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『管理しない会社がうまくいくワケ』③外向きマインドセットな企業風土

『管理しない会社がうまくいくワケ』
アービンジャー・インスティチュート 著

前回の記事:
『管理しない会社がうまくいくワケ』②外向きマインドセットへの転換

この記事では組織レベルでの外向きマインドセットについて説明する。

もし組織のメンバー全員が外向きマインドセットを獲得したら、自発的で利他を優先した素晴らしい文化が生まれるだろう。そのためには何が必要だろうか?

悪い報告を出し惜しまないこと

誰しも自分のミスを認めるのは辛いことだ。そうでなくても、悪い報告はできるだけ避けたいと思うもの。

しかし、顧客の利益や会社の利益よりも自分の立場や保身を優先する行為は内向きなマインドセットに他ならない。内向きマインドセットが蔓延する組織では、大きな目標を達成することはできないだろう。

内向きマインドセットな風土を外向きマインドセットへ転換するためには、仕組を変えることでうまくいく可能性がある。

ミスや業績悪化を責めない。責めても何も変わらないことを知る。その代わりに全員が自分事として捉えて建設的な議論を繰り返すようにする。そんな文化を築くことができれば、外向きマインドセットの好循環が生まれる可能性がある。そして、それはリーダーの行動によって示されるものでなければならない。

本書ではフォード社を再生させたアラン・ムラーリーの事例が紹介されいる。僕が本書の中でも一番好きな事例だ。ぜひとも手に取って読んでみてほしい。

それとは反対に、減点式評価、派閥争い、ことなかれ主義、そして責任転嫁は避けるのが望ましい。所属組織にこれらが当てはまるるのであれば、それは内向きマインドセットの悪循環を生んでいる可能性がある。

特権階級を減らすこと

いつの間にか組織が階層社会になってはいないだろうか?そして、自分のいる階層と他のメンバーのいる階層が分かれてしまってはいないだろうか?

階層による分断がおこれば、異なる階層のメンバーの本音が見えなくなってしまう。「プロパーと中途採用組で対応が違う」「社長の側近だけ贔屓を受けている」「10階フロアのメンバーは優遇されている」など。社外的には無意味なカテゴリ分けにより互いの理解が進まなくなる。

無意味なカテゴリ分けをやめれば、一気に距離が縮められるだろう。互いを知ろうとすることこそが外向きマインドセットの第一歩だ。

自分自身の体験から

僕自身にも経験がある。前職で派遣社員の方々と仕事をしていた時のことだ。

彼・彼女らは社員から「派遣さん」と呼ばれていた。代わりのきく「モノ」として扱われており、面倒な仕事を押し付けられていた人もいたと思う。当然離職率も高かった。

しかし、彼・彼女らと一緒にランチを食べながら話してみると、彼・彼女らも同じように組織のために働く仲間であることに気づいた。中には本当に組織の利益を考えて改善提案をくれる人もいた。熱い想いを持った仲間であるにもかかわらず、社員側から壁を作って疎遠にすることは何の意味のないことだと思った。

それ以来僕は業務を依頼するする前に、いろんな質問をするようにした。どんな仕事が好きか、どんな仕事が嫌いかといったことを必ず聞くようにした。そして、困っていることはないか常に気を配るようにした。それだけでのことでもずっと親身になって力を貸してもらえるようになったのだ。

派遣社員の方々は日々業務のオペレーションに従事してもらっていただけあって、微妙な変化に敏感だった。彼・彼女から受け取る情報は、僕自身が業務改善を行うための貴重なヒントになった。僕が外向きマインドセットの重要さを実感したきっかけだった。

あわせて読みたい

成功する組織の風土や文化について解説してくれている本は多く存在するが、その中でもジム・コリンズの『Good to Great』(邦題:ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則)がおすすめ。

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