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【参加レポート】とやま帰農塾2020 五箇山なぎ畑塾(2020/8/24~/26)

とやま移住note管理者の一人「I(アイ)」と申します。

突然ですが、
富山県主催、NPO法人グリーンツーリズムとやま企画
田舎暮らし体験プログラム「とやま帰農塾
皆さんご存じでしょうか?

0319帰農塾2020パンフ表紙

今年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、
開催予定の10の塾の内、4つの塾が中止、1つの塾が大幅なプログラム変更を行い、開催予定です。(2020/9/16現在)

そんな厳戒態勢の中、
「五箇山なぎ畑塾」(8/24~26)が、開催されました。

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開催を決めた塾長の思い、
感染症対策に翻弄される参加者やスタッフ、
そこで学んだ大切な事とは?

管理者「I」、実際に参加してきました!

1日目 昼 開講式・菅沼集落散策

高岡駅から世界遺産バス(加越能バス㈱)に揺られること約100分。

長い道のりですが、車内では経路である南砺市城端地区の「むぎや節」、五箇山地域の「こきりこ節」など地域の伝統文化の解説と鑑賞を行っています。

移り行く車窓も見どころで、途中の峠道では散居村の砺波平野を一望できるスポットもあり、季節ごとに違った景色を見せます。

そうこうしているうちに目的地🚏「合掌の里」に到着。
五箇山合掌の里は五箇山での自然・文化体験を行う体験施設です。
合掌造りでの宿泊も可能で、参加者はこちらを利用します。

今回は関東圏、関西圏から14名が参加。
ソーシャルディスタンスを保ちながら、開講式が行われました。

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塾長の挨拶では、開催を決めた想いを語ってくれました。

「私はこんな状況だこそやるべきだと考えた。開催の為に3週間ほど前から準備してきていることもそうだが、毎年続けてきたこの塾を通じて五箇山の文化を広く知ってもらいたい。最初は5,6人と思っていたが、14人も参加いただけて大変嬉しく思います。」

その後、菅沼集落の散策へ。

五箇山の菅沼集落と相倉集落、岐阜県の白川集落はともに「合掌造り集落」として1995年に世界遺産登録されました。。

合掌造りそのものが登録されたわけではなく、そこに住民がいて保持していることが評価されているそうです。

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1日目 夜 ささら作り

散策後は各自宿泊棟で入浴を済ませ、夕食です。

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五箇山の食材を詰め込んだ豪華なメニューでした。
写真左下にある古代米(赤飯ではありません)には、きな粉をかけて食べる風習があるそうです。和菓子を食べているような感覚になり、美味しく癖になる味でした。

お腹を満たした後は、ささら作り体験。

「ささら」とは五箇山の伝統民謡「こきりこ節」に使われる楽器で、人間の煩悩と同じ108枚の板を並べて煩悩を打ち払うようにと願いが込めれれています。

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今回は板72枚の体験・お土産用のものを作ります。

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片側のひもを足にかけて板を1枚づつ挟んで編んでいきます。
均等に編まないと板がずれてしまうので、丁寧に。

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無事完成!
しかし、これをどう鳴らすのか。どんな音が出るのかわからない様子。
こきりこ節を含めた解説は翌日となり、1日目終了。

2日目 昼 なぎ畑農業体験

しっかり朝ごはんを食べて挑む2日目。
夏の晴天の下、人里のない山中の畑での作業です。

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まずは、畑に枝や薪を積んだものを均一間隔に作ります。

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そして、斜面の一番上の薪に火🔥をつけます。
ある程度燃やしたら、灰を残しつつ下へ転がしていきます。

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棒の先には鍬のように板がついており、引いて転がします。この道具は塾長の手作りです。

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これが今回のメイン「なぎ畑」です。目的は主に2つ、

①土表面の雑草や菌を焼く
②酸性の土壌をアルカリ性の灰で中和する

肥料や除草剤に頼らない自然農法のやり方です。
昼食をはさみつつ、畑全体をしっかり焼いたら、耕していきます。

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農業機械初挑戦の参加者もおり、時には苦戦しながらも、地元住民や経験者が教え合いながら灰と土をしっかり混ぜ込んでいきます。

これで畑の準備が整いました。いよいよ種を蒔きます。

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在来種の赤かぶの種です。在来種は作物本来の旨味が引き出され、生で食べられるほど甘みがあるそうです。

フィルムケースの底に穴をあけ、振りかけるように蒔いていきます。
ちなみにフィルムケース、10代の方は「知らない」そうです。時代ですね…

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種を蒔いた後は竹ぼうきで表面をなでます。「掃いて」しまうと種が飛んでしまうのでなでる程度です。

これで畑は完成。間引きなどの簡単な管理はしますが、基本的には自然のままに育てるそうです。

2日目 夜 報恩講御前 こきりこ節見学 移住者談義

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2日目の夕食は五箇山地区の伝統料理「報恩講御膳」(ほうおんこうごぜん)です。

浄土真宗の仏事の際に人々をおもてなす料理として出されているそうです。五箇山地区は浄土真宗に特に篤く信仰しているそうです。

特徴は「朱色の御膳を使うこと」、「動物性の食材(肉・魚など)を使わないこと」、「ご飯を少なく盛ってること」です。少なく盛るのは「遠慮なくおかわりしてください」という心遣いなんだそうです。

