野康司、よくわかる長野式治療、2015、医道の日本社

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