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なぜ人は騙されるのか? まっとうな思考の身につけ方『全員“カモ”』

今回の東洋経済Booksでは、『全員“カモ”』をピックアップします。

巧妙なマーケティング、偽物を売りつける業者、怪しい健康情報・・・ なぜ私たちはいつのまにか騙されてしまうのでしょうか?

本書では、世界有数の認知心理学者が、いつのまにか巻き込まれる「思考のワナ」を明らかにし、柔軟でまっとうな「判断力」と「思考力」を身につける方法を解説します。

「絶対に騙されるはずがない」のにカモになる

今の世の中には、人の注意を引き、意図的に自分の有利な方向に誘導しようとするしかけがあふれています。有名ブランドから大手企業までが、人を“カモる”手口を多く使っているのです。

見聞きしたものをそのまま信じてしまうと、私たちは大きな危険にさらされることに。かといって、あらゆる物事に対して徹底して疑い深くなるのは現実的とは言えません。ではいったい、どうすればいいのでしょうか?本書では、取るべき方法を解説していきます。

私たちは、詐欺のしくみが単純だと気づくと、「私はこんな手には絶対に引っかからない。騙されるのは、頭が悪くて教養のない、カモになりやすい人だけだ」と思いがちです。 しかし実際には、どんな人でも騙されます。
どれだけ優秀で聡明な人でも、例外ではありません。それはなぜでしょうか?

私たちはなぜ騙されてしまうのか?

なぜ優秀な人でも騙されてしまうのか。それは、「真実バイアス」というものが大きく関係しています。

私たちは、はっきりとそれを否定する証拠が示されないかぎり、見聞きしたものが本当だと思い込みます。この現象を「真実バイアス」と呼びます。真実バイアスは、人間にとって「バグではなく仕様」です

本書では、真実バイアス、すなわち人間に生まれつき備わっている、“十分に確認することなく、現実をそのまま受け入れようとする傾向”が、いかに搾取の対象になっているかを明らかにします。それと同時に、こうした搾取から身を守るためにできる具体的な方法を提案します。

最初の一歩として、「少し受け入れ、多く確認する」というアドバイスを頭に入れておくことが重要です。たくさん確認すべきなのはどんなときかを見極めることと、その方法を明確にしておくことがポイントです。

「何が真実かわからない世界」を生き抜くために

本書では、まず誰もが持っている4つの重要な認知的な「ハビット(癖や習慣)」を紹介します。そして、4つのハビット(集中、予測、思い込み、効率)が、いかに詐欺や欺瞞の温床になっているかを詳しく見ていきます。

その上で、4つの認知的な「フック(釣り針のように私たちの心に引っかかるもの)」を探っていきます。説得力のある映画の予告編や、思わず引き込まれそうになるセールストーク、耳にこびりついて離れない歌や曲の一節など、フックは私たちの興味を奪い、確認することなく受け入れさせようとします。

認知的なハビットとフックについて学び、詐欺や欺瞞のしくみを示すさまざまな例を知ることで、私たちは徐々に「少し受け入れ、多く確認する」を実践できるようになっていきます。

本書には、詐欺に遭わないため、騙されないための有用な情報が満載。人心操作の巧妙な仕掛けを知り、騙されないための思考力を身に着けませんか?


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