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飲食店の開業・経営・独立のための15の準備

飲食店で開業、独立を志す方は非常に多いです。しかし、周りのお店を見てもわかるように、新しい飲食店が次々と開業していく一方で廃業する飲食店もたくさんあります。それだけ飲食店の経営は簡単ではないのです。

この記事では、飲食店の開業、独立で失敗しないために必ず準備しておくべきポイントを詳しく解説します。

1. どうして飲食店を開業するのか?

「こんなお店を作りたい」「あんなメニューを提供できたらお客様に喜ばれるだろうな」自分の理想のお店を頭に思い浮かべるとき、いろいろなアイデアが湧き出てきていることと思います。

しかし、理想のお店はアイデアだけでは実現できません。お店の改装や、厨房機器の購入費用、家賃など、お店を開くには予想以上にお金もかかりますし、準備のために膨大な時間を費やすことになります。オーナーが有名人であってもあっという間につぶれてしまう時代です。甘い気持ちで飲食店を始めると、すぐにお店は倒産してしまいます。飲食店は成功すればやりがいはありますが、リスクも大きい商売なのです。

どうして飲食店を開業するのか、本当に飲食店で成功できるのかという視点から、もう一度お店を出したいのかどうかを考えてみましょう。

フランチャイズでの開業を目指したい方はこちらの記事もおすすめです。
メリット、デメリットや成功の秘訣などを解説しています。

2. 開業資金はいくら必要?

開業資金としては、いったいいくらぐらいを準備すれば良いのでしょうか?多ければ多いほど良いというのが一つの回答ですが、目安として見込み年商の50%は準備しておきたいところです。年商2,000万円の見込みなら1,000万円の資金の用意が必要です。貯蓄だけではまかなえない場合、出資や融資を受けることも考えましょう。

開業資金の使い道ですが、次のようになることが多いでしょう。

合計1,000万円物件取得費450万円内外装工事費220万円厨房設備100万円テーブル・椅子・食器など80万円運転資金150万円

物件取得費には、保証金・礼金や不動産の仲介手数料などの初期費用、店舗の家賃が含まれます。保証金は敷金と同じ意味ですが、注意点として店舗物件の場合は家賃の10ヶ月分が相場なので、金額が想定よりも大きくなりがです。「保証金のうち30%が償却」といった条件がついている場合もありますので、注意が必要です(この場合、30%は返還されません)。

内外装工事費や厨房設備については、居抜きの物件を選ぶなどして安く抑えることができます。テーブル・椅子・食器などについても、中古のものを購入することもできます。

運転資金として、仕入れ・人件費・光熱費などの店舗の運営に関する経費を3ヶ月分は準備してください。

資金の調達

開業するための資金調達には、主に次の3つの方法があります。

  1. 自己資金

  2. 親族や知人から借りる

  3. 日本政策金融公庫から借りる

民間の金融機関からの融資は、担保や保証人を準備したとしても、実績がないと難しいかもしれません。そこで公共の金融機関である、日本政策金融公庫からの借り入れを検討しましょう。その場合でも、開業資金の1/3程度は自己資金でまかないたいものです。
また創業や新規雇用で、要件を満たしており申請が通れば、厚生労働省から助成金を受け取ることができます。開業時に受けられる補助金としては、以下の方法があります。

1.創業・事業承継補助金

新規開業や事業を承継する際に事業規模などの条件に応じて補助金を受給することができます。開業後では申請できず、必ず開業前に申請する必要があるので注意しましょう。

支給額は100万円、200万円、500万円の3通りあり、銀行の融資などによる開業資金の外部調達がない場合支給額は100万円です。

2.小規模事業者持続化補助金

サービス業、製造業、小売業などの小規模事業者を対象に、広告費やホームページの作成費、店舗のバリアフリー化に伴う工事費などを目的として補助金を受給できます。

この際の補助上限額は50万円です。

さらに、飲食店開業に使える助成金は3種類あります。

1. 特定求職者雇用開発助成金

高齢者、障害者、母子家庭、父子家庭の母または父等の就職困難者を雇用する事業主をサポート制度です。週の所定労働時間が30時間以上の場合、高年齢者または母子、父子家庭の母もしくは父を雇用するなら一人あたり60万円の助成金を受け取ることができます。

また、身体、知的障害者を雇用する場合は一人あたり120万円の助成金を受け取れます。

2. キャリアアップ助成金

非正規雇用労働者のキャリアアップ促進を目的とした助成金です。パートから正社員へ、もしくは有期雇用パートから無期雇用パートへなど、正社員化・処遇改善に取り組んだ事業主に対し、助成金の支給があります。

