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『ザ・ゴール』③ボトルネックを探せ!

『ザ・ゴール コミック版』エリヤフ・ゴールドラット 著

前回の記事:『ザ・ゴール』②ビジネスをカネの流れで考える思考

業務改善のバイブル(と僕が勝手に思っている)である本書。これまでの記事では「企業の目的は利益を得ること」「自社のビジネスをカネの流れとして把握すること」の重要性について解説した。今回はそれらを踏まえたうえで具体的な改善方法について考えていく。

交通渋滞を改善するには?

本書から少しそれた視点にはなるが、交通渋滞を改善する方法を考えてみたい。これが業務改善の方法を考える上でのヒントになる。

渋滞が起こる原因は車スペックではない。車が前に進めなくなるのはどこかにつっかえる箇所があるからである。具体的には坂道や狭い道など。先頭車が無意識に減速し、後続の車が玉突きのように減速していくことによって交通渋滞は発生する。

渋滞を根本的に解決させる方法には、道幅を広げる、迂回路を用意する、信号を取っ払うなどがあるだろう。

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カネの流れがとどまる理由

生産性が低いビジネスにおいても実は交通渋滞と同じことが起こっている。材料を仕入れ、加工して、顧客に提供するという一連の流れの中に、渋滞を発生させている箇所があると考えられる。

しかし車の渋滞とは異なり、ビジネスにおいては誤った判断がされることが多い。その結果、「製造マシンのスペックを上げる」「作業が早い人間を雇う」という策がとられてしまう。これらによって問題の本質を解決されることはない。むしろ製造コスト増につながるリスクさえある。

ボトルネックという概念

つまり各工程ごとの処理速度を高めても、全体効率への効果はほとんどないということ

業務は一連の流れで行われる。そして、プロセス全体の処理速度は最も処理速度が遅い工程に依存する。したがって各工程の処理速度を高めることよりも、工程間の連携を高めるほうが全体効率への効果が高い。

最も処理速度が遅い工程をボトルネックと呼ぶ(図解)。

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1㍑の容量ビンから一度に1㍑の水を出し入れすることはできない。ビンの首が細くなっておりその部分でつっかえてしまうためだ。このように全体の処理速度を低下させている箇所が「ボトルネック」と呼ばれる。

業務プロセス全体を可視化し、ボトルネックを見つけること。そのうえで、流れをスムーズにするための手段を考えることが必要になる。

最初の交通渋滞の例では坂道や狭い道がボトルネックということになる。

希少リソースの有効活用

では、ビジネスにおいてどういったものがボトルネックになりうるのか。

作業効率が悪い人やマシンこそがボトルネックではないかと思うかもしれない。もちろんそれらもボトルネックになりやすいが、皮肉なことに優秀なヒトやマシンもボトルネックになりやすいという。

マネージャーの前に承認待ち案件の行列が発生し、業務が進まないという経験はないだろうか?あるいは、優秀なプログラマーへの新規開発依頼が殺到して順番待ちになっていることはないだろうか?特定の人間にしかできないプロセスがあれば、そこで全体工程が止まってしまう。このように優秀な人間も立派なボトルネックになる。

そのため、優秀な人間にはその人にしかできない業務に集中させたほうが良い。あるいは、別の人間に並行処理をさせたほうが良い。マネージャーがマネジメントに専念したほうがよいといわれるのはこのためである。

詳しくは下記リンク先の動画で解説されている。ここでは優秀な人間を「ボトルネック」ではなく「希少リソース」と言い換えている。このほうがしっくりくるし、ネガティブな印象になりにくい。言い換えって大事。

ゴールドラット博士の教えを聞き流しで学べる「ゴールドラットチャンネル」。通勤中に聞くものオススメ。

リソースを増やす方向に逃げるのではなく、既存のリソースを有効活用する方法を考える。それを繰り返すことによって全体最適実現が見えてくるだろう。

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