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探求 学校でふれる塩(えん)とイオン

ここではなじみの深い「塩(しお)」ではなく、化学分野おける「塩(えん)」と呼ばせていただきます。
みなさんは、なぜ水道水が腐らないか知っていますか?
身近な化学に関連付けて、塩(えん)に触れていきたいと思います。


消毒に使われる塩(えん)

私たちの生活に身近な塩(えん)のひとつが、次亜塩素酸塩です。
漂白剤・プールの消毒などに使われる次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)は消毒や殺菌の効果が期待できます。次亜塩素酸ソーダともいわれます。
プールの底に沈んでいる白いタブレットは、ほとんど次亜塩素酸ナトリウムか次亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO)2)です。カルキともいわれます。
これらの具体的な消毒メカニズムとしては、水に溶けたときに、水中に生息している病原性微生物などの細胞を破壊し、特定の酵素を不活性化して呼吸できなくさせるものだといわれています。
清潔で安全な水道水を各家庭に提供できたり、水道水やプールの水が腐らないのは、これらの塩(えん)が役立っているためなのです。

動植物園のプールもキレイ

イオン交換樹脂を再生させる

化学実験や浄水器などに使われているイオン交換樹脂は、繰り返し使用するうちにイオンの交換能力がなくなり、どんどん性能が低下していきます。
浄水器はカルキなどを除去しますが、その仕組みは、樹脂にカルキなどの塩素系の物質を吸着させて、水を浄化させる仕組みになっています。

イオン交換樹脂の見ためは、ちょうど魚の卵のような球状で色や透明性はさまざまです。これらの樹脂は割れたりしない限り再生が可能です。
塩素系を吸着するアニオン交換樹脂だと、濃いナトリウムイオン水で洗うことで塩素とナトリウムイオンが吸着し塩の水溶液が排出されます。
イオン交換樹脂の性能が元に戻り、再度使えるようになるわけです。(水族館の裏側にもこのような浄水槽があります。)
イオン交換樹脂の再生にも塩(えん)が働いているのです。

給食と塩

給食はバランスの良い定食が多いですよね。あなたの好きなメニューは何でしたか?私はハンバーグが今でも好きです。
ハンバーグ100gあたりの塩分は1.9g~2.4gになります。
下味に0.1g、さらにウスターソースやケチャップを使うと簡単に+0.5gの塩分量になります。(洋食屋さんでコーンスープやロールパンをセットでつけると、5.6gにも上ります。)
カレーはどうでしょうか?
全日本カレー工業協同組合によると1食当たり1.8g~2.0gだそうです。
ライス部分は塩分0gなので、思ったより塩分は少ないんですね!

ミネラル不足の改善、メリット

「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によると、1日の食塩摂取量の目安は成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。
とり過ぎは禁物ですが、適度に塩分をとることは、不足によって起こりうる低ナトリウム血症や低カリウム血症を予防し、鉄が失われることによる貧血などを予防できます。
また、塩に添加されることがあるにがりには、ミネラルのひとつであるマグネシウムが含まれています。マグネシウムの欠乏はうつ病との関連が指摘されており、これらの病気を未然に防ぐためにも塩が活用できるといわれています。

また、医療現場でも塩は用いられています。
例えば、点滴などに使用される生理食塩液にはNaイオンとClイオンが含まれています。リンゲル液にはKイオンとCaイオンが含まれています。
身近なものとしては経口補水液にも、これらのイオンが含まれており、電解質濃度の近づけて、からだへの浸透をスムーズにしています。
生理食塩液の塩分は、1袋500mLあたりNaCl(塩化ナトリウム)4.5gです。

体調を整えたり、病気を改善したりするためにも塩は役立っていますね。
うちの娘は、喘息の治療に吸入器を使うのですが、あのモクモクってしょっぱいらしいです。言われるまで知りませんでした。
次回の予定は未定です。
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