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「生の術」と説く〜日本の文化の本質とは何か?〜

前回に引き続き、茶の本から引用します。

日本でありませんが、今は戦争が起きている時代です。

戦争には「勝敗」があり、勝った国は戦勝国として注目が集まることでしょう。

しかし、その裏では戦争によりたくさんの人が亡くなっています。

その現実を知るとき、戦争を起こさずに進む道を考えずしてやみません。

戦争について明治の時代を生きた岡倉天心は、どのように考えているでしょうか?

■ 生の術とは?

自分で偉大だとうぬぼれているものが実はちっぽけなものにすぎないことがわからない者は、ちっぽけと軽んじている他人のものが実は偉大なものであることを見過ごしがちである。
平均的な西洋人は、自己満足に安住して、自分たち以外の文化を理解しようとせず、茶道についても、例によって風変わりで子供じみた東洋のさまざまな奇習のひとつにすぎないと片付けてしまうことだろう。
日本がこの平和でおだやかな技芸にふけっていた間は、西洋人は日本のことを野蛮な未開国だとみな してきたものである。 それが、近頃になって日本が満州を戦場にして敵の皆殺しに乗り出すと(日露戦争)、日本は文明国になったというのである。近年、侍の掟ーーー
日本の武士が進んで自分の命を捧げる「死の術」については盛んに論じら れるようになってきたが、「生の術」を説く茶道についてはほとんど注意が払われていない。無理解もはなはだしいが、やむをえない。
戦争という恐ろしい栄光によらねば文明国と認められないというのであれば、甘んじて野蛮国にとどまることにしよう。
私たちの芸術と理想にしかるべき尊敬が払われる時を待つことにしよう。

NHK「100分de名著」ブックス 岡倉天心 茶の本/(第一章「茶碗に満ちる人の心」)

「死の術」の対比として「生の術」があり、

文化や芸術が認められることを文明国と説いています。

この文脈を理解すると、お互いの文化を理解することが「生の術」ということではないでしょうか?

■ 日本文化の本質

日清日露戦争に日本が勝利したことから、欧米社会でにわかに日本に対する関心が高まったこと、しかし、その関心はもっぱら日本人の戦闘性に向けられていたことをとりあげて、そうした日本理解がいかに現代の侵略主義的な風潮に毒された浅はかなものであるかを指摘しています。
そのうえで、日本文化の真の本質は、戦いよりも平和と調和を求めることにあるのであり、そうした理想を集約したのが茶なのだと説いています。
たとえば、茶室に入るときには武士であっても刀を外します。
また、茶会の席では侍も庶民も身分の区別はありません。
つまり、一緒にお茶を飲むことによって、平和を達成できるのです。
欧米人は、茶など幼稚なままごとだと思っているかもしれないが、実

NHK「100分de名著」ブックス 岡倉天心 茶の本

「日本文化の本質は平和と調和である。」この言葉は深くこころに響きました。

■ 行動宣言

戦争のある時代に、我が国はどのように行動すればいいのでしょうか?

私は「生の術」に注目し、それを深めていくことが大切ではないかと思います。

私は芸術を理解し、深く尊敬が払われるまで学びと発信を続けます。

茶の本は、日本の心の本質を教えてくれました。


庭の木々 5月

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