例えば、有期雇用パートから無期雇用パートになった場合、一人あたり285,000円の助成金を受け取ることができます。

3. トライアル雇用奨励金

職業経験の不足などから就職することが難しい求職者を3か月試用雇用し、その後の常用雇用への移行や雇用のきっかけとするための助成金です。紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している人、出産や育児などの理由で一年以上定職に就いていない人、紹介日時点で、ニートやフリーター等で45歳未満の人などが対象になります。

支給額は1人あたり、月額最大4万円(最長3か月)で12万円の受給ができます。

3. 繁盛店や競合の調査

人気店には必ず理由があります。何の工夫もせずに人が集まってくるようなことはありません。繁盛店や競合店を実際に訪れてノウハウをリサーチしてください。

店内の雰囲気

人気店は、お客様を惹きつける雰囲気の店内を作っています。魅力のある、他にはないオリジナリティーのある雰囲気は、リピーターが増えるポイントの一つとなっているはずです。どんな点が魅力になっているのかをしっかり分析することが大切です。

従業員の接客態度

接客はお客様にとって特に印象に残りやすい部分です。接客の際にはよく気を配り、常にサービス向上を心がける必要があります。競合店がどのようなサービスを提供しているのかを観察できます。サービスを受けているお客様の様子や接客に対するコメントを聞くことで、自分のお店に生かすことができます。

メニューの種類・豊富さ・金額

飲食業界は日々変化しています。流行や時代の流れで、その時々にあったお客様のニーズも変わってきます。そのためメニューの種類や豊富さ、価格設定については常に改善を続けるようにしましょう。他店の価格設定や品数に常に注意しておくことで、時代の流れに取り残されないようにできます。

注文してから料理が出てくるまでの時間

お店のコンセプトにもよりますが、オフィス街やカフェなどの飲食店では注文してから料理が提供されるまでの時間がとても大事です。待ち時間が分単位で変わるだけで、お客様の印象も変わるものです。どのくらいの時間が1番客喜ばれるのか、満足感が高いのか、人気店の時間を実際に計ってみることもできます。

料理の味

言うまでもなく、料理の味もとても重要なリサーチポイントです。競合のどの料理、どの味が、その店の客層に受けているのかを知ることも大切です。また、季節や提供する材料によっても味付けは常に微妙に調整する必要があるはずです。人気店の味付けを知ることで、自分のお店の味をどのように改善していけばいいのかが分かるでしょう。

お客さんがどのように過ごしているのか、自分の目で確かめることが大切です。時間を作ってこまめにリサーチに行きましょう。ただし、同じ飲食店でもターゲットとする層が異なる場合は、競合相手にはなりません。まずは他店のターゲット層を把握しましょう。

4. お店のコンセプト

飲食店の場合、以下の7項目についてコンセプトを明確にしておくべきです。

どこで?(出店エリア)

まずは出店エリアを考えましょう。閑静な住宅街か、駅近くの繁華なエリアか、もしくはオフィス街かなど具体的にエリアを決めましょう。気になるエリアの不動産情報を早めにチェックしておくと良いでしょう。

何を?(業態)

ケータリングがいいのか、店舗を構えるのか、もしくはゴーストレストランのように間借りして始めるのかなど、まずは具体的な方向性を考える必要があります。

誰に?(ターゲット客層)

対象となるターゲット層を決めましょう。学生、会社員、ファミリーやカップル、女性、シニアなどどんな人たちを主な対象にしているのかが決まると、コンセプトも決めやすくなります。

いつ?(営業時間・定休日)

ターゲットにしている客層が、主に食べに来る時間帯はいつでしょうか。例えば、会社勤めのお客様を対象に料理を提供したい場合、ランチや仕事の後の時間をメインに考え、営業時間や営業日を工夫しましょう。

何のために?(利用動機)

このお店に来ればオリジナルメニューが楽しめる、ゆっくり自分の時間を過ごせるなどのターゲット層の人達のニーズを満たせるかどうかを分析しましょう。ただ、安くて美味しいだけではない、来店動機につながるような利用メリットがあれば、リピーターも増え集客につながります。

どのように?(売り方やスタイル)

テイクアウトやデリバリーを中心にするのか、ランチセットなどセットメニューを増やすのかなどを考慮できます。

いくらで?(価格帯)

最後に値段設定を行います。どのくらいの価格ならリピートしてくれるのか、付加価値があるのかもポイントです。もちろん、利益だけでなく、お客様にとって満足感を得やすい価格なのかも検討できます。

もし、これらのコンセプトが決まっていなければなかなか集客数が伸びず、結果的に赤字が続き、コストばかりかさんでしまいます。そのため、まずは開業前からコンセプトを明確にし、それに沿って計画していくことが重要です。

これらのコンセプトは物件探しやメニューにも関わってくるので、具体的に設定していきましょう。

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