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『カイゼン・ジャーニー』②孤独の改善 実践編

改善の始まりはいつも孤独。実現に至るまでは辛く長い道のりだ。

どうやって個人で改善活動を始め、チームに伝播させていくのがよいのか?本書ではそのためのヒントを教えてくれている。

『カイゼン・ジャーニー』
市谷 聡啓 (著), 新井 剛 (著)

前回の記事
『カイゼン・ジャーニー』①一人で始める改善活動

個人で改善するための3つの活動

新しいアイデアを思いついたとして、それを実現まで結びつけるために何をすればよいのか?本書の第一部では、そのための具体的なヒントを提示してくれている。

①いつもいる場所から外に出てみる
②境界を行き来する
③仲間を見つける

順番に見ていこう。

①いつもいる場所から外に出てみる

社内のソリューションやリソースだけに注目すると、どうしても視野が狭くなってしまいがちになる。理想と現実のうち「現実」の部分だけに着目するようになり、アイデアもなかなか出てこない。

だからこそ、外の世界を見ることが大切なのだ。

社外の勉強会、読書、Twitterやnoteなどの情報など。情報源は数多くあるけれど、新たな視点や技術は自分の知見を広げてくれる。最近はオンラインセミナーも多く開催されている。それらに参加するのも面白い。

改善のタネは何も同業者からのみ得られる訳ではない。幅広い分野や業界の資料を収集してみるのがよいだろう。

そこで新たなフレームワーク、ベストプラクティスに出会うことができたのなら、それを改善のヒントにしてみるのがよいだろう。

ただし、当然気をつけなければならないこともある。ほとんどの場合、外から得た事例を丸パクリすることはできないのだ。

制約や背景により、改善の進め方や手法は異なる。外部から得た情報も表面的でしかない場合も多い。何でもそんまま使えるというわけではない。

両者の間にある差分(diff)を理解し、アイデアを再構築することが必要なのだ。

②境界を行き来する

改善を個人のレベルで進めることは決して難しくない。権限がなくとも始められることも多いし、誰も説得する必要がないからだ。

しかし、チームや組織に伝播させたいと思った場合、事情は大きく変わってくる。かかる労力の量だって桁違いだ。

このときに心に留めておきたいのが、「どれだけ素晴らしいアイデアも大勢の理解を得るのは難しい」「一度の説得で理解を得るのは難しい」ということ。

既存のやり方を変える場合には、現状維持バイアスがはたらく。新しいアイデアの効果を数値的に証明することも難しい。やってみないと効果がわからないということが往々にしてあるのだ。

だから重要なのは、「小さな範囲でアイデアを伝えていくこと」「繰り返しアイデアを提示していくこと」だ。

③仲間を見つける

孤独な改善から抜け出すための最初のステップ、それが「仲間さがし」だ。

自身の取り組みを理解し、少しだけでも協力してくれそうな人間がいれば、改善活動は大きく飛躍するチャンスが生まれる。

だからこそ、②のステップが重要になってくる。

活動をいきなり大きくしすぎると、想定しない形で活動が潰れてしまうリスクも大きくなる。スモールスタートで小出しにしつつ、周囲の反応を伺うことで「誰が興味を持ってくれそうか」がわかってくる。

一番理想なパターンとしては、相手から声をかけてもらえること。「何やってるの?」「面白そうだね」こうした言葉をくれる人は、興味を持ってくれている可能性が非常に高い。アイデアのフィードバックをもらったり、少し実験に協力してもらうなどを繰り返し、協力者になってもらえるとありがたい。

誰からも声がかからない場合でもチャンスはある。「またあいつ何かやってるよ」という評判が集まれば、改善提案をしやすくなる空気が生まれることがあるからだ。それは間接的に改善活動の推進に役立つだろう。

次回

孤独の改善 マインド編 をお送りします。

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