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「Rotaeno」- ゲームレビュー

プレイ環境について

バージョンは1.0.7、課金状況はゲーム本体のみ、プレイ機種はAndroid『Sony Xperia 5 II』。

概要

「Rotaeno」(ロテーノと読む)は先日2022年5月30日に配信が開始された音楽ゲームである。
配信プラットフォームと販売価格は、AppStore版とGoogle Play版が各370円、TapTap版が300円となっていて、ゲーム内課金要素も存在する。
2022年6月30日現在、楽曲数は本編楽曲が24曲、追加楽曲が16曲の計40曲となっている。アップデートによって追加楽曲は今後も増えていく予定となっている。

作品紹介

本作のコンセプトはスマートフォンを回転させて遊ぶ体感型音楽ゲームとなっている。スマートフォンを車のハンドルのように持ち、回転させることで円形の判定線へと迫るノーツを拾っていくゲームプレイになっている。
回転させて拾うという文から想像される通り、本作のノーツは真横にだけでなく角度をつけて迫ってくるというゲームデザインになっている。そしてそのゲームデザインと5種類あるノーツの相乗効果が、体感型音楽ゲームというコンセプトに恥じない体験をもたらしている。

前述のとおり本作には5種類のノーツが存在し、その中でも「ROTATEノーツ」と「CATCHノーツ」は本作のプレイ体験において重要な役割を持つので説明を行いたい。
まずROTATEノーツについて説明をする。赤と青の2種類があり、それぞれ時計回りと反時計回りにスマートフォンを回転させることで拾うことができる。ノーツを拾った際の効果音や振動がとても気持ちよく、本作が体感型音楽ゲームであることを否が応でも実感させるノーツとなっている。

そしてCATCHノーツ、本作のプレイ体験の中心軸といえるノーツである。このノーツには独自の判定エリアが用意されていて、その範囲内の角度でないと拾えないようになっている。つまりこのノーツを拾うためにはスマートフォンを回転させて角度を合わせる必要があり、そして同時にCATCHノーツ以外のノーツの対処をする必要もある。こう聞くと本作に難しそうなイメージを持つかもしれないが安心してほしい。実はCATCHノーツは判定エリア内にノーツを合わせるだけで拾うことができ、それだけではなく事前にCATCHノーツが迫ってくることを表示してくれる。CATCHノーツ以外のノーツに関してもどの角度に来るか事前に表示してくれる。

ちなみに判定エリアの名称はCATCHキャッチエリアである。

これまでノーツデザインに関して記述してきたが、それだけではなく譜面の出来も音楽ゲームにとっては重要だがそこに関して心配はいらない。本作の譜面は体感型としての面白さを追求しながら、親指2本でも楽しめる譜面構成になっている。
ストレスを生じさせる部分を取り除き、ノーツデザインと譜面の相乗効果によって生み出されたゲームプレイの完成度の高さは本作の評価できる点である。

ここまで評価できる点を紹介したが、一方で本作には欠点も存在する。
本作のもう一つのメインモードである「旅」、いわゆるストーリーモードは物語を読み進めるだけでなく、このモードでしかアンロックできない楽曲も存在するので基本的にプレイすることになる。しかし現在のバージョンではローカライズが悪い。ストーリーの内容自体は理解できるのだが、誤字脱字、メッセージウィンドウからはみ出た文章などテキスト部分には難がある。本作は魅力の一つとしてストーリーや世界観を推しているように感じられるが、ローカライズの品質によってうまく表現できていないのは現時点での本作の明確な欠点といえる。

今後の懸念

アップデートによって追加楽曲は今後も増えていく、と冒頭で示したように本作は運営型タイトルとなっている。
音楽ゲームを継続的にプレイしたことのある方にはこういう経験があるだろう、例えば初期に実装された楽曲の難易度がアップデートを重ねるにつれて相対的に簡単な楽曲として認識されてゆく、あるいは現在の難易度よりもひとつ下の難易度と比較するのが適当だと感じるようになる。
運営型の音楽ゲームではゲーム全体の難易度の上昇、いわゆるインフレが発生する傾向がある。おそらく本作も遅かれ早かれそうなるのではないかと考えられる。インフレ自体は悪いものではないが、本作は腕前の上達やクリアによって得られる達成感よりも、体感型としてゲームプレイ中の体験や爽快感が魅力になっていると思われるが、高難易度が進むにつれてそういった本作の魅力が薄れることにならないか、というのが今後の懸念である。
個人的には心配に思うと同時に、大丈夫だろうという思いもある。本作は2016年9月頃から、つまり6年近くの時間をかけて制作されている。その間に得られた知見、ストレスを生じさせる部分への対処や譜面構成などがゲームに活かされ、本作の完成度に繋がっていると考えている。
体感型音楽ゲームであるというコンセプトを制作側が意識し続けていれば、魅力あるゲームプレイが失われることはないと信じたい。

総評

ストーリー部分のローカライズという欠点はあるが、スマートフォンを回転させるという体感型音楽ゲームというコンセプトに恥じないゲームプレイの完成度の高さにより、音楽ゲーム好きのみならず万人におすすめできるゲームとなっている。今後のアップデートに期待したい。


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