伝統料理をかみしめつつ、昼の作業で腹ペコな皆さんはお言葉に甘えてどんどんおかわりしていきました。私も2回おかわりしましたよ。

その後、いったん外に出て五箇山の伝統民謡「こきりこ節」の見学。
昨晩作った「ささら」が実際どう鳴らすのか。皆さん興味津々です。

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こきりこ節は日本で一番古い民謡です。こきりこは田楽から派生し、田踊りとして発展しました。田楽や田踊りは、五穀豊穣を祈り、百姓の労をねぎらうため、田楽法師と呼ばれる職業芸能人たちが田植えや稲刈りの間に行った踊りでした。
「五箇山~小さな世界遺産の村~」ホームページより抜粋)

合掌造りの前で踊ると、なお雰囲気が出て素晴らしいものでした。
実際の踊りの映像は上記のリンク先からもご覧いただけます。

見とれている間に、移住者ゲストのお二人が到着。
室内に戻り、座談会が始まりました。

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南砺市へ移住されたSさんご夫婦。
移住に至った経緯や地元の方々とのエピソードなどをお話しいただき、参加者からの質疑応答を行いました。

私も一つ、「富山に来て便利なことと不便なこと」を質問しました。

便利なことは食料品が豊富且つ生産者がわかること。
パン屋🍞を営んでいるSさんは地元食材を活用しており、時期ごとに様々な食材が手に入ることが魅力的とのこと。また、誰が作った食材かわかることで安心するそうです。

不便なことはやはり「雪」⛄
ご夫婦とも以前の居住地は雪の降る地域ではなかったので、家の雪かきや雪道の運転はとても苦労したそうです。

1時間ほどの談義の末、2日目は終了。

3日目(最終日) 五箇山豆腐作り 閉講式

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朝食のパン🍞は昨夜座談会に来ていただいたSさんのお店のパンです。

かぼちゃパン、えごまパン、レーズンパンの3種類。えごまパンのプチプチとした食感が結構クセになります。
お店の情報:「エピスリースリジェ」
 https://tabelog.com/toyama/A1605/A160502/16007799/

最終日は五箇山の名産品「五箇山豆腐」を作りました。
実は1日目、2日目の夕食でもいただいていましたが、
大きな特徴は「硬さ」です。一般的な豆腐よりも硬く、紐で括って持ち運べるほどです。

最初に一晩水につけて戻した大豆をミキサーにかけ、煮立たせます。

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煮立ったら布でこして「おから」と「豆乳」に分けます。
(熱々のため、講師の方にやっていただきました。)

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そして豆乳を基準となる温度まで温め、にがりを打ちます。
この「温度」が極めて重要とのことで、温度計でしっかり測ります。

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にがりを打ってしばらくたつと、水が分離します。
この浮いているのが「おぼろ豆腐」です。
試食させていただきましたが、とても濃厚な味わいで、スルスル食べれるので朝ごはんで食べたいですね。

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これを五箇山豆腐専用の方に流し込み、漬物石で押し込んで水分を抜いていきます。この工程が五箇山豆腐特有の硬さを生み出します。

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型の横壁には穴が開いており、そこから水が抜けていきます。
型の内側には布があり、豆腐が飛び出ないようにしています。

水分が抜けるほど硬い豆腐となるので、基本的には数時間かけるそうですが、今回は時間の都合上30分ほどで完成、それでも十分な硬さが出ます。

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本来のものより少し薄いですが、それでも大きいです。
切り分けて皆さんでいただきました。

出来立てはほんのり温かく、食べ応えも旨味もあって美味でした。

硬さゆえ、煮崩れしにくいので麻婆豆腐や鍋料理で食べるのがオススメです。五箇山に来られた際は是非ご賞味ください。

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昼食は冷やしぶっかけそばをいただきました。
こちらは五箇山産のそば粉を使用し、地元の方が打ったここでしか食べれない特製そばです。ありがたく、美味しくいただきました。

そして、閉講式。
スタッフ、参加者全員がそれぞれ感想や今回学んだことなどを出し合いました。

感想・まとめ

冒頭でもふれましたが、現在世界中で新型コロナウイルスが流行しており、今年の帰農塾もすでに中止となった塾もあります。今回、開催するにあたっては、参加者・スタッフ感染対策を徹底しています。

参加者は開催前2週間の体温測定を含めた健康チェック表と行動履歴表の提出。自由時間での会合などの自粛を行いました。

スタッフは移動するたび、機器の消毒や換気の徹底を行っていました。事前に「マイク消毒:○○」「施錠・室内換気管理:○○」と担当が割り振られた対策表が作られています。見せていただきましたが、本当にびっしり書かれていました。

そんな中でお互いいろいろ気を使って大変なこともありましたが、参加者からはこんな感想もありました。

「会合が出来ず、富山の美味しい地酒が飲めなかったのは残念だったが、その分しっかり話を聞けたり、自然の中の静かさをより体感できました。」

こんな時だからこそわかる良さがあるんですね。
皆さんもぜひこのような機会に富山に来てみてはいかがですか。

「とやま帰農塾」次回は10月に開催予定です。そのほかの移住関連イベントなどの情報は以下のサイトやSNSをご確認ください。

富山県移住・定住促進サイト「くらしたい国、富山」

富山県UIJターン就職支援求人サイト「とやまUターンガイド」

富山県就農ポータルサイト「とやま就農ナビ」

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