業務効率化の前にはプロセスの見直しが必要だと思う

新しいITツールやシステムを導入したにもかかわらず、思ったような効果が得られなかったという経験はありませんか?こうした場合、導入前の準備が足りなかった可能性があります。

僕もかつてRPAを使った業務効率化で失敗をしたことがあります。RPA自体は便利であることが分かったものの、導入コストに見合った効果が得られなかったのです。

業務効率化の前に考えなければならないこと

僕の場合ですが、たくさんの振り返りから以下2点の反省点にたどり着きました。

反省点①:
ITツールを導入するということを目的化するのではなく、
目的に沿ったITツールを探すべきだった

RPAありきで考えた結果、RPAが導入できそうな業務を探すという本来あるべき姿とは逆のことをやってしまっていたのです。

ただし、この時は試しにRPAを使ってみるという目的もあったので仕方なかった部分もあります。どちらかというと②のほうが重要。

反省点②:
既存フロー全体像の理解と見直しができていなかった
その結果、個別プロセスの効率化はできたが全体最適につながらなかった。

これは、『ザ・ゴール』に出てくるボトルネックの考え方が参考になると思います。

プロセス全体可視化を行うことで、初めて効率化を妨げている個別プロセスを判断することができる。それができなければ効率的なITツールの導入はできない。そのことを自身の経験をもって理解しました。

システム導入前にすべきこと:
・業務プロセスの図示。全体最適に効果があるか事前確認する。
・システムを導入する個別プロセスの見直し。既存業務フロー図を描く、必要に応じて業務フローの適正化を行う

プロセスの成熟度レベルという考え方

要するに業務改善の難易度はプロセス管理状態によって大きく変わるいうことです。

組織におけるプロセス管理レベルについてのわかりやすいフレームワークがプロセス成熟度レベル(CMMI)です。5段階で業務プロセスの成熟度を示してくれています。自分自身の業務プロセスがどういう状態かを客観的に評価するために有効だと思います。

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CMMI Institute の情報を元に作成
https://cmmiinstitute.com/cmmi

プロセスの標準化や最適化が既に行われているレベル3以上の組織であれば、プロセス見直しは容易です。結果としてITツールの導入は比較的スムーズに行えるでしょう。

一方、煩雑なプロセスを放置し個別最適が散見される組織では、まず業務の整理整頓をするところから始める必要があります。その場合、ITツールを使った効率化を行うには時期尚早かもしれません。

CMMIは元々ITフレームワークですが、それ以外の業界でも大いに使えると思います。僕はRPAの取り組みの前にこのフレームワークを知っておきたかったなあと心の底から思いました。

参考資料

『ITIL はじめの一歩 スッキリわかるITILの基本と業務改善のしくみ』
最上 千佳子 著

この本で紹介されているのは、ITシステムの開発・運用のノウハウをほかの業種にも適応してみたらどうなるかということ。CMMIについてもこの本で紹介されている。

安全で効率の良いITシステムを開発・運用するためには「業務の可視化」「適切なリソース配分」「サービスの標準化」が不可欠である。そしてそのために完成されたフレームワークが用意されている。

これらフレームワークはIT業界では共通言語として使われているが、他業界ではほとんど知られていなかったりする。だが、IT業界でなくともこれらフレームワークを転用することによって、サービス価値向上や安定運用のヒントが得られるだろう。

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