相互循環の可能性(前説編)
前回は相互循環セッションの可能性(前々説編)についてお話しました。
今回はその続き、前説です。
さて前回の最後、非日常を想定内として生き抜くタフネスさから、どんな日常でも未体験のものと捉え認識していける柔軟さに触れました。この内容に入っていきたいと思います。
情報を制する者は、どの世界を制す?
まずはタフネスの分野をもう少し掘り下げてみます。
非日常を想定内にするための方法の1つが、トレーニングだと思います。
トレーニングも関わり方によってたくさんの可能性に満ちていますが、多くの場合、来たる本番以上の刺激を味わっておくことで、想定内を拡大して本番に臨むことができる。計画的にその刺激を課していけば、ベースの部分的能力を向上できるともされています。寝たきり予防も含めて、トレーニングは謂わば、本番とされる時に向けての事前準備でしょうか。
これはスポーツ業界だけの話ではなく、より早く有効な情報を知ろうとする事も同じだろうと思います。私も身体に関する様々なことを学びました。
確かに多くの経験をしてきた人、自分より何かを知っている方には、なんとも言えない安心感を感じることがあります。一方ですごい経験をしてきたとされる方と自分を比較して、相手を羨み「自分なんて。。。」と落ち込み、自分と同じくらいと見える方との時間に居心地の良さを覚えることもあります。
また、すごいと感じる方にも、自分と同じ部分を垣間見ることでどこか安心する。そんな場面には私自身もよく遭遇します。ある種、人の本能かもしれません。
私もこのパターンは大いにありましたが、最近不思議と減りました。またそんな自分を俯瞰するようになりました。すごいとされる方と普通とされる方、一人一人の人生の違いは見えても、差として比較しなくなった気がします。
この「“凄い“と“凄くない“ではなく、ただ違う」という感覚が、タフネスだけではなく、柔軟さを育むポイントとなると思います。
日本代表とある日のシャンプー
私の具体的なお話しです。過去に1度だけですが、ある競技で日本代表として、世界大会へ出場させていただいた経験があります。そこまでの道のり、日本代表の決定、世界大会の舞台。多くの方の支えでその時間を味わうことができた、感謝しても仕切れない出来事です。
一方、つい先日の話。朝シャンをしていて、この30数年髪を洗ってきて、初めて「最高に気持ちいい!」という洗髪ができました。ドライヤー後の髪の毛のコンディションは今まで感じたことがないモノでした。ちょうど数日後に馴染みの美容師さんの予約があって、お店に伺ったら「どうしたの?髪めっちゃいいじゃん!」との一言。こちらも最高に嬉しい出来事でした。
なんと、この2つの出来事が今の私にとっては同列。この気づきが、今回のヒントでした。
自分の人生に優劣がない
相互循環に出会って私に起きた変化の1つは、物事に大小のレッテルを貼らなくなったことだと思います。
自分の人生のあらゆる場面を切り取って、優劣をつける必要がなくなりました。パソコンに向かって文字を打っている今も、誰よりも速く走り、高くジャンプができた当時の自分も、顧問や先輩の目を気にしながら規律正しく過ごしていた時代も、一見ポケーっとした態度で全身でヒントを受け取っているときも、全部同じ「今生きている」ということ。身体からすると同じです。
他者を通してみている先は自分
結局、自分の中で起きていることが、外の世界でも見えるんですよね。自他の間に優劣をつけていたときは、自分の今とそれ以外に対して優劣を感じているし、他者の何かが許せないときには、自分の中で許せない拘りや執着みたいなものがある。
そういった部分やタイミングでは、多角的な視点や、その背景への想像が出来難いものです。痛みや不調をはじめ、自分の中にも全て理由や背景、必要性がある。でも、自分の中の何かが許せなかったり、排除しようとしていると、外界の関連する何かも排除する方法をとり易いかもしれません。
ここにきて特別な何かを手に入れたわけでも、目新しい何かが習慣化して行動に起きているわけでもないけど、日々自分自身に向き合えるようになってきました。
だからこの人生で初めてかなと感じるくらい、他者を通しても、時間を持って向き合えるようになってきました。自分の存在、他者の存在、この世界の全ての存在が紛れもなく同等で、元々みんなが持っているものって、本当にすごいんだな。と感じ始めています。
次回は漸く、相互循環の可能性。。。のはずです。
豊田玲子(遊びたい、身体大好き)
理学療法士 パーソナルトレーナー
2012 IFBB World Chanpionship Body Fitness 日本代表
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